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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第六章  『竜魔王討伐戦』
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23  竜魔王討伐戦⑩  精神破壊

 23  竜魔王討伐戦⑩  精神破壊

 

 

「どうして? どうしてどうしてぇ⁉︎ 私、死んじゃったのかな……イーグルに、殺されたのかな?」

 

「大丈夫よ。あなたが気に病む必要なんて無いの」

 

 あれっ? 私、何してたんだっけ? とても大事な筈なのに、思い出せないんだよ。

 

「私、何か、大切な事忘れてる気がするんです。この気持ちは、一体何なのでしょうか?」

 

「思い出さなくて良いの。あなたには、別の幸せが待っているわ」

 

「別の幸せ? 別の、って、なんですか? 何か、知っているんですか?」

 

「……思い出さなくて良いって、言ってるでしょ? わたしの言う事が聞けないの?」

 

「えっ? 何ですかそれ……」

 

「メミたん? 痛いよ。痛いよ……」

 

「チイナ⁉︎」

 

「痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い、イダァイ‼︎ イダァァァイ‼︎ いだいよぉぉぉぉォォォォォォオッ‼︎」

 

「ごめん、ごめん……痛かったよね。とても、痛かったよね……ごめん、なさい……」

 

「ゆるざねぇ‼︎ 呪ってやる」

 

「キヒヒッ、呪ってやる、呪ってやる呪ってやる‼︎ オレを殺しやがったァ! オマエも、オマエにも、ザイゴォォのグルしみ与えて殺してやんよぉ‼︎」

 

「レイジ……ごめんなさいごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「メミ?」

 

「ミオナさん⁉︎」

 

「私の代わりに生き延びた癖に、何も成し遂げられなかったんだ? 情け無い。返せよ。お前の為に死んだんだぞ? 命、返せよ」

 

「えっ、えっ、えっ……」

 

「何も出来ねぇんだったら最初からでしゃばんなよ。何もすんな。どうせお前には何も出来ねぇんだから」

 

「ミ、ミオナさん……?」

 

「小説書いてたんだっけ? 読ませてもらったよ? テメェのご都合主義で、歯に浮く様な甘い言葉並べただけじゃねぇか。あんなもんサイトに載っけんなよ。自分が恥ずかしいだけだぞ?」

 

「アッ、アッ……」

 

「才能、無いんじゃん? どっかで、運が悪いだけとか思って無かった? 見る人が見れば、面白さが分かるとか思ってたんじゃね? 無いから。気付けよ。馬鹿みたいに誰からも評価されない小説なんか書いて恥晒してんじゃねぇよ」

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァアッ‼︎」

 

「やめてあげなよミオナたん? チイナ達を殺した事で、その経験を基に、名作書き上げてくれるかもしれないじゃん?」

 

「キヒヒッ! 何て書くのかなぁ? 楽しみだなぁ? オレ達を殺して金、名声まで手に入れるんダァ⁉︎ キヒヒヒヒヒィッ」

 

「役立たず、馬鹿」

 

「ノロマ、クズ」

 

「恥晒し、死ね」

 

「……はぁぁぁっ?」

 

 ふざけんなよ。言いたい事ばっか言いやがって⁉︎

 

「小説書いて何が悪い? ただの趣味なんだけど⁉︎ 別に顔出してる訳じゃ無いし糞だと思われ様がなんとも思わないんだけど? 誰にもその事言って無いんだからバレる訳無いじゃん? 恥なんか晒して無いんだけど? あれ? さっき言った様な? あっ、でもあれは、私の話しじゃ無いってていで話したからセーフ。イーグルも気付いていない筈……イーグル? あっ、イーグルって奴と戦ってたんだった。イーグルは側近さんで、とても悪い奴で、マインドブレイクとかいう魔法掛けられたんだ。あっ、これそれか? しょうもない。こんな事で人の心が壊れるとか思ってんの? まぁ、ちょっと恥ずくてわぁぁってなっちゃったけど、そんなの一瞬だよ。仲間が馬鹿にされるとかより全然マシ。あんた達偽物でしょ? 私の創り出した弱い心みたいな? マジ、こんなのにもう惑わされ無いから」

 

「メミ? 謝りなさい。わたし達を殺しておいて、開き直るつもりなの?」

 

「ミオナさんは、そんな事言わない……消えろよ。これ以上私の好きなミオナさんを穢すなよ‼︎」

 

「はぁっ?」

 

「メミたん?」

 

「メミ?」

 

「アッ、アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ‼︎」

 

 プチュン

 

 ……なに? ゴッドのフリーズみたいな音したけど?

 

 あっ、戻って来たみたいだ。あちらの戦場は⁉︎ 竜魔王が、アヤト君に近付いて行ってる。ルナも追い付けそうに無い。ヤバい、何とかしないと! こっちは? 生き残った精霊達が倒れ、呻いている。マインドブレイクにやられているのか? イーグルは、あれ? 一人になってる。さっきまで五人居たのに。

 

 取り敢えずみんなを起こさないと、でも、動いてると戻って来たのバレちゃうよなぁ。あっ、さっきイーグルが教えてくれたミラージュ使お! プレイヤーに化ければ、イーグルも意識しない筈だ。

 

 周りからカイトと認識させる様に、ミラージュの魔法を小声で唱えた。

 

 ……上手くいったのかな? 自分じゃ分かんないや。近くのミーヤを起こしてみよう。

 

 うなされているミーヤの肩を掴み、静かに揺らしながら声を掛けた。

 

「ミーヤ。しっかりして。起きろー、朝だよー」

 

「やめて。み、みぃは、嘘吐きなんかじゃありません……」

 

 うなされてる。さては、ぶりっ子を咎められてるな?

 

「あっ、前こんな魔法ミオナさんが使ってたな、ウェイク!」

 

 ミオナさんとバトった時に、眠っているトキオに使おうとした魔法だ。

 

「あっ……ねこみみとれた……」

 

 ねこみみとれた? ……化けの皮が剥がれたみたいな事かな? まだ精神世界の中だ。やっぱり、精霊とプレイヤーに使える魔法は分かれている。その不思議な世界から早く救ってあげないと!

 

「ミーヤ! 起きなさい!」

 

 イーグルにバレないギリギリの声量を攻めてみた。

 

「うわっ‼︎」

 

 ミーヤが覚醒し、目を開いた。

 

「ミーヤ!」

 

「ん、うーん……えっ? カイト君……?」

 

 ミラージュは成功している様だ。

 

「あっ、違うくて、実は——」

 

「カイト君‼︎」

 

 ミーヤは私の言葉を最後まで聞かず、抱きついて来た。

 

「あ、あの、取り敢えず、声は小さめに」

 

 幸い、イーグルには聞こえていなかったようだ。

 

「私、まだ夢の中に居るのかな? カイト君まで、私の事を非難するの?」

 

 マインドブレイクが続いてると思ってるのか? 一人称もみぃじゃ無くなってるし。

 

「ここは現実だよ? 気をしっかり持って!」

 

 今、私はメミで、カイトの姿にミラージュでなってて、なんて言ったら、頭が混乱してしまうだろう。とりまカイトとして接して、落ち着いてから現状を話そう!

 

「現実……? 確かに、忘れてしまっていた記憶が甦ってる……」

 

「そうそう、ぼくが君をその世界から連れ出したんだよ」

 

「私が、見えてるの? 私を、抱き締めてくれたの?」

 

 まぁそうなるか……ってか、抱き付いて来たのはあんたの方だから‼︎ 記憶都合良く改竄されてない?

 

「落ち着いたかな?」

 

 あんまり時間も掛けてらんないし、ここらで——

 

「嬉しい……何でこんな事になっているのか分からないけど、きっと奇跡が、起きたんだろうね?」

 

 えっ? ちょ、ちょま! ちょっと待って‼︎ 泣かないでよ⁉︎ 言い出し辛くなっちゃったじゃん……

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