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第24話 聞いてみた!

アレスの夢を叶えてやりたいが、無茶だろう。

俺もあんな事を言わなければ良かったと後悔したが、言ってしまったものは仕方が無いですよ。

まあ、その内に良い解決案が浮かぶだろうと思っていた……

朝、領主の屋敷、玄関――



 健一は、ベルリアに頭を下げていた。



「……と言うわけで、アレスにおっぱいを揉ませてあげて欲しい」


 真剣な表情の健一。


 前回、アレスにベルリアのおっぱいを揉ませてやるなどと無茶な約束をしてから、その約束をどうやって実行にもっていくかの案が浮かばないまま数日が過ぎ、魔法の授業が行われる今日の日を迎える。

 何の策も無いが、ベルリアの出勤日を迎えた以上、生徒であるアレスとの約束を果たすためにも行動しなければいけなかった健一は、朝早くからベルリアを玄関で待っていた。

 そして、ベルリアが出勤してきたので、何も案も策も無い健一は、誠実が一番と考え正直にベルリアにお願いしたのだ。



「……は?」


 出勤早々、何を良いだすんだ此奴と健一を見るベルリア。

 当たり前である。

 朝、出勤したらいきなり胸を揉ませろと、頭のおかしい事を言われたのだから。


「ん?

 ああ、確かに突然そんな事言われても困るよね。

 誤解しないでくれ、さっきも言ったけど揉むのはアレスで俺じゃない。

 相手は、子供。

 子供の純粋なお願いじゃない。

 きっと、お母さん恋しさに、おっぱいをモミモミしたいだけなんだよ」


「いや、なんで私がそんな事をしなければいけない?

 絶対に嫌だ。

 大体、お母さんが恋しいなら、お母さんのおっぱいをモミモミしたらいいじゃないか」


 完全拒否の構えのベルリア。

 詐欺師の癖に身持ちの固い奴めと、身勝手かつ理不尽な事を思う健一。

 だが、ここで諦めたらアレスが父親のダモンにある事ない事言って何かしらの罰、下手したら殺される事だってあり得る話だ。

 自分やアリサの保身の為にもベルリアの協力がどうしても必要なので、健一は強く出る事が出来ない。

 そもそもベルリアに何のメリットもない無茶なお願いなので、お願いする事自体間違いなのだが……

 いや、そもそも、なんでアレスの為に、俺がこんなしょうもない苦労しなきゃならないのか?

 健一は、バカバカしくなってきた。


「やっぱ、俺のような立派な大人ならいざ知らず、あんなエロガキに揉ませてあげようなんて思わないよなぁ?」


 ベルリア、お前の気持ちは解る。 と、したり顔の健一。


「お前の頭が大丈夫か?」


 ベルリアは心底うんざりした顔で答えた。

 朝からこんな話を聞かされるベルリアが気の毒である。


「まあまあ、そうカリカリしなさんな。

 俺も最初からこんな無茶苦茶な話、いくらお前でも、受け入れてもらえるなんて思わないよ。

 それでも、ほら、俺って責任感が強いから、アレスにお前の胸を揉ませてやるって言っちゃったから、一応やるだけやってみようって思って声をかけてみただけだから。

 ほら、お前って詐欺師だろ?

 普通の人にこんな無茶苦茶な事聞けないけど、悪人に対してなら罪悪感もないし。

 まったく、朝から無駄な時間だった。

 アレスったらとんだセクハラ野郎だよね? まあ、お前も俺に頭を下げさせたパワハラ野郎だけど。

 フフフ、気にするな。

 俺は、そんなの気にしないからね」


 笑顔で喋る健一だが、みるみる機嫌が悪くなっていくベルリア。

 ベルリアは仕事の為に出勤してきただけで、健一が一人で騒いでいるのに、気にするなと言われてブチ切れそうになるのは当然である。


「ぷっ。

 それにしても、笑えるよな?

 やっぱアレスって、子供。

 ぷぷぷ。

 お前の胸の、どこを揉めるっていうのかね?

 アリサみたいにデカけりゃ揉み甲斐もあるってもんだろうに…… ぷ」


 半笑いの健一がベルリアの胸を指さして言った。

 怒りを通り越して能面のような表情になったベルリアが拳を握る。




領主の屋敷、従業員用食堂――



 出勤してくる、ベルリアにお願いする為に遅くなった朝食を食べる健一とミキ。

 アリサは通常の時間に朝食を済ませていたが、健一の指導員なので行動を共にする為に健一と向い合せに座っている。


「ほら、ちゃんとよく噛んで食べるんだぞ!」


 食事の入った皿を床に置いて健一がお座りしているミキに言った。

 ミキ用の食事と言ってもスープに骨や残り物が追加されているだけで、健一達の食事もそう違わないものが出されている。

 ろくに噛まないで飲み込む食べ方は体に良くないと、健一はミキを心配して注意した。


「ワォンワォン!」


 ミキは、毎回口うるさく同じ事を言う健一に、「はいはい解りました」的に適当に言うとガツガツと食べ始めるのだった。

 ヤレヤレと思いながら健一はスプーンを手にする。


「そんじゃ、アリサ、申し訳ないけど、俺も食うからな」


 アリサの前のテーブルの上に何も無いのに自分だけ食べる事の罪悪感から言った健一。


「私は、もう済ませてるから気にしないで。

 ……ところで、その顔、どうしちゃったのよ健一?」


「ああ、これね。

 朝、ベルリアにおっぱい揉ませてくれって頼みにいったんだけどさ、何だかんだと屁理屈ばっかでよう、やっぱ詐欺師だな。

 そんで、俺もバカバカしくなってベルリア、お前になんて頼まねぇって思ったんだけど、大人だからそこはグッと我慢したんだけど、何故かぶん殴られた。

 本当に意味が解らない」


 アリサに聞かれて左頬が真っ赤に腫れあがった健一が言った。


「意味が解らないって、そう思う意味が解らないわ。

 そりゃ、ぶん殴られて当たり前じゃない。

 おっぱい揉ませてくれって…… ハァ〜。

 アンタが俺に任せろって言うから一人で行かせたけど、やっぱり行かせるべきじゃなかった。

 何か考えがあるのかと思ったら、何にもなかったみたいだし。

 そもそも、胸を揉ませろってお願い自体、どういう言い方しても無理なんじゃないの?

 それを何故いけるって判断したの?

 やらなきゃアンタも痛い目に合わなくて良かったのに、バカねぇ」


 呆れるアリサ。

 だが、健一はアリサの意見に思うところがあるらしい。

 不満が表情に出ている。


「違いますよ!

 やる前から諦めるなんて考えは、間違ってる。

 お前、高校球児が甲子園で試合が始まる前に勝てないから今日は試合辞めますって言うか?」


 机をドンと叩いて熱弁する健一。

 だが、当然の如くキョトンとするアリサ。


「高校球児ってなによ?

 意味わからないんですけど」


「野球部に所属する高校生だよ」


「野球部? 高校生?」


 国も世界も違うのに伝わる訳がないと、潔く説明を諦める健一。


「いいから、ベルリアがダメだったんだから、お前の胸をちょちょっとアレスに触らせてやれよ。

 何かしないと、あのガキが癇癪起こしてダモンに言って俺達が処分されるかもしれないじゃないか」


「なんで、私?!

 あんたが、アレス様に約束したんだから、自分で何とかしなさいよ」


「アレスだって、その方が嬉しいだろ?

 ベルリアにも言ったけど、ほら、アイツって胸ないじゃん。

 だから胸の無いベルリアよりも、お前の方が胸がデカくて揉み甲斐がある! って言ってあげたからな!」 


 えっへん! とばかりに胸をはって言った健一。


「……ぁあ、本当にバカなんだぁ」


 しみじみとアリサが言った。

 その言葉に健一が耳を疑ったような顔をしている。

 どうやら、彼的にはアリサの事を褒めてあげたと思っているようである。

 頭がどうかしているだけなので、気にしてはいけない。


「なっ! 折角、俺が褒めてやったのに、なんだバカって。

 人にバカって言うのはどうかと思うが、今はそんなのどうでもいいから、アレスに胸を、ねぇ、頼みますよアリサさん。

 相手は子供なんだから気にしないで、大体、アレスとした約束の為になんだよ!」


「約束って……

 あのね、相手の了解も無しに勝手な約束をした、ア・ン・タが悪いんだから、自分でどうにかしなさいよ」


 ビシッと強めに言われた健一が黙る。



「ワォン!」


 キレイに食べてお皿も舐めてピカピカにしたミキが「ごちそうさま」と吠えた。

 アリサは、健一よりよっぽど、まともだとミキを見て思った。

 その時、黙っていた健一が口を開く。


「……ぐぬぬ、冷たい奴め。

 その、非協力的な態度、どうかと思うぞ」


 喋ったと思ったら、何故か被害者面である。

 これが健一なのだ。


「……大体、子供の癖に、エロい事しようなんて考えが間違ってるよな。

 生意気だ。

 大人の俺だって、エロい事をしたくても出来ないのに!

 理不尽。

 アリサお前もそう思うだろう?

 俺があまりにもかわいそうだ!」

「もう、黙れよお前。

 そういう行為したいなら、売春宿にでも行って来いよ」


 うんざりなアリサ。


「バカ野郎、そんなとこ病気が怖いじゃないか!

 それに……

 最初は、……やっぱ、

 好きな人とじゃないと、……ねぇ?」


 頬を染めて、同意を求めてきた健一にアリサは、イラっとした。



「……どうでもいいけど、こんなゆっくりしてていいの?

 魔法の授業の前にアレス様に謝って、約束なかった事にしてもらった方が良いんじゃない?」


 なんで私がこんな罰ゲームみたいな、お荷物野郎の世話係なんだと頭を抱えるアリサ。


「なるほど!

 そっか、そうだよね!

 ちゃんと話あえば、丸め込めるかもしれない!

 どうせ、相手は子供だし何とかなるよ、きっと!」


 アリサの言葉に何か希望を持った健一。

 アレスに話をしてみようと思ったのだ。

 まあ、それでガタガタ言うようなら、一発ガツンと拳骨で解らせれば良いと、昭和の教師のような思考をする健一であった。

そもそも、アレスは女性に対する考えが間違っている。

尊重する心が足りないんだな、ありゃ。

所詮子供だからな、大人の俺がガツンと言ってやりますとも!

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