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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第六章  『竜魔王討伐戦』
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20  竜魔王討伐戦⑦  ラウンドスリー

 20  竜魔王討伐戦⑦  ラウンドスリー

 

 

「何コレッ⁉︎ 気持ち悪いんだけど⁉︎」

 

 二人のイーグルに向けて叫んだ。

 

「さぁ、ラウンドスリーと行きましょう」

 

「あっ! メミ⁉︎」

 

 今度は何っ⁉︎ ナキを見ると、上空の竜魔王を見ていた。

 

 よくそっちに意識割けたもんだよ! で、何? なんか頬膨らませてるけど、何するつもり?

 

「ヴァァァァァァァァァァァアッ‼︎」

 

 はっ⁉︎ 火の玉みたいなの地面に向けて吐いた! でも、火焔攻撃はアヤト君達には効かない……

 

「まさか……さっき地面を割った威力の火焔の玉を作り出したの⁉︎」

 

 火焔玉は地に触れると、この世の終わりかとも思える程の光を放った。

 

「キャァァァァァァァァァァァアッ‼︎」

 

 悲鳴がこだまする。大地は揺れ、現状を把握出来ない。

 

「やっと、絶望を味わえましたか?」

 

 姿は見えない。でもそれは、イーグルの声だった。

 

 身をかがめて、吹き飛ばされない様に踏ん張る事しか出来なかった。厄災の様な地響きが鳴り止み、ようやく戦場を見渡せる様になった。

 

「……そんなの、無いよ」

 

 一瞬で戦場は地獄と化していた。アヤト君達はバラバラに吹き飛ばされ、立ち上がる事すら出来ず地に這いつくばっていた。ルナもその衝撃に無傷では居られず、全身から血を流し震えていた。

 

「みんな! 返事をして⁉︎」

 

 今、ここの戦況はどうなっているのだろう? 精霊の多くも先程の揺れで倒れてしまっている。でも、その中に、血を大量に流している仲間が居る。

 

 なんで? 精霊は物理攻撃の類は受けない。精霊剣じゃ無いと傷など受けない筈なのに、さっきの地響きでは傷付く筈無いのに。

 

「メミ?」

 

「メミチ?」

 

 ナキとミーヤは無事だった様だ。他のみんなは……?

 

「総司令……? 血を流している子みんな、死んでます……レイナも、ミナも、ナナも」

 

 リナが、ナナを抱え言った。

 

「なんで……何だよこれ⁉︎」

 

「そろそろ、この戦いも大詰めを迎えて来ました。プレイヤーが全滅した後に殺したかったのですが、人数が多いので少し削らせてもらいましたよ」

 

 羽交い締めされていた方のイーグルだろうか? 拘束から解かれたイーグルが言った。縄で縛り付けられていたイーグルはそのままで、少し遠くに飛ばされていた。

 

「あなたも、精霊剣を持ってたって事⁉︎」

 

「そんなもの持っていません。新しい魔法を作っただけです。精霊を殺せる魔法をね」

 

「……もう、無理だよ。謝ったって、許してあげないから‼︎」

 

「おい? いつまで対等に喋っている? そろそろ負けを認めて、泣きながら許しでも乞うてみろ? 土下座して靴でも舐めれば、お気に入りの精霊くらいは生かしといてやってもいいんですよ?」

 

「メミ! そんな事する必要無いからね!」

 

「仲間が殺された以上、和解の道なんてもう無いんです」

 

「総司令……総司令にばかり、お願いして、わたしは、本当に役に立たなくて、でも、お願いします……イーグルを、殺して下さい……お願いします‼︎」

 

 もう、イーグルに勝つ糸口は無いのか? 一つ一つの出来事を、しっかり頭の中で理解しろ!

 

「二人のイーグルは一心同体、って訳じゃ無いみたいだね。縄で縛られたイーグルは放って、あなたは余裕かましてるもんね」

 

「ご名答。見破ったご褒美に、面白いものを見せてあげますよ」

 

「面白いもの?」

 

 その場に、三人の顔の無い人形の様なものが現れた。

 

「これは、村人を創ったのか?」

 

「正解。村人の作り方は知ってますよね?」

 

「MPめっちゃ使うやつでしょ? 創った精霊が動きとか決められるやつ。フリーザ並のMPあったら作り放題だね」

 

「そうです。フリーザ? まぁいいでしょう。これに、ミラージュ!」

 

 なんだ? 何かの魔法を唱えた。

 

「えっ⁉︎」

 

 三体の人形のような村人が、イーグルそっくりの出立ちに変化した。

 

「さぁ? 本物はどれでしょう?」

 

 イーグルが、五人に増えた。そうか。そういう事だったのか……

 

「……始めから、本物なんか居なかったって事だ……」

 

「そうです!」

 

「遠巻きにMP使って喋らせてたんだね? なんだよ。やっぱ、臆病者じゃん」

 

 ミラージュ、多分、姿を変える魔法だ。めちゃくちゃ使い勝手良さそうな魔法じゃないか! カーテンもこないだナキに使われなきゃ知らなかったし、ちゃんとゴッドブック読んでればミラージュも作戦に組み込めて、イーグルを追い詰める事が出来たかもしれないのに。もっと早く、イーグルの策に気付く事が出来たかもしれないのに。

 

 ゴッドブックをちゃんと読まなかったからだ。全て、私のせいだ。

 

「クククッ、アハハハハッ‼︎ 勝ち目あると思います? あるんだったら言ってもらって良いですかァァァァァアっ⁉︎ もう秘策なんて無いんですよねぇえ⁉︎ 分かったらァ! ヒヒッ、み、みなさんでわたくしに謝ってぇ、わたくしに逆らわないって誓える女には、と、特別に、ヒヒッ、側室として迎え入れましょぉぉお‼︎」

 

 はぁっ⁉︎ マジ軽蔑したわ。人の見てはいけない部分見た気がする。

 

「マジで言ってんのか⁉︎ あんたなんかに——」

 

 ナキの口を塞いだ。

 

「んんん……」

 

「ナキ! 静かにして!」

 

 静かにするから、みたいな目で見られたので、口を塞いでいた手を離した。

 

「ちょっとなんなの? ああいう勘違い野郎には、一発ガツンと言ってやりたいんだよ!」

 

 少しは声を抑えてくれていた。

 

「私だって許せないよ。でも、今はそれで生かされてる感じなの。マジ苛つくよ? 不本意だけど、今は完全に私達は劣勢なんだ。話しを聞く振りして、アイツを殺せる刃を研ぐんだよ!」

 

「でも……悔しい」

 

「みんな悔しいよ。ナキが反論しようとして、私が止めたから、みんな私の思いに気付いて言い返さないで我慢してるんだ。ナキのおかげだよ? だから、ねっ……?」

 

 ナキのおかげで、他の精霊が声を出さなかったというのはあると思う。見渡すと、みんな阿修羅の様な顔でイーグルを睨んでいたから。

 

「……立候補者は居ないのですか? 早い者勝ちですよ?」

 

 マジいつまで言ってんの? 私の好きだった側近さんを、もうこれ以上穢さないで。

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