26 優秀
26 優秀
「あっ、みなさーん‼︎」
電話の後、数分でヨルシゲに乗ったリッカとゴロウが現れた。
「えっ? リッカ? 何でここに?」
上手く事が運び過ぎているせいか、カイトが引き気味にリッカに言った。
「ヨルちゃがここに、ザリガニカイトルナが居るって教えてくれたんです!」
「何で? 何で分かったの? ヨルシゲ……まぁ、匂いとかでかな?」
カイトは、深く考える事を止めてくれたみたいだ。
「ゴロウ! ゴロウも居るじゃないか!」
「あっ、はい! ヨルちゃが、気を使ってくれて、一緒に行こうぜ! みたいな感じだったんで、お兄ちゃんと離れずに済みました!」
「そうか……でも、モーニングスターが無いと……」
あっ、そうだったぁー‼︎ モーニングスター無いと、洞窟を塞ぐ岩壊せ無いじゃん。
「モーニングスター? お兄ちゃん持ってるよね?」
「お、オエ、持って来た……重いから、置いてくと、言ったけど、ヨルシゲが、持って来いと言ったから、持って来た」
真剣にみんなの話しを聞いてる最中に、ナキが口を挟んで来た。
「ヨルシゲが持って来いって言ったって事は、リナがそう言ったって事だよね? 何? ゴロウが必要って事は、モーニングスターが必要なんだとちゃんと解釈してた訳? メミの言葉足らずを補ってくれてたの? リナあの子、どんだけ優秀なの?」
そうなのよぉー! リナ本当優秀なの!
「尊敬する相手、間違えてない?」
ナキ? それどういう意味?
「よし! 洞窟へ行こう! ルナの体力も、もう限界だろうし」
えっ? カイト、それどういう事?
「ルナは、大丈夫です」
「……ぼく達には、分からないと思った?」
「……なんの、事ですか?」
「ルナ、寝ずに頑張って来たんだろ?」
嘘でしょ? 二日間、アヤト君を背負って歩き続けた後、休みもせず、隠に侵された徳無精に頭を下げて回っていたの……?
「途中途中寝ましたよ。寝ました! 寝ましたから‼︎ お願い。アヤトを生き返らせるまで、仲間外れにしないで?」
私は、ルナの体調の異変になど、気付け無かった。私は、この世界で、何を見て来たんだろう。アヤト君の事ばかり見て来た。そして、アヤト君の仲間を、ちゃんと見ていなかった。一人よがりな事、して来てたのかな? 今みんなは、アヤト君を生き返らせる事に必死になって動いてくれてる。でも私は、他の仲間達の事を、ちゃんと大切に見守ってあげられてなかったんだ。
「仲間外れって、何言ってんだルナ? ルナが、一番手っ取り早くアヤトに会える方法を考えようって言ってんだ」
「ザリガニ……じゃなくてリーダー……何か今日いつもと違うね?」
「ルナが、初めてオイラをリーダーって……まぁな……じゃあ、後はカイトよろしく」
うぅ……そこで人に任せなくて良い程の頭脳がザリガニにもあれば……
「ルナ? ゴロウと二人でヨルシゲに乗って、洞窟まで向かうんだ。アヤトの事、頼んだからな」
「……はい! 必ず、アヤトを生き返らせます!」
「ゴロウ? 君がすべての鍵を握ってるんだ! 頼んだぞ!」
「オ、オエが⁉︎ 頑張る。役に、役に立つぞぉ‼︎」
「お兄ちゃん‼︎ 頑張って!」
ナキが、私の背中をそっと押して言った。
「行ってこい! アヤト、生き返らせろよ!」
「でも、ヨルシゲが連れてってくれるかどうか……」
ルナとゴロウがヨルシゲの背に乗った。しばらくして、ヨルシゲが私の方を向き、お前は来ないのか? みたいな顔で見て来た。
「あっ、ヨルシゲ私も連れてってくれるみたい!」
「良かったな」
私はヨルシゲの正面まで向かい、優しく咥えられ、ナキとミーヤに両手でバイバイした。