33 竜魔王討伐戦⑳ フュージョン
33 竜魔王討伐戦⑳ フュージョン
「……? なんだ? 竜魔王が⁉︎」
トキオがめっちゃ驚いてた。
「どういう事だ?」
ルイ、そりゃ訳分かんないよね?
「何ですかこれは⁉︎」
ルナが三人の元に駆け寄った。
「竜魔王! やっと、やっと分かってくれたのか⁉︎」
アヤト君違う‼︎ それ見当違い‼︎ 確かに……ヨルシゲ以外の人の気持ち分かん無いんじゃないこの人?
「クッ、クゥックク……力が、力が溢れて来る‼︎」
フュージョン? 融合的な意味だよね? 竜魔王と、融合したの⁉︎
二つの身体は一つに重なり、イーグルベースの身体に収まりデビルマンの様な姿をしていた。ってかマジでフリーザじゃん? 最後、小さくまとまった形の方が最強みたいなさ。
「追い詰められて、真の姿を現したのか?」
ルイは、警戒心に満ち溢れた声で呟いた。
「あ……あれが真の姿? ち……小さくなってさっぱりしちまって、迫力が……」
トキオ……? 三百四話のクリリンと同じ様な事言ってるよ?
「クククッ、アァァッハハハハハハァ‼︎ 最高の気分だ。オイ精霊達‼︎ もう蚊帳の外じゃ居られ無いぞ? わたくしからお前達は見えているし、攻撃も届く! 許しを乞い、憐れに逃げ惑えば見逃してやらなくもないがなぁ?」
「精霊? 何の話しをしているんだ?」
ちょっと? そんなタブーまで口に出す訳⁉︎
「取り敢えず! アヤトとルイトキオ! ルナから手を離さないで下さい‼︎」
ルナは、竜魔王•改、のポテンシャルに気が付いていた様だ。
「アヤト!」
ユキナの声が、アヤト君を呼び掛けた。
「えっ?」
「突然戦ってた奴らが消えた! どうなってんだ?」
イーグルの魔法が解けたのか? でも……
「駄目だ! こっちに来るな‼︎」
「遅い」
竜魔王・改は無数の火の玉を創り、ユキナ達へ向け放った。
「みんな! 早く手を……」
「言葉が分からないのか? もう遅いんだよ」
「うわぁぁぁぁあ!」
「何だよこれ⁉︎」
ユキナ、ユウヤ、ノエル、マモル、リッカ、ゴロウが、竜魔王・改の創った火の玉に取り囲まれてしまった。
「人質だ。逆らえば、そいつらの周りに揺蕩う火焔を当て殺す。下手な動きをすればすぐに一人殺すぞ? 交渉の駒は六つもあるからなぁ?」
詰んだ……? なんだよこれ? 全部私のせいじゃん。私が⁉︎ あの時、イーグルを殺す事を受け入れてれば、リナも死なずに済んだ。こんな事にならなかった‼︎
「私のせいで、私のせいで、私のせいで、私のせいで」
ナキが私の右手を握った。
「えっ?」
ミーヤが、私の左手を握った。
「なんで?」
私、間違えたんだよ? 本当に大事な、大事な大事な選択を間違えたんだよ? 罵られ、罵倒されて、殴り殺されても不思議じゃ無い。
「まだ、諦めるには早すぎます‼︎」
「また良くない事考えてる顔してる。リナがあんたに言った言葉を、あんたが忘れてどうすんだよ‼︎」
「ミーヤ……ナキ……でも?」
もう、打つ手なんて……
「あたし達のパートナーの事、忘れんじゃねぇよ?」
「えっ?」
突然、ユキナが喚き始めた。
「やれるもんならやってみやがれ⁉︎ こんな火焔、屁でもねぇよ‼︎」
やめて……そんな怒りを買う事言ったら、標的にされちゃうよ。
「死にたい様だな? うるさい女は嫌いだ。死ね」
取り囲む火焔がユキナに襲い掛かった。
「イヤァァァァァァア……」
「クククッ、他に死にたい奴は居るか?」
もう、やめてよ……
「リッカは……死にたく無いけど、どぉりゃぁぁぁあ‼︎」
「阿保が」
リッカも、火焔に包まれてしまった。
「馬鹿のせいで駒が減ってしまった。どうするか?」
「僕の仲間に、馬鹿なんて一人も居ない‼︎ 訂正しろよ‼︎」
「クククッ、アヤト、何を熱くなっている?」
あれっ? 何かおかしい……アヤト君が、仲間が死んでその程度のリアクションな訳が無いんだ。
リッカの放った矢が、竜魔王・改に襲い掛かった。
「クッ! どういう事だ⁉︎」
その矢に神経を持っていかれ、その反対側から来るユキナの大鎌を、竜魔王・改は避けきれず左腕を失った。
「何ィッ⁉︎」
どういう事?
「あれ? メミチ珍しく状況把握して無いんですか?」
「ミーヤちゃんと意思疎通出来た。嬉しいし‼︎」
ナキがちょっとウザいんだけど? これは、ザリガニとカイトのおかげって事かな?