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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第五章  『壊れた世界』
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27  会心の一振り

 27  会心の一振り

 

 

 洞窟の入口まで着き、ヨルシゲは私を離した。

 

 ルナとゴロウもヨルシゲの背中から降り、岩で塞がれた洞窟の入口を注視していた。

 

 ……あれ? なんで? 気不味い空気流れて無い?

 

「あの……ゴロウ? なんていうか……洞窟に居た時は、ごめんね……」

 

 そうか、この二人は洞窟内で面識があるんだ。

 

「な、何で! ルナが、謝る……? 悪いのは、オエ……何の理由も無く、ルナを攻撃した、オエ……」

 

「その攻撃を、絶対防御っていう自分の努力で得たのでも無いもので防いで、心無い言葉を、投げ掛けた……」

 

「ハハッ、ルナ、あんな事、あんな程度の、言葉、気に掛けてたのか?」

 

「あんな程度なんて……」

 

「ルナは、オエに、役立たずって、言ったよな?」

 

「……うん。本当に、ごめんなさい!」

 

「そんなの、言われ、慣れてる。もっと酷い言葉、オエは、受けて来た」

 

「ルナは、ルナは……」

 

「分かってる。ルナは、この洞窟で、この洞窟を守る為に、意地を、張ってた」

 

「ゴロウ……」

 

「オエは、頭が、悪くて、会話ですら、一つ一つの言葉を、いちいち、考えながらじゃないと、喋れない。力だけが、この、腕力だけが、オエに贈られた、ギフトだった」

 

「……でも、リッカが?」

 

「そう、奇跡、だったんだ。オエを、お兄ちゃん、って、慕ってくれた。リッカの、存在は、奇跡だったんだ」

 

「ルナとゴロウは、似ている気がする。ルナも、自分に自信が無くて、でもね? 誰かが自分を見つけてくれた時、世界が、ひっくり返ったんだ」

 

「ひっくり、返った?」

 

「内緒だよ? こんな事話すの、初めてだよ。アヤトに出会って、アヤトに恋して、価値観や、見える世界も変わってしまった。もう、戻れないんだ。ゴロウは? ゴロウの話しも、聞かせてよ?」

 

「オ、オエは……なぁーに! 言ってる⁉︎ ルナは! 疲れてる‼︎ 眠たい‼︎ 早く、あの岩壊す‼︎」

 

「えぇー? ルナなんか、変にハイになってるっぽい! あと二日くらいは起きれそうだもん! ゴロウの話し聞きたいー!」

 

「まずは! 岩壊す‼︎ 話し、それから! ……この世界が、平和になったら、オエの話し、ゆっくり、聞いてくれるか?」

 

「うん! その時が、楽しみ!」

 

「オエも、楽しみだ。ウラァァァァァァァァァァァァァァアッ‼︎」

 

 ゴロウの、会心の一振りが炸裂した。入口を塞いでいた岩が、木っ端微塵に弾け飛んだ。

 

「凄い……引くわ……」

 

 引くなよルナ?

 

「ルナ⁉︎ アヤト、助けたい! ルナ、行こう‼︎」

 

「うん!」

 

 ルナとゴロウが、洞窟の奥へと駆けて行った。私も、その後を追った。

 

 カイトの予想通り、洞窟内は以前のままだった。神殿は、どうなのだろう……

 

 あの思慮深いルイだ。神殿に何か意味があると気付き壊して、入口も壊したとは考えられないだろうか? 神殿はもう、壊されているのでは無いか? 

 

 そう、そうそう。こうやって壊されてるフラグ立てとけば、実際壊されて無いんだよ! だから、神殿は壊されて無い‼︎ お願い! 本当お願い‼︎ ダブルレイズ‼︎ 

 

 願うしか無い。神殿は、壊されて無い。

 

「あっ……」

 

 着いた? 今怖くて目閉じちゃってんだけど? 嫌だ。目開けられないんだけど? あっ? って、何? 嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だよ‼︎

 

「良かったな、ルナ」

 

 良かった⁉︎ 良かったってゴロウ言った⁉︎ 勝ち確だよね⁉︎ 目開けて、良いかな?

 

「良かっ……た……」

 

 開いた瞳の前に、美しい神殿が立ち並んでいた。初めて見た時は、こんな立派な神殿作るのに費やした時間を他に回せやなんて思っていた。ってか、実際今もそう思うけど。でも、その神殿はとても美しくて、綺麗で、神が居なくなってしまった世界の後だと、なんだか、頑張って、こだわって作ったんだろうなぁみたいな、感慨深さを持たせる景色だった。

 

「アヤトを、生き返らせます」

 

「分かった。一人で、大丈夫か?」

 

「大丈夫です。蘇生には、その人の事を大切に想っている人が居れば良いんです」

 

「オエは、入口で、邪魔者が、入って来ない様に、見張る。ゆっくり、やれ! 絶対に、悪い奴、通さない‼︎」

 

「ゴロウ。任せた!」

 

「任せろ‼︎」

 

 神殿にルナが、一人きりになった。ルナは大きな十字架の前で両手を合わせ、祈りを捧げた。

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