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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第六章  『竜魔王討伐戦』
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30  竜魔王討伐戦⑰  攻撃無効

 30  竜魔王討伐戦⑰  攻撃無効

 

 

 遊んでばかりいられない! 竜魔王がアヤト君達のすぐ傍まで来ていた。

 

「ごめんリナ! 三人に今までの事伝えてくれる?」

 

「了解です総司令!」

 

 四人が話しを始めたのだが、ナキとミーヤはチラチラとマイのちょいデカおっぱいを見ていた。ねぇ? お願いだから真面目にやって?

 

 戦場に目をやると、アヤト君がまた竜魔王に話し掛けていた。ってか近っ‼︎ 大迫力だな。

 

「竜魔王? 頼むから、こんな事はもうやめてくれ!」

 

 やっぱり、まだそんな事言ってる。

 

「まだそんな事を言っているのか? ルナと言ったか? そいつが居るせいでお前はいつまでも絵空事を並べ立てるのだな? クゥハハ! ルナ? お前血を流しているな?」

 

「えっ、これは……違います」

 

「気付かなかった私も馬鹿だった。その傷は、吹き飛ばした時に出来た傷だろう? お前も、そういう攻撃をすれば殺せるという事だ」

 

「ち、違います」

 

「それじゃあ、試してみるか?」

 

 竜魔王が、大きな拳を振り上げた。

 

「竜魔王! やめろ。まだ、今からならやり直せる!」

 

 アヤト君、それは優勢の時じゃないと竜魔王には効力無いよ。

 

「クァッハッハッハッ‼︎ まだ言うか⁉︎ お前達を殺す術を見つけたこの竜魔王に、そんな言葉が通用しない事など分かっているだろう⁉︎」

 

「君は、今までの戦いで傷付き過ぎた。もう、僕達を全滅させる事は出来ないよ?」

 

 さすがに、そんなブラフじゃ切り抜けられないよ? それとも……

 

「死ねェェェェェッ‼︎」

 

 何か希望が残されているというの? 

 

 竜魔王が拳で、アヤト君とルナの目の前の地面を抉ろうとした。

 

「ドォリャァァァァァァァァア‼︎」

 

 その時、トキオの叫び声がこだました。その声の方向へ目をやると、トキオとルイがヨルシゲの背に乗りこちらに向かって来ていた!

 

「ギィャァァァァァァァァァアッ‼︎」

 

 ちょっ‼︎ 二人共死んだんじゃ無いの⁉︎ って竜魔王どうしたっ⁉︎ あっ、トキオの大剣が左脚に突き刺さってる! 投げたのか? あの大剣投げて当てるとかヤバいな!

 

「トキオ、ルイ、早かったね?」

 

 アヤト君は、二人が生きている事分かってたの? ってか何で生きてんの?

 

「危ないとこだったなぁ⁉︎ 一か八か投げてみて良かったぜ‼︎」

 

「トキオ? 地面を抉られ吹き飛ばされたくらいじゃ二人はまだ死ななかったよ? 君、もう武器使え無いじゃないか?」

 

 冷静だなルイ。ねぇ? これどういう事?

 

「アヤトから聞いた時は、まさかと思いましたよ」

 

 ルナも聞いてた。私だけじゃん! 知らなくてヒヤヒヤしてたのは!

 

「ヨルシゲが僕達をここまで送ってくれた後、行かなきゃいけない場所があると言ったんだ」

 

 えっ? 言ったの? ヨルシゲ喋ったの?

 

「ルナには、バウゥゥゥゥとしか聞こえなかったですけどね?」

 

 喋って無いじゃん。いや、ってか前からそうだよ! 何でヨルシゲのそんな細かな心理まで読み取れるの?

 

「僕は、なんていうか、人の言葉から、その人の感情というのが伝わってしまうんだ」

 

 前にも言ってたな。ヨルシゲの痛みが、自分の痛みの様に感じるみたいな。相手の心が、とても敏感に察知出来てしまうって事かな?

 

「だからって、俺達が生きてるって事まで読み取れるか?」

 

「ヨルシゲから、優しさと、希望の感情が読み取れた。ヨルシゲの向く方角は、ルイとトキオが居た場所だったから、それに、確証は無かったけど、気付いた事があって、もしかしてと思ったんだ」

 

「その、相手を感情を読み取るっての、ルイのやつに似てんな?」

 

「似て非なるものだね。ボクは相手の感情までは分からない。オーラの様なものを感じるだけなんだ」

 

 スピリチュアルな話しになってきてるな? 国分さんをMCにしてめちゃイケの裏で番組でも始めるつもりですか?

 

「ボクはルイの様な才能がある訳じゃ無い。みんなの感情が分かる訳じゃ無い、ただ、ヨルシゲは、友達だから分かるんだ。ずっと見てきたから、ちょっとした仕草とか、表情とかで分かってしまうんだ」

 

 良かった。急にオーラの泉始められても困ったもんだよ。

 

「お前達、この程度でよくくっちゃべってられるな?」

 

 確かに‼︎ 竜魔王が四人を見つめ言った。

 

「ルナ! 君の力を借りたい!」

 

「は、はい! でも、もうルナに出来る事なんて……」

 

 アヤト君は、ルナを引き連れ、竜魔王の背後に回り込んだ。

 

「ルイとトキオを置いて行くのか? 薄情な奴だ! クゥアッハハハ‼︎」

 

「オイ竜魔王! 来いよ? ビビッてんのか?」

 

「やめてあげなよ。アヤトが怖くて仕方ないのさ」

 

 二人共、煽るの上手いね? ザリガニ超えてるよ。でもさ? 何でそんな余裕で居られるの?

 

「お前達、先に死にたい様だな? どうやって生き残ったのかは分からんが、お前達に火焔の耐性が無いのは分かっている。喰らえ‼︎」

 

 竜魔王が、凄まじい火焔を吐き出しトキオとルイを襲った。

 

「ギィャァァァァァァァァアッ‼︎」

 

 聴こえて来たのは、竜魔王の悲痛の叫び声だった。

 

 また⁉︎ ちょっと可哀想になってくるんだけど⁉︎ 見えたのは、ルイが炎の中を進み、魔斬ノ剣を一太刀竜魔王に浴びせる姿だった。

 

「これで、君の勝機は無くなった」

 

 えっ? ルイ? 決めゼリフ言った? なにを今までしちゃかちゃやってくれてた奴が最後おいしいとこ持って行ってくれてんの? 他に譲れや! ちょっと顔が格好良いからって調子乗ってんだよこの子は!

 

「なぁ? 何で俺達無事だった訳?」

 

 トキオ! ザリガニがいない時に間抜けキャラやれるのあなたしか居ないよ! 私も分かんないから聞いてくれてありがたい!

 

「あっ、分かって無かったのか? じゃあなんで竜魔王にあんな余裕で煽れたの?」

 

「まぁ、アヤトの事はまぁまぁ分かってるつもりだからよ。アイツが、俺達を見捨てて逃げる事は百パー無ぇんだ。何か秘策あんのかなって思って、それだけ」

 

 それで命賭けたの⁉︎ ヤバッ……アヤト君が、今までやって来た事の積み重ねが生んだ信頼厚いな……

 

「トキオをここまで懐柔するなんて、アヤトは底が知れないな」

 

「怪獣? 何言ってんだ? ところで、何で俺達無事なんだ?」

 

 そう! それ聞きたかったの‼︎ トキオ? 懐柔の意味分かんなくて怪獣? ってなった事はそっとしといてあげるからね?

 

「多分、ルナのおかげだろう」

 

「はっ? 俺達ルナに触れてねぇけど?」

 

「ボクには見えていたけど、二人は共に竜魔王の背後に回り込み、ルナが竜魔王の足に触れていたんだ」

 

「……えっ? だからなに?」

 

 うん。だからなに?

 

「ボク達が攻撃された時のルナの事を思い出してごらん?」

 

 あの時ルナは、竜魔王にしがみつき、こんな事やめてって懇願してた。あっ、まさか?

 

「覚えてねぇ」

 

 トキオ……そう、ですか。

 

「ルナと触れている者は絶対防御の加護を受ける。それと同時に、絶対に相手に攻撃が効かない状態、絶対攻撃無効状態になると推測出来る」

 

「なんじゃそりゃ⁉︎」

 

「確証は無かった。でも、ボク達が生きているって事は、そういう事だろう。アヤトもそれを遠目で見ていて気付いたんだ」

 

「ルナ……チートにも程があんな⁉︎」

 

「違うよ。よく考えてみよう、ルナに触れながら攻撃をするとどうなる?」

 

「その攻撃が無効になんだろ?」

 

「じゃなくて。言い方が悪かったね、その攻撃無効が無かったらどうなる?」

 

「えっ? ……最強じゃん? 木の棒でも負けるわ」

 

「そういう事だよ。アヤトはルナの絶対防御の加護を受けている時、誰かに攻撃した事が無いから分からなかったんだ。ルナ自身も、誰かを攻撃した事が無いから気付かなかったという事だ」

 

 そうだったのか。絶対防御って力が、この世界で覇権を持ち過ぎ無い様に定められたルールだったのかな? まぁその力を、アヤト君とルナは一度も相手を傷付ける為には使わなかったけどね。

 

 ……いやあったわ! ルナがアヤト君生き返らせた時、怒涛の猫パンチラッシュをアヤト君にお見舞いしてたわ! 傍から見てる分には分からなかったけど、あれ全くのノーダメージだったんだね⁉︎ だからちょっとアヤト君も変だなと思ってたのかな?

 

 竜魔王の頭頂部にルイが飛び乗った。

 

「とどめだ」

 

 ルイが、顎を地面に着けて、瀕死で呼吸をする竜魔王に、魔斬ノ剣を突き立てた。

 

「待ってくれルイ‼︎」

 

 アヤト君が、ルイの元へ駆け寄った。

 

「アヤト……君はまだ、竜魔王を生かす道を捨てる事が出来無いのか?」

 

「分かり合え無い者なんて、居ないと思うんだ」

 

「ボクは、沢山のプレイヤーを殺した。みんな生き返ったけど、その罪は消えない。ボクに、竜魔王を殺すという罰をくれ。竜魔王? ボクがちゃんと、君の事を悼んであげるからね?」

 

 ルイが魔斬ノ剣を振りかぶった。その手は、震えていた。

 

「嫌だ‼︎」

 

「ちょっ⁉︎」

 

 アヤト君の伝家の宝刀、タックルがルイに炸裂した。二人はコロコロ転がり、竜魔王の頭上から地面に転がり落ちた。

 

「アヤト! 今しか無いんだぞ⁉︎」

 

「それでも……それでも、待って欲しい……」

 

 ごめん。私も反対だよ? 竜魔王は、殺さないといけないんだよ? 分かっている筈だよね‼︎ ……やめて? そんな顔しないでよ。お願いだから、分かってよ……

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