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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第二章 『仲間を見つけよ』
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2  嘘吐き

2  嘘吐き

 

 

 ちょ、ちょっと! ほぼほぼナキ引きずってるくらいの感覚なんだけど⁉︎ この子全然力入って無いし! 打たれ弱過ぎなんだけど⁉︎

 

「もしかしたらさぁ! 神が嘘吐いてるかもだよ?」

 

「は、はぁ? 何で神が嘘吐くの?」

 

「そういう奴だからアイツ!」

 

「ちょ、ちょっと! 神をそんな風に言って良いの⁉︎」

 

 真面目だなぁ……

 

「ついこの間も嘘吐かれたから!」

 

 私は別に、神を持ち上げてやる義理など無かった。

 

「か、神が、嘘吐いたの⁉︎」

 

 神に電話を掛けた。着信音がなる前に神は電話に出た。暇なの?

 

「お? おぅっ?」

 

 携帯イジってて思わず出ちゃった系か。

 

「神⁉︎ ちょっといい?」

 

「絶対クエスト失敗じゃ……」

 

「へっ? なんで?」

 

「おぉ、すまん。こっちの話しじゃ」

 

 携帯でアプリしてたのか? 暇なの?

 

「前に神が言ってた、MPがゼロを下回ると追放って話し、あれ本当なの?」

 

「んっ? 本当じゃよ? 何じゃおぬし、神が嘘吐いたと疑っておったのか?」

 

「だって前に嘘吐いたじゃん? 創った精霊とパートナーしか見えない筈なのに、町には多くの魔獣がおる、とかって嘘吐いたじゃん! もう神私の中で信用なんか無いからね!」

 

「お、おぬし! 無礼にも程があるじゃろ! こうやってすぐ電話にも出てやったというのに、恩を仇で返された気分じゃわい!」

 

「何かゲームやってて間違って出ちゃっただけでしょ!」

 

「ぬぅ!」

 

「ぬぅ! っじゃ無いよ! また嘘吐いたじゃん! 虚言癖でもあるの?」

 

「あーもう! そうじゃそうじゃ! オンラインで協力プレイやっておったのに、急に着信来たもんじゃから、思わず出るマークを押してしまったのじゃ!」

 

 ねぇ? 暇なの?

 

「とにかく本当なんだね? ゼロ下回るとってやつ! 何か神本にもそのルール載って無かったらしいんだけど?」

 

「んっ? 書いた様な気がしておったんじゃけど?」

 

 著者よりナキの方が内容理解してんじゃん!

 

「そのルール書いて無かったんだしさ、見逃してよ!」

 

「ならぬ! 傍から見守れといつも言っておるじゃろ! ゴッドブックに書いてあろうが無かろうが、譲る気など無いわ!」

 

「ケチィィィィィッ!」

 

「お、おぬし! か、神に向かってケチとはなんじ——」

 

 見逃してくれないのなら、もう神に用など無かった。通話を切って、ナキの手を引っ張り全速力で駆けた。

 

「も、もう無理だよぉ」

 

 さっきまでの強気なキャラはどうした? ナキは、涙目になっていた。

 

「諦めないでよ! パートナーの為にも頑張ろ!」

 

「もういいよ。どうせあの子だって、元は徳無精なんだし」

 

 手を離し私は立ち止まった。ナキは私を追い越し、バランスを崩しながら私に顔を向けた。近寄って行きその顔をひっぱたいた。

 

「そんな事言うな! 人の人生を預かってるんだよ? あなたがどうせなんて思ってるんなら、あなたのパートナーは絶対改心なんかしない! 人の心を変えようって言ってるのに、そんな気持ちでやってたって絶対変わる訳なんか無いんだから!」

 

「だ、だって、だってぇーー」

 

 ナキは泣き出してしまった。もっと言い返して来たりするかなと思っていたのに、本当にこの子打たれ弱いな。

 私の言葉は、私の心にも刺さった。ナキに偉そうに並べ立てた言葉を、私は忘れない。人に説法するのなら、私もそうならなければいけない。

 口に出した言葉はいつだって、命を得るのだから!

 

 森の入口付近まで来ていた様だ。遠くに分岐点の村人が見えている。

 んっ? 茂みに誰か居るな。あの後ろ姿、アヤト君だ! 部屋を出てたのか! ヨルシゲと戯れてる。

 

「あっ! ナキ? 今MPは?」

 

「二、あっ、一になった……」

 

「パートナーは?」

 

「どんどん森の奥に向かってる。もう、無理だよ……」

 

「まだ手はあるよ!」

 

「はっ? もうどれだけ全速力で走っても間に合わないよ」

 

「ヨルシゲに連れてってもらおう!」

 

「はっ? ヨルシゲ?」

 

 急に独特な名前を聞いたものだからか? ナキは泣き止み目が点になった。

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