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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第六章  『竜魔王討伐戦』
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5  プロポーズ

 5  プロポーズ

 

 

 静まり返る場に、下品な笑い声がこだました。

 

「アーハッハッハッ‼︎ んだよー? 聞かせてくれよー? お前の一世一代のプロポーズをよぉ⁉︎」

 

 トキオだ‼︎ 嫌な所に来たなぁ。ユキナとゴロウとリッカも一緒だ。

 

「あんた! 人が真剣に想いを伝えてんのを、笑うんじゃ無いよ⁉︎」

 

 ユキナがトキオを叱咤した。

 

「はぁっ? 良いだろ別に⁉︎ 俺に指図すんじゃねぇ‼︎」

 

「あんた⁉︎ 変わったと思ったのに……失った後にまた、己の過ちを懺悔すんのさ‼︎」

 

「それは……もう充分だ。悪かった……」

 

 トキオも、痛い目見てるもんね?

 

「ワタシに言ってもしょうが無いでしょ⁉︎ アヤトに謝んな‼︎」

 

「アヤト……変に捲し立てて、悪かった……続きを、どうぞ」

 

 続きをどうぞじゃねぇよ⁉︎ そんなんでさっきのテンションに戻れるか‼︎ 

 

「僕は、僕はルナと! 結婚したいです!」

 

 戻れるんだ⁉︎ こっちはこっちでぶっ壊れてるみたいだな!

 

「ルナは……どうなんだよ?」

 

 ザリガニがルナに聞いた。

 

「あ、あの……喜んで」

 

 そりゃそうだろ。

 

「おおーーー!」

 

「カップル通り越して夫婦成立じゃぁーー!」

 

 何この盛り上がり?

 

「でも、結婚したい、のだけれど、結婚は出来ない……」

 

 あぁっ?

 

「はっ?」

 

「アヤト何言ってるの?」

 

「竜魔王がこの世界に居る限り、安心が無い。奴には明らかな殺戮衝動を感じた。僕とルナが、平和な未来を生きる為には、竜魔王をどうにかしなければいけない。これは、僕のエゴだ。僕は、ルナと結婚して、幸せになる為に、竜魔王を鎮静させたい! その為に、どうかみんな、力を貸して下さい!」

 

 アヤト君は、土下座してみんなからの協力を仰いだ。

 

「お前……そこまでしなくてもやってやんぜ?」

 

 頭を上げたアヤト君が、トキオを見上げながら言った。

 

「ルナに……何度も頭を下げさせたと聞いた。今、ルナとの未来の為なら、僕のこんな軽い頭、いくらでも下げてやる! 僕は、どうしても叶えたい! ルナとの未来を、必ず勝ち取りたいんだ!」

 

「だってよ? ルナ?」

 

 意地悪か? ルナはその瞳の色ほど頬が真っ赤に染まって、小刻みに震えている。

 

「トキオ、やってくれるって言ったね?」

 

 アヤト君が、立ち上がり言った。

 

「あ、あぁ……何か圧凄ぇな?」

 

 アヤト君、だいぶ昂揚してるみたい。

 

「まずは、ルナ? 君に頼る事になる?」

 

 えっ? そうなの? まぁそうか。マキナさんも生き返らせないとだもんね。

 

「ルナは、何をすれば?」

 

「死んでしまった人達、全て生き返らせる」

 

 はっ?

 

「おいアヤト⁉︎ 死んだ奴全員って、まさかだろ?」

 

「二度死んでしまった人はどうも出来ないけど、でも、僕の知る限り、二度死んだ人は居ない。それ以外を、全員生き返らせたい」

 

「なんだお前⁉︎ 結婚して狂っちまったのか⁉︎ 前までは……確かにおかしかったけど、そんな事言うなんて……」

 

「トキオ? 僕はまだ結婚していない! そして、そうでもしないと、勝てないんだ!」

 

「それは、ルイを復活させるって事だろ?」

 

「そうだよ」

 

「マジかよコイツ……」

 

 不穏な空気が流れた。その沈黙を裂いたのは、ルナだった。

 

「取り敢えず、洞窟内の神殿まで行きます?」

 

「いや、話しまとまってからだろ!」

 

「そんな時間惜しく無いですかぁ? ルナもう洞窟行っちゃうもん。ルナが居なきゃ残りの死んだ人助けられないっての忘れないで下さい?」

 

 ルナ、アヤト君の背中押してくれてる。

 

「マキナが助かるんだったらなんだっていいぜ! それに、アヤトには考えがある筈だよ」

 

 ザリガニが乗っかってくれた。

 

「ぼくも行くよ。ぼくは、アヤトとルナのファンだからね」

 

 ファンだったの? ライバルじゃ無かったんだね! カイトも加わった。

 

「お兄ちゃん! リッカ達もお手伝いしなきゃ!」


「そう、オエ、ルナ達、守る‼︎」

 

 リッカとゴロウも加わった。

 

「あんた? ビビってんのかい? 情けないねぇ?」

 

「チッ! わがったよぉ!」

 

 ユキナとトキオも加わった。

 

 みんなで、洞窟の奥へと歩を進めた。あんなに寂しかった洞窟の通路が、賑やかな笑い声で満たされていた。

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