1 全てを一つに
第七章 『導く者のいない世界へ』
1 全てを一つに
私がリナとてぇてぇしてた時、アヤト君は一つの提案をしていた。
それは、みんなのパーティーを全て解散して、一つのパーティーにするという案だった。その案の最大の利点は、パーティーメンバーからの攻撃は全て無効になるという事にあった。無益な争いが起こらない様にする為の策だと思った。
パーティーの加入、離脱の方法が分かった後、全てのパーティーを解散した。
「よし、それじゃあアヤトの策を始めよう」
「うん。ザリガニ、カイト、ルナ、パーティーから、抜けてくれ」
ザリガニ、カイト、ルナがアヤト君のパーティーを抜けた。
「次はボクだね、ノエル、ユウヤ——」
ノエル達が、ルイのパーティーを抜けた。
「俺の番か? ユキナ、ゴロウ、パーティーから抜けてくれ」
ユキナ、ゴロウがトキオのパーティーを抜けた。
「オゥレの番ですねぃ? ハヤト、トウヤ、タイチ——」
ハヤト達がピスオ、じゃなくてマモルのパーティーを抜けた。数多いな⁉︎ まぁ元はトキオの作ったパーティーだけど。
「リッカの様にどこのパーティーにも所属していなかった者も含めると、凄い人数になるな? これから改めてここに居る全員とパーティーを組んで行く事になるんだけど、始めの二人はとても重要だよ? パーティーの初期メンバーとの握手じゃ無いと、仲間になれない事は実証済みだからね」
ルイがパーティーへ加入する設定の説明をしてくれた。本当助かるよ。わざわざヨルシゲ使って言わなくて良いんだから。
「この世界の長になる様なもんだもんな? 気に入らない奴をパーティーから外したり、自分の利益になる奴を新しくパーティーに加入させる事が容易に出来るんだもんな」
トキオが言った。本当そんな悪知恵ばっか働くんだよこの子は‼︎
「そんな事させない‼︎」
そうだそうだ! アヤト君言ってやれ‼︎
「そうか、じゃあ一人はお前で決まりだな」
そうなるの?
「えっ? ……僕が? ……嫌なんだけど?」
「嫌って⁉︎ そんな事させねぇんだろ⁉︎」
「そうだけど……僕は! ザリガニをお勧めするよ‼︎」
自分がなりたく無いだけだな? 逆にトキオは、アヤト君にその役目をやらせたい感じに見える。
「ザリガニでも良いんだけどよぉ、それじゃあ元アヤトのパーティーが覇権握る形になっちゃうだろ?」
「いや! 僕とザリガニは同じ気持ちだ‼︎ ザリガニと君がなれば良いだろ⁉︎」
アヤト君本気で嫌がってんな? リーダー決めてた時、私とミーヤが揉めてて見て無かったけどこんな感じだったのかな?
「別にボクは、アヤトさえ居れば良いと思うよ? アヤトとザリガニで良いんじゃない? ってか……君、ザリガニって名前なの?」
ルイ知らなかったんだっけ⁉︎ 初見殺しの名前だなぁ……
「オイラはもういいぜ‼︎ ってか……なんだかんだアヤトの意見に合わせて来たからなぁ」
ザリガニ? 結構リーダー頑張ってたと思うよ? ってか、何かみんなさ、リーダーを奪い合うなんて事しないんだね? ここでのリーダーは結構重要な意味を持つと思うよ? ちゃんと、他人を思いやれる人間になってるじゃん! それだけで私、なんか……みんな成長したねぇ? みたいになって涙腺緩んでるんだけど?
「そうだ! それじゃあ手を重ねてやってみるのはどう?」
「どういう事だいアヤト?」
アヤト君が、手の甲を差し伸べた。
「握手をするんじゃ無くて、みんなの手を重ねてやってみよう! そうすれば、パーティーの初期メンバーは大人数でもいける! もし無理なら、輪になって手を握ってやってみよう!」
「おぉそうだな! トライアンドエラーでやってみるか?」
アヤト君とザリガニとトキオが、手を重ねてルイを待った。
「おい! 何してんだよ?」
トキオがルイに言った。
「ボクは……」
「何言ってんだよ? お前が居なきゃパーティーメンバーになったのか分かんねぇだろ?」
「まぁ、そうだね……」
どうしたルイ?
四人が手を重ねて、ザリガニが大声で言った。
「オイラと、仲間になってくれぇ⁉︎」
「おう!」
アヤト君とルイとトキオが声を重ねた。
「……ルイ? どうかな?」
「パーティーメンバーに、なってる!」
「これでもいけんのか⁉︎ 縛り結構緩いんだな?」
「でも、ちゃんとみんながパーティーの結成メンバーとなっているかが分からない。それぞれ握手をして、パーティーに誘ってみよう!」
「分かった!」
アヤト君はルナに、ルイはノエルに、トキオはユキナに、ザリガニはマモルにパーティーへの勧誘をして、返事を貰い握手をした。
「ルイ? どうなった?」
「大丈夫だ。ちゃんと仲間になってる」
「よーし! この調子でみんなを同じパーティーに入れるぞ!」
「待ってくれよ‼︎」
ルイが、浮かれているみんなを制止した。
「なんで、そのまま話しが進んで行くんだ?」
「はっ? だって作戦は成功したんだろ?」
「でも……ボクが、初期メンバーに居るままじゃないか……」
「……だから、なんだよ?」
トキオが、苦しそうに俯いているルイに聞いた。
「駄目だろ! ボクは、みんなから信頼されない人間だ‼︎ ボクを、初期メンバーにしたら駄目だろ……自分が、一番分かってる……」
ルイは、今までの過ちを引き合いに出して、自分は相応しく無いのだと主張した。
「それを言うなら、俺も同じだ」
「えっ?」
「みんなに、悪い事ばかりした。それなら俺も、そんな資格ねぇよ」
「それなら、尚更初期メンバーは吟味するべきじゃないのか⁉︎」
「別に、俺はやりたいって訳じゃ無い。でも、やらなきゃいけねぇんだ! 責任なんて負いたくねぇ。自由に生きてやろうなんて思ってた。でも、アヤトを見てるとよ、俺も、迷惑掛けた分は、返さなきゃいけねぇって思ったんだ。正直、リーダーに相応しいのはアヤトだけだと思う。でも、その当の本人がよぉ? やりたくねぇって言うんだもんよぉ。なら、俺達が隣に立って、支えていかなきゃって思ったんだ。それが、罪滅ぼしでもあり、恩返しってもんじゃねぇのかよ?」
何トキオ⁉︎ そんな事まで考えてくれてた訳⁉︎
「ボクは……でも……」
ルイどうした? アヤト君みたいにモジモジしてるぞ?
「そういう魂胆だったのか……僕は! リーダーなんて嫌だ‼︎」
アヤト君……? 大声でそういう事言うの、パートナーとして恥ずかしいからやめて?
「はーいはい! アヤトは持ち上げて無理矢理じゃないとリーダー承諾しねぇ。ルイ! なんとなくでアヤトをリーダーに出来そうだったんだから邪魔すんなよ? オイラ達みんな、お前が四人のリーダーの内の一人ってちゃんと受け入れてたんだからよぉ? 責任取って、アヤトの事納得させてくれよ?」
何か格好つけてないザリガニ? でも、言いたい事は分かったよ! 嫌がるアヤト君を、無理矢理にでもリーダー格にしときゃどうにかなるって事ね! ちょっと違うかもしれないけど、アヤト君は藤崎竜版の銀河英雄伝説のヤン•ウェンリーみたいな感じ? 上に居てくれれば、どうにかして良い方向に導いてくれるみたいな……全然違うか⁉︎ ヤン様はいつも状況読めてるもんなぁ。
「アヤト⁉︎ ボクは、リーダーになる資格なんて無い……」
ルイがアヤト君に懺悔した。
「僕だって! リーダーになんかなりたくない‼︎」
「えっ? あの……そういう話しじゃなくて」
「どういう事? やりたく無いよね? って話しじゃ無いの? やりたいならやれば良いじゃ無いか‼︎ 僕を解放してくれ!」
アヤト君、哀れだよ?
「……ボクが‼︎ 君を全力でサポートする! 君には、リーダーで居て欲しい‼︎ トキオとザリガニと一緒に、全力で君を支えるから‼︎ リーダーに、なってくれよ」
「えっ⁉︎ 急におかしくない⁉︎」
「決まりだな?」
「みんなの意見で決まったんだ‼︎ テメェに選ぶ権利なんて無いんだからな⁉︎」
「そんな……」
そんなこんなで、アヤト君、ルイ、トキオ、ザリガニを初期メンバーに置いて、全てのプレイヤーは一つのパーティーになった。