25 甘えん坊さん
25 甘えん坊さん
何はともあれ、三人が集まったからこそ、その希望に繋げたんだよ。三人寄れば文殊の知恵ってやつだね!
「これからゴロウを探しに行かないとかぁ。あっ、そういえばトキオは、逸れた仲間達を探しに行くんだった。ゴロウももしかしたら、トキオが見つけているかも!」
「そうだったんですか? でもトキオも何処に居るか……」
「取り敢えずリナに電話してみれば? トキオどっかで見かけてるかもよ?」
「そうだね! たまにはやるじゃんナキ!」
「たまには? あれ? 最近あたしの扱い雑じゃない?」
やっと気付いたか? まぁいい。リナに電話をする事で、ナキの質問から逃れた。
「もしもし! 総司令ですか!」
いつも元気だなぁリナは。何か良い事でもあったのかい?
「リナ? 今電話大丈夫?」
「大丈夫です! でも、ルナやザリガニはまだ発見出来て無いです……」
「あっ! 今ルナザリガニカイトと一緒に居るから大丈夫!」
「そうなんですね! 見つかって良かった。それじゃあ、ヨルシゲをそっちに向かわせますね!」
「へっ? ヨルシゲ? 一緒なの?」
「そうなんです! ルイ攻略の後は、リッカがヨルシゲに乗って行動してたみたいで、今もその背に乗ってもふもふしてるっぽいです!」
「もふもふしてるの⁉︎ 仲良しだね……」
「わたしからヨルシゲは見えないので、確かな事は言えませんが……」
「リッカにも見えて無いんだよね? 見えもしない魔獣とそこまで仲良くなれるの凄いな……」
「それじゃあヨルシゲにわたしの魔法で喋らせて、総司令の居る場所まで導く感じで良いですかね?」
「そうだね! ヨルシゲも居れば凄い助かる! ルナにはヨルシゲ見えるみたいだし」
「そうなんですね? それじゃあ、電話切りますね!」
「あっ、ちょっと待って! 悪いんだけどさぁ……違うお願い事しちゃってもいい、かなぁ?」
「何ですかぁ総司令? そんな可愛い声出しちゃって?」
そうだった? 今可愛い声出しちゃってた? か、可愛いなんて久しぶり言われたなぁ。ちょ、ちょっとだけ……ブリ、使っちゃおうかな?
「あ、あのねぇ……? 今度はねぇ? ト、トキオたん探ちて欲しいのん……出来ればねぇ? ゴロウも探ちて欲ちいな?」
「ちょっとメミ? あんた何処電話してんの?」
ナキに聞かれてた⁉︎ 恥ずっ……
「トキオですか? すぐ傍居ますよ!」
「へっ?」
「ゴロウも居ます! あとユキナも!」
「そうなの⁉︎ えっ、何で?」
何でそんな都合良く、みんな揃ってて、リナが傍に居る訳?
「わたし、トキオ達を見つけてから、その傍に居たんです! トキオは逸れた仲間探し集めてたみたいで、わたしが遭遇した時にはもう、ユキナ、ゴロウ、リッカヨルシゲと一緒に居ました!」
「そうなんだ? やるじゃんトキオ」
「その時気付いちゃって……トキオ達には付いてる精霊が居ない事」
「……あっ! そうか! ユキナゴロウリッカに付いていた精霊はチイナに殺されてるし、トキオに付いていたミオナさんも……」
「そうです……だから、誰か一人でも精霊が付いていた方が良いと思って。すいません。勝手な事しちゃって……言い訳になりますが、レイナミナにわたしの役目を引き継いで貰って、ルナとザリガニを探して貰ってました」
「大手柄だよ‼︎ そこまで頭が回る精霊、近くに居ないよ! 丁度今、ゴロウの力を借りたかった所なんだ!」
ヤベッ、大声で本音言っちゃってた? ナキとミーヤからの、鋭い視線が向けられている気配がした。だって! しょうがないじゃん⁉︎ リナ、超優秀なんだもん……
「そうなんですか⁉︎ それじゃあヨルシゲに、リッカどこそこに一緒に来てくれって言わせた後、ゴロウはどうする? リッカを、守るんじゃ無かったのか? みたいに導けば良いですかね?」
「ん、プ、プアーフェクツ‼︎ 今町の通路に居るから、そこまで導いてくれれば! いや、何かあの……リナが総司令やれば良くない?」
「またまたぁー! 上げ過ぎですってば! わたしにそんな力無いですし、それにわたしは……メミさんにしか従う気ありませんから!」
うわぁ、大好きだぁリナ。いつもとっても気持ち良くさせてくれるんだもなぁ! ナキとミーヤにも見習って欲しいもんだよ。
「リ、リナ? それじゃあ……頼んだからね?」
「はい! 任せて下さい!」
「電話……切るからね?」
「はい!」
「……次……いつ会えるかな……?」
「またすぐ、会える日が来ますよ」
「……早く、会いたいな……」
「困ったなぁ……総司令今日は、甘えん坊さんだ」
「えっ? 違うの! 困らせようと思って言った訳じゃ無いの! それじゃあ電話、切ろうね?」
「はい」
「………………」
「………………」
「そっちが切ってよぉー!」
「総司令こそ!」
「カップルか⁉︎ 付き合いたてか⁉︎ 聞いてらんねぇから通話切れよ!」
ナキ? 邪魔しないでよ?
「メミチが好きなのは、アヤチじゃ無かったんですか?」
うるさいなこの二人?
「ごめんリナ? 邪魔入ったから、また後で、電話しても、良い……?」
「勿論ですよ!」
「じゃ、じゃあね……」
「はい! 御武運を!」
電話を切った。本当に……本当にまた後で……電話しても良いのかな?
「今アヤトが居ないから、場繋ぎでリナを利用してんだよコイツ」
「節操が無いとはこの事ですね」
何だそれは? あなた達、もう全然可愛く無い。リナがただ、可愛いからいけないんだ。