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回想

異世界に流されてしまった広斗と光。

そこは過酷な世界だった。

2章.異世界


◇ ◇ とある日常(現在)◇ ◇


「ただいま。」


「おかえりなさい。広斗。」

「 「 パパおかえりー 」 」


「大体ふもとまでの地形も整理がついたよ。

 街の付近の様子も。

 3年もかかっちゃったけどね。」


「どう?街の様子は?」

「うん。ご飯食べながらゆっくり話そうか。」

「 「うん!パパのお話聞く~!」 」


・・・


・・・あれから7年が経過していた。


大気も大地も、その構成要素は地球とほとんど変わらないだろうと言うことが私とひかるの調べで既に分かっている。


あの日、この異世界にたった二人で流された。

そう、『流された』のだろうと言うのが私達の結論になった。



  ◇ ◇ 回想 ◇ ◇


 僕があたりを見回していると、

 間もなく柴杏さんも目を覚ました。


それまで、同じクラスでありながら、数えるほどしか会話を交わしたことのない彼女だったけれど、つたない言葉を交わし、無事を確認し、そしてあたりを見て回ることにした。


その結果、今いるこの場所は、ここに流されるまでの私達であれば、とても息が詰まって生き続けることなどできないような環境だった。


・・・


それは、この泉の周囲を歩き回っている時突然訪れた。


ある一歩を踏み越えたその瞬間、押しつぶされるような恐怖が突然襲ってきたのだ!


僕は失神しそうになり、膝から崩れた。

それをかろうじて耐え、すぐ後ろにいた柴杏さんに支えてもらい、転げるようにして一歩後ろへ転がり込んだのだった。


「この先、やばい、なにかいる。とんでもないのが。」


「大丈夫?

 何があったの?」


彼女は驚いた様子で僕にそう聞いてきた。

だが、あの恐怖を口で表現することはとてもできそうにない。


「・・・少し、落ち着きたい。」

「う・・・うん。」


 体中が恐怖に支配されていた。

何なんだ、あの訳の分からないプレッシャーは。

アレが、殺気・・・というものなのだろうか?



 やがて、自分の背に暖かなぬくもりを感じると、今の自分の状況を認識するに至った。


 こんなに・・・密着するのは初めてだな。

なんだかとても安心する。


僕を抱える格好になっている彼女は、柔らかくて、とてもいい匂いがして、次第にさっきまでの恐怖が薄らいできた。


多少冷静さを取り戻して、今感じたことを彼女に話す。


・・・ほんの1mほど先を指して、


「そこ。そこから先、植物体系が全然違う。

 で、一歩踏み越えたらもう死ぬかと思った。

 たぶん、向こうの方にヤバい奴がいるとか、そんな感じ。」


「そう・・・なんだ。

 凄い汗。

 平気?」


「うん。ありがとう。おかげで正気を保っていられた。

 まだまだ平気とは言えないけど。

 でも、・・・だいぶ落ち着いた。」


「う、うん。」


 それから更に少し休憩し、柴杏さんと一緒にその境界線に沿って歩いてみる事にした。

 はっきりとわかるその境界線のだいぶ内側を二人で歩いていく。

周囲に目を光らせるけど、襲い掛かってきそうな動物なんかは見当たらない。


 そして間もなく僕たちは一周し終えた。


 あの泉を中心に直径にして100m程、それが安全圏内だと言う事はすぐに分かり、僕たちが歩き回るその間も、何かが襲い掛かってくる様子はなく、ひとまずほっと胸をなでおろした。


 僕たちは泉の方へ戻り、これからの事について話すことにした。


「この泉の周辺はひとつの安全圏みたいなものなんだと思う。

 その外側にはよく分からない・・・ひょっとしたら魔物みたいなものが住んでいるのかもしれない。

 僕が知覚したと言う事はあっちにも察知されたかと思っていたけど、そんなこともないみたいだ。

 何かに襲われることもなかったし。

 柴杏さんも気になるなら一歩踏み出してみると実感できると思う。」


「ううん、白峰くんのあの様子はただ事じゃなかった。

 興味がわいたらやってみるかもしれないけど、当分おとなしくしてる。」


 それにしても・・・僕らのようなただの人間が何であんな『殺気』のような気配を感じられたんだろう?

それが強すぎたからか?


あれ・・・?

そう言えばなんだろうこの不思議な感覚は?


自分の手を見つめる。

そこにはなんだか今までにない力を感じた。


・・・ギュッと力をこめる。

・・・すると、ボワッと火の玉が湧きあがった。


「おわっ!なんだこれ!」


 これが私たちの、『魔法』の気づきだった。



今後もどうぞよろしくお願いします。

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