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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第六章  『竜魔王討伐戦』
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11  失恋尻軽女

 11  失恋尻軽女

 

 

「総司令ー‼︎」

 

「リナ⁉︎」

 

 こんな、戦場の場に、天使が迷い込んで来たのではないかと目を疑った。

 

「お久しぶりです!」

 

 近くに駆けて来るリナが、スローモーションで、エフェクト神演出で私の目に映った事は言うまでも無い。

 

「トキオ達と一緒じゃ無かったの?」

 

「報告遅れてすいません。トキオの元にリッカ達が来て、アヤトさん達の所まで向かう時、マイ達の所でトラブルあったみたいなんでそっち行っちゃいました。でも、もうすぐここに到着します!」

 

「そっか……リ、リナ……会いたかったよ?」

 

 なんの面白味も無い。当たり前の言葉しか出ない自分を呪った。

 

「会いたかった……って……総司令の、嘘吐き……」

 

 へっ? えっえっ、なんでぇぇぇぇえ⁉︎ どういう事? えっ? 何で? どういう事ぉぉぉお⁉︎

 

「う、嘘なんか、吐いて無いよ……?」

 

 声が、震える‼︎

 

「……電話してくれるって言ったのに……ドキドキしながら、夜更かしして待ってたんですけどね……」

 

 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ‼︎ そうだった……

 

「ごめん! 何か、色々あってさ、リナは別に、そんな約束気にして無いと思ってた!」

 

 あの日何してたんだっけ⁉︎ あっ、ソファーで、アヤト君の隣に座って、一人で愛を叫んでたわ……

 

「総司令は、お忙しいですもんね? わたしは、鳴らない電話を、ただただ見つめて過ごしました」

 

 悲しっ! 心の中でも謝るわ! マジごめんって‼︎

 

「ごめんね……私、一度に沢山の事考えられなくて……リナの事を、傷付けてしまったのかな?」

 

「……なぁーんてね! 騙されました⁉︎ やったやった! 総司令を騙してやったぞー!」

 

「えっ? どういう事?」

 

「総司令がお忙しいのなんて分かってますって! 鳴らない携帯見つめてたなんて、嘘に決まってるじゃないですかー!」

 

「あっ! もぉ〜! からかったって事? この総司令のメミ様を、よくもからかってくれたなぁ〜?」

 

「アハハ! ……ハハ……」

 

「えっ?」

 

「どうしました? 総司令?」

 

「今、その瞳から零れたものは、なに?」

 

「あっ、これは……」

 

「リナ、あなた……」

 

「見なかった事にして下さい! お願いします。忘れて下さい……」

 

 頬を伝うその雫を拭い、リナは満面の笑みを装った……

 

「お前らいつまでそのノリやってんだよ⁉︎ さっさと作戦会議に移るぞ‼︎」

 

 ナキが……邪魔をした……

 

「えっ、ナキ? 見てたの……?」

 

 どん引きだよ。

 

「見てねぇよ‼︎ アヤト達がめっちゃ大事な話ししてんのにチラッと見たらいつまでもてぇてぇしてっから言ってんだよ‼︎」

 

「てぇてぇって何?」

 

「イチャイチャみたいな意味!」

 

「いつまでもてぇてぇしてっからって……いつまでもこっち見てたんじゃん?」

 

 私はナキに、軽蔑の眼差しを送った。

 

「あたしはちゃんと話し聞いてましたー! そんな事言うメミには何の話ししてたか教えてあげないんだから!」

 

「はっ? 何⁉︎ そんな事すんの⁉︎ これからみんなで頑張ってこうって時に、ハブって嫌がらせみたいな事してくるんだ⁉︎」

 

「自業自得だと思うんだけど⁉︎」

 

「ふん! どうせそんな大事な話しでも無かったんでしょ?」

 

「めっちゃ大事な話ししてたし! ってかリナも気を付けなよ⁉︎ メミはアヤトに振られたからリナに擦り寄ってるだけだから!」

 

「はぁっ⁉︎ 言って良い事と悪い事あんじゃ無い⁉︎ そもそも認識もされて無いのに振られてたまるかって話しなんだけど⁉︎」

 

「あんたが不真面目だった事謝らないから悪いんじゃん‼︎」

 

「ナキは真面目だけどおバカさんだから優秀なリナに嫉妬してるんでしょ⁉︎」

 

「うるさいこの失恋尻軽女‼︎」

 

「何よ脳内エロエロガリ勉真面目‼︎」

 

「ふ、二人とも止めて下さい!」

 

「止めないでよリナ! このおバカさんは、言ったらいけない事すら分かって無いんだから!」

 

「あんただってそうでしょ‼︎ 何よ! 脳内エロエロガリ勉真面目って⁉︎」

 

 ちゃんと覚えたんだ?

 

「はっ? メミチ? ナキチ? 何遊んでるんですか?」

 

 ヤバッ……ミーヤだ……

 

「いや、あの、その……」

 

「分かってます? 時間無いんです。反論受け付けませんから? 取り敢えず黙って下さい。良いですね?」

 

「はい……」

 

 ミーヤの内に秘めた灼けつく程の憤りを感じ取り、私とナキは沈黙した。

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