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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第六章  『竜魔王討伐戦』
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9  三人の誓い

 9  三人の誓い

 

 

「ユキナ、ゴロウ……君達にも、酷い事を言った。すまない……」

 

 正気を取り戻してから、ルイは、まずユキナとゴロウに謝った。

 

「オ、オエ、何言われたって、傷付いたり、しない! それより、ルイが、優しくなって、嬉しい!」

 

「止めなよルイ。なんか、似合わねぇよ……」

 

 二人も、快くその謝罪を受け入れた。

 

「取り敢えず、これからの事を話そう」

 

 急にザリガニが仕切り出した。

 

「ボクは、ボクが殺めた者達を生き返らせて欲しい。ルナ……お願い、出来るかな?」

 

 ルイが、遠慮気味にルナに問い掛けた。

 

「勿論ですよ! 一緒に頑張りましょう!」

 

「ボクは、君に酷い事ばかり言ったのに……ごめん……」

 

「本当に人変わりましたね? 今のあなたは、全然気持ち悪く無いです!」

 

 そういや、事あるごとにルイにキモいって言ってたなルナ……

 

「でも、殺された奴の名前も分かんねぇし、その人を大切に想ってる奴も……」

 

「ボクは、全て分かる。いつも、その者達の死を、夜な夜な想い浮かべ悼んでいたから」

 

「えっ? そうなの? じゃあ何で殺したの?」

 

 ザリガニ今までの話し聞いてた? ルイは洗脳されてたの! それが解けたの!

 

「悪魔が……取り憑いていたから……」

 

 ほらぁ……話し長くなるやつ。

 

「なにそれ?」

 

 ザリガニは聞いて無かったんだっけ? それとも、聞いてたけど忘れてるんだっけ?

 

「今思うと、ボクも何を言ってんだって思うよ。でもその当時は、その言葉が全てだったんだ」

 

「言葉って、誰の言葉?」

 

「パソコンから送られて来るメッセージだよ」

 

「あぁ、運営か!」

 

 ナキもそれでザリガニに通してたのか。アヤト君にも、パソコンのメッセージでは、私は運営だと伝えている。

 

「運営? ボクには、我は神だと言っていた」

 

 チイナだよね? あの子自分の事神とか名乗ってたの⁉︎

 

「神⁉︎ そんな言葉信じたのかよ?」

 

「最初は、何を言ってるんだと思っていたよ。でも、この世界で生きていく為の知恵をくれたり、こんなに我の事を信じてくれるのは君しか居ない、とか言われると、この人には、ボクしか居ないんだとかって思って、ボクが、支えてあげなきゃって、思ってしまったんだ……」

 

 悪い宗◯か⁉︎ 純粋で、優しい人ほど、陥ってしまうのかもしれないね。

 

「人を、殺してまで?」

 

「初めて、その神に指示されて、プレイヤーを殺した後、ボクは、部屋でいつまでも震えていた。その時に、彼は悪魔に取り憑かれていたんだと、君は悪く無いと、人殺しじゃ無いって、神は言ってくれたんだ。それからはもう、自分の意思など保てなかった。神の、その言葉にしがみついていたんだ」

 

「今は大丈夫なの? その、神って名乗る人物がまた現れて、君を操ろうとするかもしれないよ?」

 

 アヤト君が聞いた。

 

「大丈夫だと思う。傍に居てくれる人が、間違った所へ行こうとするボクを止めてくれる人が居れば、もっと安心なんだけど……」

 

 ルイが、チラチラッと、ノエルとユウヤを見た。

 

「アタシは! いつでもルイ様の傍に居ます‼︎」

 

「しょうがねぇなぁ! ルイが間違い冒そうとしたら、今度はおれがボコボコにしてやるよ!」

 

 二人は、元サヤに戻るみたいだ。

 

「二人とも、ありがとう。リッカは、どうする? 今は、ボクのパーティーに在籍してくれてるみたいだけど?」

 

 えっ? リッカってもうルイのパーティー抜けてるんじゃ無いの?

 

「えっ? 何で分かるんですか⁉︎」

 

「表面上は分からないんだけど、感覚って言ったら良いのかな? パーティーメンバーに攻撃は通じないだろ? なんとなく、そのオーラを感じるんだよ」

 

 そんな見分け方出来るの⁉︎ そういやルイは、見えない筈のヨルシゲの気配さえ察知出来る。なんて言うか、シックスセンス的な能力のギフトがあるんだろうな。

 

「一応……ルイとルイツー……ノエルが死んだ後、パーティーを抜ける事は可能でした。でも、ルイのパーティーに居るからこそ受けれる恩恵があるかもしれないので、そのままにしておきました」

 

 そうなの? みんな色々と考えて動いてくれてたんだね。

 

「リッカは、どうしたい? ボクは、アヤトや、トキオ達をサポートしたいと思う。君の役目は解かれた。自由にして良いんだよ?」

 

「リッカは……お兄ちゃんと一緒に居たい……パーティーを、抜けさせて下さい!」

 

「分かった。今までありがとう。リッカ」

 

「ルイ……」

 

 リッカがルイのパーティーを抜けた。

 

「話し逸れちまったけど、これからの話しをしよう!」

 

 そうだった。これからの話しするんだった。

 

「まず、ルイはルナと死者を生き返らせる。その生き返らせる者を大事に想ってる奴がいないと成立しないんだけど?」

 

 またザリガニが仕切り出した。

 

「その役目も、ボクがやる」

 

「大丈夫か?」

 

「勿論、百パーセントとは言えないかもしれない。でも、手に掛けた人の事は、いつも想っていたから」

 

「まぁ、どっちにしても、ルイしか名前も顔も知らない奴も居るし、ルイが復活させられないなら、どうしようもないしな」

 

「一人でも失敗したら、ボクを殺してくれ」

 

「そういう事言うのやめろって!」

 

「でも、その覚悟を持って臨むよ」

 

 取り敢えず、ルイとルナはここに缶詰になるって事だね。

 

「竜魔王との決戦まで、あともう二日しかねぇ! やれる事やんねぇと!」

 

 そうなんだよなぁ。わりかし時間無い……って、あれっ?

 

「竜魔王との決戦の日時、ザリガニ達に伝えたの?」

 

 ナキに聞いてみた。

 

「うん。あんた達が仲良くお泊まりしてる間にポタル使って伝えといた」

 

 いや、伝えた事教えといてよ! 伝えたのは良いんだけどさ、それ私に教えといてよ⁉︎ ホウレンソウなってないなぁ!

 

「決戦って、何?」

 

 アヤト君も知らなかったよね? ルナもそうだし。

 

「明後日の夕方、竜魔王が河原に居るから来いって言伝して来やがったんだ」

 

「はっ? マジかよ⁉︎ それにホイホイ俺達ノコノコ現れんのか?」

 

 そうか、トキオ達も初耳か! そりゃびっくりしてオノマトペ多用しちゃうよね!

 

「でも、あいつ普段何処居るのかも分かんねぇし。オイラ達にとってもチャンスじゃね?」

 

「まぁそうだけど。明後日って、随分急だな……」

 

 士気下がっちゃうか?

 

「明後日か……負けたらどうせ、全て終わりなんだ」

 

 アヤト君?

 

「それならまだ、日にちが欲しかったよな……」

 

 トキオ……みんなもごめんね。もっと決戦までの日にちを引き延ばせる言い方があったのかもしれない。

 

「例えば、一週間後だと言われて、僕達の集中力はそこまで保つかな?」

 

「アヤト? 何言ってんだ?」

 

「二日が限界だよ。丁度良いと僕は思う! 二日間、死ぬ気で集中して頑張ろう! それで負けたら、みんなで一緒に天国だ!」

 

「はあっ! ……面白ぇ事言うじゃん⁉︎ 分かった。どうせやるしか無ぇもんなぁ‼︎」

 

 トキオが乗って来た。

 

「竜魔王というのを詳しく教えてくれ! ボクも、力になりたい!」

 

 ルイも乗って来た!

 

 勿論、この三人は偉人でも無いし、凄くも何とも無いんだけど。何か……桃園の誓いの感がして、胸が熱くなってしまった。

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