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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第五章  『壊れた世界』
152/200

28  ご乱心

 28  ご乱心

 

 

 洞窟の出口が見えて来た。

 

「メミー!」

 

 ナキだ、ミーヤも居る。みんな到着してたのか。返事をする気力が出なくて、力無くみんなの元へと歩を進めた。その場には、入口で敵の侵入を警戒してくれていたゴロウと、ザリガニとカイト、そしてリッカとヨルシゲが居た。

 

「アヤチは、どうなりました……?」

 

「大丈夫……! ルナが、蘇生してくれたよ」

 

「二人は? 何で一緒に居なかったの?」

 

「……外の、様子が気になって……」

 

 私は邪魔者だからとか、メンヘラみたいな事を言うのは止めておいた。

 

「そうなの? あっ、ユウヤ君達が洞窟に入って行く」

 

「あっ! 今はダメ‼︎」

 

「なんで?」

 

 ナキに返事もせず、ヨルシゲに右手を翳し、言葉を念じた。

 

「みんな! 二人が出て来るのを待とう! きっと、積もる話しもあるだろうさ」

 

「ヨルシゲ? ……分かった。心配だけど、ヨルシゲがそう言うなら」

 

 ザリガニ達は入口で待つ事になった。やっぱ、今はちょっとさ、プロポーズの最中なんだから、二人きりにさせてあげないと。

 

「やっぱ、何かあったの?」

 

 ナキしつこっ! 本当いつも嫌なタイミングでそのムーブ起こすな?

 

「だから、別に……」

 

「あっ! みぃ分かっちゃったかも! もしかしてルナ……感動の再会した勢いで告っちゃったとか?」

 

 近いなぁ……近いけど、それ以上だったんだよなぁ……感動の再会ってか、猫パンチお見舞いしてたし、告白ってか、プロポーズしてたし……

 

「まぁ……そんな感じ……」

 

「そうなの? それなら邪魔しない方がいっか。まぁ丁度良い。あたし達三人で話し合いをしたいと思ってたんだ」

 

「話し合い?」

 

「これからの事、魔王は竜王に取り込まれて竜魔王になった。この世界を終わらせるには、あの竜魔王を討伐しないといけない」

 

「……うん。そうだね」

 

「竜魔王は、プレイヤー側のラスボスって事だけど、あたし達にも、倒さなければならない敵が居る」

 

「……イーグル」

 

「そう。メミ? 何か元気無いけど、どうかした?」

 

「そりゃ元気も無くなるでしょ⁉︎ ナキチ空気読んで!」

 

「へっ? まぁ、そんなもんか?」

 

「大丈夫だから! 話し進めて?」

 

「ぶっちゃけ、どうする?」

 

「どういう事ですか? ナキチ?」

 

「勿論、倒したいのは山々なんだけど、実際、何をどうしたら良いのかも分かんない。あたし達だけで向かって行っても、勝機が見えない。しっかりと作戦を立てないと、無駄死にになると思うんだ」

 

「そうですね。パーティーメンバーも復活した訳だし、みぃ達の導く方向性もちゃんと決めておかないと!」

 

「導く方向性って……私達に、何が出来るっていうの……」

 

 あっ、ヤベッ、ついついネガティブな事言ってしもうた……

 

「何言ってんのメミ‼︎ あたし達にだって、ヨルシゲやポタルを通してパートナーを導いてく事出来るじゃん!」

 

「そ、そうでした……私が間違ってました……」

 

「はぁ? もうどうしたのメミ⁉︎」

 

「何でそんな鈍感なんですかナキチは⁉︎ メミチ今傷心なんですから、分かってあげて下さいよ‼︎」

 

 ミーヤ? 私を慮ってくれるのはありがたいんだけど、傷心になってるのバレちゃうからあんま大きな声で言わないで?

 

「えっ? メミが傷心? えっ? なんで? 話し聞くよ?」

 

 この人なんでこんなに勘が鈍いの?

 

「そういうのも今は駄目です‼︎ そっとしといてあげるのが優しさですよ⁉︎」

 

 あなたも、全然そっとしておいてくれないんだけど?

 

「えっ? えっ、えっ……な、なんでまたあたし、ミーヤちゃんを怒らせてるの? 違うの⁉︎ メミが傷心って聞いたから、善意のつもりで聞いただけなの⁉︎」

 

 もう止めて? 早く本筋に戻って?

 

「ナキチは本当分かんない人ですね‼︎ メミチはアヤチの事好きでしょ⁉︎ ルナがアヤチに告白して、一人でしょんぼりしてここまで戻って来たって事は、中で二人良い雰囲気になってる所から逃げて来たんです! すなわち、失恋したんですよ‼︎ だから今は、そっとしといた方が良いって言ってるんです‼︎」

 

 全部言うじゃん⁉︎ めっちゃグサグサ来たんだけど‼︎ ナキが私を十字架に括り付けて、ミーヤが槍で何度も突いて来た形だよこれもう‼︎

 

「そ、そういう事だったのか……何か、ごめんね……メミ?」

 

 別に、いいよ。

 

「やっと分かりましたか? 反省して下さい!」

 

 あんたも謝れよ⁉︎ なんならあなたしか謝らなくていいくらいだよ‼︎

 

「もういいから‼︎ 何なら二人のおかげで吹っ切れたくらいだわ! 話し戻そう」

 

「えっ? そんな……あたし達、大した事して無いし……お礼なんて、ねっ?」

 

「お礼言ってた訳じゃないんだよ‼︎ 話し戻すよ! しつこいんだよナキは‼︎」

 

「えっ……」

 

「そうですよナキチ? 自重して下さい!」

 

「ミーヤあんたもだよ‼︎ 大声で失恋したとか傷心したとか言うんじゃねぇ‼︎ 全然そっとしとく気ねぇじゃねぇか⁉︎」

 

「えっ……」

 

「本当もういいから! ねっ! みんな同じくらい傷付いたでしょ? もうこの話し終わり‼︎ 次また掘り返したらマジギレするから!」

 

「メミチ、ご乱心だ……」

 

 まだ私の心を逆撫でするか? 長くなるからもういいや。

 

「取り敢えず、敵の情報を、今の現状を把握しないと!」

 

「あっ、メミがいつもの感じに戻った!」

 

「ナキ? そんなんいいから! 心に留めておきゃいいから!」

 

「魔王を、神を取り込んだ竜魔王は、今何処に居るんでしょうか?」

 

「そうそう! そういうの考えないと!」

 

「やっぱ、イーグルの支配下に置かれてるのかな?」

 

「そうだろうね……ってかさ? あの時起こった事って、本当の事なのかな?」

 

「メミ? どういう事?」

 

「物語上の、演出だったって事は無いのかな?」

 

「物語というのは?」

 

「一応この世界って、RPGを目指してた訳じゃん? その演出の一環って事は、無いよね……」

 

「イーグルの口ぶりからすると、その可能性は低いかと……」

 

「そう、だよね……でも一回、電話、してみよっかな……?」

 

「電話? 誰に?」

 

「神に……何か今でも、神が死んだって、受け入れられないんだよ……」

 

「まぁ……そうだよね……」

 

「一回、電話してみる」

 

 携帯を取り出し、神に電話をしてみた。

 

 出る筈無い。でも、あっさりと出てくれて、全部嘘じゃったなんて言ってくれたりはしないかな? その時は、まぁブチギレるだろうけど。

 

 七つのコール音が響いた。そりゃ出ないよねと、発信を切ろうとしたその時、コール音が途切れ、声が聞こえて来た。

 

「もしもし」

 

「えっ⁉︎」

 

 電話に、出た。でも、違う。電話の声の主は、神では無かった。

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