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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第七章  『導く者の居ない世界へ』
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4  似た者同士

 4  似た者同士

 

 

「死んだ精霊達は⁉︎ 私達もう会えないの⁉︎」

 

 一段落して、尻尾を巻いて逃げようとしていた神とマサフミに問い掛けた。

 

「あ、あぁ、すぐに縛りを解放してやるでな? 取り敢えず、やる事が多くてな……先に帰らせてもらうぞ?」

 

 何か含んだ言い方だな? まぁ良いか。

 

 神とマサフミがこの場から消えた。

 

「メミ?」

 

 後ろから、声を掛けられた。

 

 この声は……もう、騙されたりしないんだからね? 偽物なんて、もう懲り懲りなんだからね⁉︎

 

「ミオナさん⁉︎」

 

 私は振り返り、その優しい笑顔を見て感極まってしまい、衝動的に抱きついた。

 

「メミ? 良くやったね? ごめんね……辛い役目押し付けちゃって……」

 

「本当だよぉ‼︎ 私、私……あの日から、不安で、心細くて、自信が持てなくて、辛くて、なんで、何で私なんだって‼︎ ……思って、いたんですよ……?」

 

「メミ……? 泣かないで? ごめんね。あなたは、なんかね? 託したくなる何かを持っているの。厳しくしてごめんね? わたしの想いを、押し付けてごめんね……今日だけは、ちゃんと素直になりたい。ずっと、こうしたかったの」

 

 ミオナさんも、私を、抱き締めてくれた。

 

 ってか多分、こんな事するの初めてなのかな……? 締める強さが尋常じゃない。痛いんだよ。でも言い辛いんだよ。スイカくらいだったら割れる勢いで抱き締めてくれてる。でももう無理……

 

 はっきり言う事なんて出来ないから、興味を他に移してみよう。

 

「神に、言いたい事言ってやりました!」

 

 矛先を神に向けてやった。

 

「神……あのジジイマジで‼︎」

 

 えっ? いやっ‼︎ いた、痛ァッ‼︎ さっきより締め付けてんだけど⁉︎ くるみすら割れるレベルだって‼︎ ミオナさん⁉︎ 加減を知りなよ加減を‼︎

 

「どうしたんですかミオナさん⁉︎」

 

 思わず聞いてしまった。

 

「さっきの神の話し、時系列がバラバラなんだよ‼︎ ……まぁ、どれがどの時期でとか言っては無かったけど。印象操作されてたんだよ‼︎」

 

「そ、そうなんですね……すいませんもう無理‼︎ 離して、下さい……」

 

「えっ? あぁごめん。ちょっと力入り過ぎちゃった」

 

 ゴリラかよ……ちょっとじゃ無いって。やっとしがみついていた腕を離してくれた。

 

「良いんですよぉ……」

 

 骨折れてんじゃんこれ?

 

「メミ? わたしがパートナーのトキオに仲間を集める様に言い出したのは、チイナが殺戮を始めた後だったの」

 

「えっ?」

 

「さっきの神の話しでは、わたしが覇権を握る為にトキオに人海戦術を唆したみたいに聞こえるけど、違う。チイナのパーティーに勝つ為に、戦力を上げ、仲間の精霊を増やさないとと思ってトキオを促しパーティーの人数を増やした。どうにかしてチイナを止めないとと思ったんだ。それをあのジジイ……まぁ、わたしの方法も、正しくは無かったのかもしれないね。メミ? 最後はヤキモキしっ放しだったけど、メミに託して良かった。何て言ったら良いのか? 一言で表すと、とても良いラストだったよ!」

 

 その言葉を貰った時、私には、悪寒の様なものが走った。

 

「……違います。私は……間違ってばかりでした。リナと、マイが殺されてしまった」

 

「居るよ? そこに居るじゃん! どうしたの? メミ」

 

 分かっているけど。

 

「それは、終わった後だから分かった事。殺された後、何処に行くかなんて私達は知らなかった。もしも、それで地獄みたいな所に行くってなってたらどう思います? マインドブレイクに掛かったイーグルを殺せばその不安なんて無かった。私は無駄に、みんなの未来にリスクを増やしただけなんです」

 

「でも……みんなが納得する、良いエンディングだったとわたしは思うよ?」

 

「それは、アヤト君のおかげなんです‼︎ 私は、竜魔王を仲間にするとか発想、無かったもん。私が誰かに殺されてエンドなら、マインドブレイクに掛かっているイーグルを殺してエンドの方が早く決着がついた。リナも、マイも殺されなかった‼︎」

 

「違う……わたしは、見てたよ? イーグルを殺しても、竜魔王を殺す事はアヤトには出来なかった。メミが! マジイレギュラー過ぎだったと思うけど、竜魔王と融合してその身体を操れたから、みんなが納得する結末になったんだよ⁉︎」

 

「アヤト君さえ説得出来れば、竜魔王を殺せば、みんなが納得してた。イーグルもそう。私と、アヤト君がみんなの意見を聞き入れていれば、被害をもっと抑えられたんだ‼︎」

 

「総司令‼︎」

 

 リナが、抱きついて来た。

 

「メミは優し過ぎるんだよ。後は、任せたからね?」

 

「ミオナさん? なに、それ?」

 

「総司令? 本当は引っ叩いてやりたかった……でも、そんな事出来無いもん‼︎」

 

「……良いんだよ? 私のせいで、リナは死の苦しみを味わったんだから」

 

「違うよ‼︎ 本当分かってない‼︎ わたしは……本当に、わたし達の望む未来へ連れて行ってくれた総司令に、ありがとうって言いたいんです!」

 

「えっ? ……でも私?」

 

「叶えてくれたじゃないですか⁉︎ ずっと見てました! あの時、イーグルを殺すよりも、最高のエンディング、見せてくれたじゃないですか‼︎」

 

「でもそれは……たまたまで……アヤト君のおかげで……」

 

「メミっち‼︎ 何謙遜してんすかぁ! それ言うなら、アヤトの方だってそうじゃ無いっすかぁ? アヤトだって、メミっちのおかげでプランC出来たんだから! マジなんかなぁ、似た者同士なんだからさ」

 

 マイ? あっ、確かにそうだな。

 

「もう、難しい事は考え無くて良いんです。本当……凄いもん総司令は! はぁ、良い匂い。安心する」

 

 リナがちょっと変態化してる⁉︎ ……でも、これはこれで良い。

 

「二人が、そう言ってくれて助かるよ」

 

 周りを見渡した。良かった。本当にみんな蘇ったんだね。

 

 みんなと距離を置いた所に、チイナがポツンと佇んでいた。自業自得ではあるのだけど、どうしても気にかけてしまう私が居た。

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