第25話 丸め込め!
さてと、それじゃぁ、あのエロガキにガツンと言いに行きますか!
アレスとの約束を果たせそうにないが、アリサとの会話で幾分気持ち的に楽になった健一は、そろそろ魔法の授業が始まるのでアレスの元へと向かっていた。。
「ミキ、アリサなんかでもたまには役にたつこともあるんだな」
「ワオン?」
嬉しそうに言った健一だが、ミキは首をかしげている。
返事を期待した発言でもなかったようで、健一も気にしていないようだ。
だが、そんな言われようをしたアリサは、当然気にするというか、健一を睨んでいる。
「……あのね、その発言に対して色々と言いたい事があるけど、本人がいるんだから、もう少し言い方に気を使いなさいよ。
あんたに言っても無駄だろうけど。
それより、なんだか随分余裕そうだけど大丈夫なの?
ちゃんとアレス様に納得してもらってよね。
あんたが失敗したら、あんたの指導係の私に絶対迷惑がかかるんだから」
領主の息子であるアレスの機嫌を損ねて領主のダモンに告げ口でもされたらクビ、下手したら殺されるんじゃないかと心配するアリサ。
「大丈夫だって!
俺に任せとけば何も心配ないよ」
そう言ってウインクしてきた健一をぶん殴りたい気持ちでいっぱいになったアリサだが、アレスと変な約束をした張本人に倒れられても困るので思いとどまった。
「さあて、急ぐぞミキ、アリサ!
ベルリアが来る前にアレスと話をつけなきゃ!」
健一が突然走り出す。
「あっ、ちょっと!」
慌てるアリサを残してミキが嬉しそうに健一を追って走り出した。
アリサは、それなら最初から急げよと思ったが、一人取り残されてしまったので、仕方が無いとしぶしぶ健一達を追う事にした。
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魔法の授業が行われる部屋――
「ちょっと、いきなり走るなんて酷いじゃない」
健一達を追っていたアリサが部屋に入ってきた。
先に到着していた健一とミキの前にアレスが立っている。
ちゃんと合流出来たようである。
「話が違うじゃないですか!」
凄い剣幕でアレスが健一に詰め寄っている。
「速攻で失敗してる!」
アリサが青ざめて言った!
「バカッ! 誤解するな! そして落ち着け!」
健一が真剣な顔でアレスに言ったので、少しホッとするアリサ。
てっきり、アホ丸出しの言い方したのかと思ったが、どうやら誤解らしいし違うようだ。
「……誤解?
でも、ベルリアのおっぱいを揉ませられないって言いましたよね?」
「ああ、言った」
アレスに即答する健一。
「誤解じゃないじゃないか!」
あれ? と一瞬考えたアレスだったが、やっぱ、全然誤解じゃなかったと抗議の声を上げる。
「バカ野郎!
子供の時からそんなエロい事ばっかり考えてるとロクな大人にならないんだぞ!
いや、想像はいいよ、想像は。
男の子だもん、エロい事考えちゃうよね、うん。
だがな、それを実行するような輩は、ダメだ。
女性を軽く扱う人間になる。
女を拉致して強姦したり、殴ったり、リンチしたり、人を殺したり、凄惨な少年犯罪を起こすんだろうな。
加害者の人権がー、加害者の生い立ちがー、更生する機会がーって知らねぇよ。
赤の他人なのに強姦されたり殴られたり殺された被害者は泣き寝入りか?
そんな赤の他人を、ひどい目にあわせて殺した奴を死刑に出来ないなら、強制労働施設か新薬の開発のモルモットにするとか、臓器提供に使う等の有効活用するべきだと俺は思うね。
大体、可哀相な生い立ちなら何しても良いのか?
可哀相な生い立ちで許されるのって、貧しさから食べ物を盗みましたってくらいだろ! 許されるのは!
虐待されたとかなら、他人に狂暴なのを向けないで、警察や関係機関に頼むなりするか、家族に向けてくれ。
ご家庭で処理してくださいって話ですよ。
うん、話がズレた!
先生は悲しいぞ!
アレス、お前が「健一先生、ベルリア先生のおっぱいを揉ませてくれると言いましたが、女性の意思に反してそんな事、僕出来ません!」そう言ってくれるのを待ってた」
完全にアウトな思想の健一が暴走しつつアレスに言った。
世間は凶悪犯罪者にすら優しい人達がうようよしてるので、発言には要注意なのだ!
「健一! 女性に優しいアレス様なら大丈夫よ!
女性の事を尊重するアレス様なら、健一に言われるまでもないわ!」
アリサも言った。
健一とアリサ、アレスを丸め込もうと必死である。
「いや、でも……」
諦めきれないアレス。
だが、二人に言われて自分の考えが間違っていたのではと考えるようになってきた。
そもそも、健一が揉ませてやると言ってきた話なのだが……
健一がアレスをそっと抱きしめる。
「アレス、間違いは誰にでもある。
だけど俺はお前を見捨てない!
安心しろ。
俺がちゃんと指摘して、お前を導いてやるからな」
優しくアレスに語り掛けた健一。
いや、一番の元凶はお前だろ?! とアリサはその様子を見ていた。
「……先生。
ぼ、僕が間違ってました!」
アレスが健一に抱きつき、健一もそんなアレスを優しく抱くのであった。
アリサは凄く白けた顔をしているが、都合が良いので余計な事は言うまいと思った。
「なんだか騒がしいと思ったら、また、お前か」
ベルリアがアレスを抱きしめている健一を見下ろしている。
どうやら、魔法の授業の時間が来たようだ。
「なんだ、またお前かって。
お前の無い胸を守ってやったのに、その言いぐさはどうなんですかね!」
健一が心外ですよみたいな顔でベルリアに食って掛かったが、いや、お前の言いぐさはどうなんだとアリサは思った。
「ふっ」
健一に胸の事を言われたのに不敵な笑みを見せたベルリア。
そしてあろう事か、その胸を強調するように胸をそらす!
「なっ!」
驚く健一。
なんと、無い胸であるハズのベルリアの胸の辺りが大きく膨らんでいるではないか!
無駄にデカい胸のアリサには及ばないが、元のベルリアの胸に比べたら大きく膨らんでいた。
「どうなってんだ?」
おもむろにベルリアの胸を鷲掴みする健一。
アリサとアレスが言葉と行動が違う健一の姿に呆然としていると、健一がベルリアにぶん殴られた。
「私の大きな胸に触りたいのは解るが、今度やったら殴るからな!」
「もう殴ってるじゃないか! ……ん?」
殴られた頬を手で押さえながら言った健一の前に立つベルリアの胸が片方下の方にズレている。
健一の視線に気づいたベルリアが健一に背を向け一生懸命ゴソゴソやってから振り返ると、胸が正常な位置にきていた。
ちなみに作業中、健一に背を向けているという事は、アリサとアレスの目の前で作業していた事になるのだが…… 余程焦っていたのだろう。
「……何か?」
凄い見ている健一にベルリアが聞いた。
「いや、もうズレてたの見てるし、触った時固かったから解るよ」
なんでいけるって思ったのか、健一はある意味凄いなベルリアと思った。
「ワオン!」
「ミキ?!」
「キャァア!」
ミキが走ってベルリアを押し倒した!
自分が攻撃されたからミキはベルリアを攻撃する気だ! そう思った健一は、ベルリアに馬乗りになっているミキの側へ慌てて駆け寄った!
が……
「……」
ミキを見下ろし黙っている健一。
「ガウ、ガウ、ガウ!」
ガリガリと真っ赤なリンゴを頬張るミキ。
ベルリアのおっぱいの膨らみの正体なんだろうなと健一は思った。
服がはだけて、おへそが見えているベルリアが、もう一つのリンゴを毟り取りその辺に転がすと、嬉しそうにミキが追いかけた。
ベルリアは黙って、衣服を整え立ち上がると埃を払う。
そして何事も無かったかのように授業を始めるのだった。
女の人は強いなと健一は思った。
あの状況から普通に授業するなんて凄いな。
自慢じゃないが、俺なんて雇われてからまともに授業なんてしていないからな。




