表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第五章  『壊れた世界』
153/200

29  黒幕

 29  黒幕

 

 

「側近さん? びっくりしたじゃん。神が出たと思った」

 

「見ていたでしょう? 神は、竜王に取り込まれてしまいました……」

 

 電話に出たのは、側近さんだった。紛らわしい事して欲しくない、とは思いつつも、今の現状を把握するには最適な人物とコンタクトが取れた。

 

「メミ? えっ? 側近さんが出たの?」

 

「うん」

 

「メミチ! スピーカースピーカー!」

 

「はいはい」

 

 スピーカーにして、ナキとミーヤにも聞こえる様にした。

 

「何で、側近さんがこの携帯を?」

 

「神に託されていたんです。もし、自分に何かあった時の為にと……」

 

「そっか……あの、なんて聞いたら良いのかな? そっちの状況は、どんな感じ?」

 

「わたくし達ですか? ……滅茶苦茶です。神は居なくなり、人手も足りない中、ハッキングの警戒までしないといけないですから……」

 

「そう、だよね……でも、どうにかするしかない! 側近さんは、イーグルの正体を探ってたよね? 何か、分かった事とかあった?」

 

「残念ながら……」

 

「卑怯だよね。自分は安全な所で、人の不幸を笑う事しか出来ない様な奴なんだよ」

 

「そうですね」

 

「神にね? 内部の者が怪しいんじゃないかって言ったの、側近さんに伝わってた?」

 

「いいえ……わたくしには何も……」

 

「そっか……」

 

「メミさんは、これからどうするつもりなのですか?」

 

「それが、まだ何も決まって無くて……」

 

「パーティーのみなさんは、どうなりました?」

 

「今揃ってるよ! 色々あって、アヤト君は一度死んでしまったんだけど、ルナに生き返らせてもらった所だったの!」

 

「アヤトさんが死んだ? それはどうして?」

 

「ザリガニが隠に侵されそうになって、よりによって魔斬ノ剣でアヤト君に斬りかかったの! 威力が凄いせいなのか分からないけど、シールドがちゃんと効かなくて……」

 

「魔斬ノ剣……?」

 

「側近さん、魔斬ノ剣知らないの?」

 

「いえいえ。これから、竜魔王を討伐しに行くのですか?」

 

「そうしたいのだけれど、竜魔王が何処に居るのかも分からないし、イーグルの事もよく分からないし」

 

「そうですね。トキオ達とは、まだ通じているのですか?」

 

「えっ、うん」

 

「マモル達はどうです? その精霊達は、どうなっているか知っていますか?」

 

「……みんな、逸れちゃってて、もしかしたら、パートナーが隠に侵されてしまったのかも……」

 

「あれ? メミ?」

 

 私は、ナキにジェスチャーで黙る様に指示した。

 

「そうですか。分かりました」

 

「側近さん……? そっちの事、教えてよ? 知らぬ存ぜぬばっかじゃん。そんな筈無いよ。あなたは、とても優秀な人なんだから」

 

「どうしたんですか? メミさん」

 

「私、イーグルは神の近くに居る者だと思うの。心当たりある人とか居ないかな?」

 

「わたくしの知る限りでは、居ませんね」

 

「……本当に? 神の周りには、何人の精霊が居るの? その中で、神を出し抜けそうな人は? もしかしたらとかで良いんだよ?」

 

「見当たりませんねそんな人。メミさんの勘が、間違っているのではないですか?」

 

「私、そこに行っていい? 私が全員見て、女の勘ってやつでイーグル探し出すよ」

 

「そんな事、許可出来ません」

 

「なんで?」

 

「メミさんがイーグルだったら、わたくし達は全滅です」

 

「側近さんがイーグルだったら、そう言うだろうね」

 

「ちょっとメミ⁉︎」

 

 私は通話口を塞いだ。

 

「ナキ? 黙っててって言ったでしょ」

 

「だって! 側近さんがイーグルだったらとか、失礼な事言うから……」

 

「私も言われた。仕返ししてやっただけだよ」

 

「そんな、子供じゃあるまいし」

 

「ナキ……? 私だって、そうであって欲しくない。でも、嫌なのに。女の勘が、その可能性を否定してくれないんだよ」

 

「どういう事?」

 

「少し、黙ってて」

 

 通話口から手を離した。

 

「話しは終わりましたか?」

 

「へぇー、こっちで何か喋ってるみたいなの、気付いてたんだ?」

 

「なんとなく、分かるものでしょう?」

 

「鋭いからなぁ側近さんは。超が付く程優秀だもん」

 

「何か、言いたげですね?」

 

「だから、そんな超優秀な側近さんが、知らない分からないしか言えないのがおかしいんだよ」

 

「へぇー」

 

「絶対にあなたなら、何か手掛かりや、正体を掴めなくても、対抗する策を生み出せる筈。おかしいんだよ! 止めてよ……どう考えたって、怪し過ぎるんだよ⁉︎」

 

「考え過ぎですよ?」

 

「こっちの繋がりをやたらと聞いてくるのもおかしかった! 調べようと、したんじゃないの? わ、私を、使って、こっちの戦力を調べようとしたんじゃないの?」

 

「さぁ?」

 

「……止めてよ。ちゃんと、否定してよ! もう……バレてるならいっか。みたいに投げやりに答えないでよ……嫌だよ。私、そんなの嫌だよ……」

 

「メミさん? あなた、わたくしの名前を知りたがっていましたね?」

 

「もう、知りたく無い……」

 

「わたくしの名前は、イーグルです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ