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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第六章  『竜魔王討伐戦』
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22  竜魔王討伐戦⑨  マインドブレイク

 22  竜魔王討伐戦⑨  マインドブレイク

 

 

「雑魚が戦場に出て来て、一体何がしたいのやら? 無駄死にになる事が分からないんですかね?」

 

 イーグルがアヤト君達の戦場を見て言った。

 

「雑魚なんかじゃ無い。竜魔王の火焔も切り抜けたし、あの子達は、強いよ」

 

「へぇー? まぁ竜魔王はちゃんと溜めきらずに火焔玉を吐いたみたいですね。今までより威力が小規模でした。ここまで来られても厄介ですし、こちらも兵を向かわせますか」

 

「はっ? どういう事?」

 

「こういう事です」

 

 イーグルは、ユキナ達の方角へ右手を翳し、四人の武器を持つ村人を創り出し、ユキナ達へ差し向けた。

 

「ちょっ! そんな事するの⁉︎ 今回私達は、プレイヤーのサポートして無いんだから、そっちもそういうの無しにしてよ‼︎」

 

「何ですかそれ? そんな約束無かったですよね?」

 

「……まぁ、そうなんだけど」

 

 とか言ってる間に、ユキナ達は簡単にイーグルからの刺客を薙ぎ払った。

 

「ほらぁ! やっぱみんな強い! へへーん! 残念でしたぁ!」

 

「随分ご陽気ですねあなた? ルイとトキオ死んで、絶対絶命とは思え無いですね?」

 

「あっ……」

 

 そうだった……忘れてた訳じゃ無いと思うんだ。ただ、考え無い様にしてた気がする。

 

「さぁ、これならどうです?」

 

 イーグルがもう一度ユキナ達に右手を翳した。

 

「何回やったってユキナ達には、って、はっ?」

 

 ユキナとユウヤとマモルとノエルの四人の前に、五十人程の武器を持った村人が現れた。

 

「クククッ、これがやられたら、次は百人で挑みましょう」

 

「発想が悪魔なんだよ」

 

 流石の四人も、突然沸いた、大量の殺意を剥き出しにする村人達に押されていた。

 

「場が膠着していますね。竜魔王も火焔玉の使い過ぎで暫くは大きく動けないでしょう」

 

「そうなの? 神のエネルギーがあるから無尽蔵じゃ無かったの? 良い事聞いたよ。そのインターバル狙えば良いんじゃん」

 

「教えても問題無いから教えたんです。ってか、まだ希望など持ってるんですか? 呆れました。現状が把握出来ていないんですね?」

 

「だって、諦めたら可能性ゼロなんだもん。例えばさ、現世で私フリーターだったとするじゃん? 三十代になって、今の仕事も好きになれなくて、このまま死んで行くのかな? って悟ったら地獄だよ」

 

「なんの話しですか?」

 

「私はそれから、小説を書き始めたんだ。漫画やアニメが好きだったから、もしこの物語が、アニメになったり、漫画にしてもらえたらって、夢が広がったんだ」

 

「現世の時の実体験ですね?」

 

「違うもん。小説を載せるサイトとかに頑張って書いて載せてみたけど、誰の心にも響かなくて、結局死ぬまでその夢は叶わなかった」

 

「そうですか……」

 

「何同情してんの? 別にそれでも良かったんだよ! 最後まで、もしかしたらって、夢を見て死ねたんだから」

 

「無駄な努力をしたって話しですね?」

 

「違う! 話し聞いてた? 諦めて生きるより、何倍も楽しく生きれたって話しだよ」

 

「そう、ですか……」

 

「あっ! じゃなくて! もしかしたら小説がバズって、富豪になれたかもって話し! 小説を書かなかったら、その可能性はゼロだったって言いたかったの!」

 

「でも、結局売れなかったんでしょう?」

 

「まぁ、そうだけど……って、私の話しじゃ無いから!」

 

「取り敢えず、まだ、希望を捨て切れずにいるんですね?」

 

「捨てるつもりなんて無いんだけど?」

 

「それではあなた達を、素敵な世界へご招待します。夢も希望も失せる程の、真っ暗闇の世界へ」

 

「何言ってんの? あんた厨二病患者?」

 

「クククッ、今日の為に、わたくしだけが使える魔法をいくつか作っておいたのです」

 

 はっ? そんなのに、勝てる訳無いじゃん……

 

「だから、三日後にしたんだね」

 

 イーグルが右手を翳し、魔法の言葉を囁いた。

 

「マインドブレイク」

 

 グルンッ、と、脳が頭の中で一回転した様な感覚だった。

 

 一瞬で視界は暗闇で覆われて、手探りしてみても、辺りには何も無かった。

 

 暗いな。暇だな……良いのかな、こんな所に居て。ってか、魔法を使わせ無い事出来たんじゃないかな? 言葉でも、行動でも、何か出来る事があったんじゃないのか⁉︎ なんだよこれ。こんな魔法作んなよ! 真っ暗で、真っ暗で、怖いよ。

 

 ひとりぼっちは、寂しいよ。

 

「メミ? どうしたの?」

 

 えっ? だれ? 違う。言葉を間違えた。分かる。この声は、この声は……

 

「ミオナさん……?」

 

「今まで、よく頑張ったね? メミ……」

 

「うわぁァァァァァッ‼︎」

 

 ミオナさんが、優しい笑みを浮かべていた。私は、その身体に縋り付き、声を上げて泣き喚いた。

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