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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第五章  『壊れた世界』
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24  智将

 24  智将

 

 

 永遠の様に感じたその時間にも、終わりが訪れた。徳無精の目が、元に戻っていた。

 

「あぁぁ……ル、ルナさん……お、俺は、なんて事を……」

 

「俺達を、生き返らせてくれたルナ様に、何故……」

 

「こんな、こんな恩知らずなぼぅくは、この世界に居ない方がっ……」

 

「ルナ様? 生き返らせた? よく分からないけど、ごめんなさい。あと、あなたとてもお綺麗ですね?」

 

「あっ、やっと終わりました?」

 

 四人の反応を見ると、すぐさまルナは立ち上がった。

 

「目、ちゃんと戻ってますね? はい、もう負の感情に呑み込まれたらダメですよ?」

 

 病院か? 意外と、さっぱりしてんだな……

 

「ルナ!」

 

 徳無精達が何かしらのカードをルナから受け取って離れた後、ザリガニがルナに声を掛け近寄って行った。

 

「あっ、ザリガニ? 何ですかその顔?」

 

 傷だらけのザリガニの顔を見て、不思議そうにルナは言った。

 

「そんな事より、ほらっ!」

 

 ザリガニがカイトを呼び込んだ。勿論、カイトの目は、濁りを無くしていた。

 

「ルナ……君って子は、本当、なんていうか……」

 

 口調も以前のカイトに戻ってる! 良かった。

 

「げっ、カイト……」

 

 何で? ルナ、何か嫌そうじゃない?

 

「オイラ、何も出来ねぇから、ルナが喜ぶと思って、カイト連れて来たんだよ!」

 

「えっ? リーダー? ぼくにルナの頑張りを見せたかったんじゃ?」

 

「ごめんな! あれ嘘! ルナがこんなに頑張ってんだ。ルナにカイトも無事だったって見せりゃ、ルナも元気出ると思ってさ! まぁ勿論お前の為でもあるけど、どっちかって言やぁルナの為だ!」

 

「何ですかそれ? どうせカイトはカイトでアヤト生き返らせる為に奮闘してたんでしょう? わざわざ、その邪魔してまで連れて来る事無かったのに!」

 

「えっ……あの……ぼくは……その……」

 

 めちゃくちゃそれぞれの想い交錯し合ってるな⁉︎ 少女漫画の作家さんじゃ無いんだから、私そんなそれぞれの心理描写細かく拾えんし!

 

「カイトの事ですから、とっておきの方法があるんでしょうねぇ? まぁルナは、地道に仲間増やして、洞窟を埋めた岩をみんなで退ける作戦でいきますけど? どっちが先にアヤトを助けるか、競争ですね‼︎」

 

 そんな事言ってあげないで? カイト、さっきまで屍の様な状態だったんだから。己の不甲斐なさでまた隠に呑み込まれかねないよ。

 

 んっ? 何かとんでもない事言って無かった? 洞窟を埋めた岩を、みんなでどかすって……あっ……何でそんな単純な事思い付かなかったんだろ?

 

「あっ‼︎ それだよルナ‼︎ 何故、何故そんな単純な事に気付かなかったんだろう⁉︎」

 

 そうですよね……

 

「はっ? 何ですかカイト?」

 

「ぼっ、ぼくは! 洞窟が破壊されたと聞いて、誤認識してしまってたんだ‼︎」

 

「ちょっとこの人、なに興奮してるんですか⁉︎」

 

 カイトのテンションにルナ引いてるし。ザリガニは……何かニコニコして、るのかな? 顔ボコボコで分かんないや。

 

「ぼく達もあの洞窟に行った事あった! そしてあの洞窟の中は、細長い通路があって、その奥に神殿の様な物があった! 違うかい? 君達⁉︎」

 

「圧凄いですね? ブレーキぶっ壊れてません? まぁ、そうですけど。でも、入口の岩を退けた所で、中の神殿まで壊されてたら、蘇生の儀式は行えません」

 

「その可能性はゼロでは無いけど、限りなくゼロに近いと思う」

 

「んっ? 何故ですか?」

 

「洞窟の奥の神殿をルイツーの大槌で壊したら、どうなると思う?」

 

「壊れます」

 

「そうじゃ無くて……まぁそうだけど。壊れて、洞窟がどうなるか考えてごらん?」

 

「んー?」

 

「神殿までの細長い通路、もしも神殿を壊した衝撃で塞がってしまったら、出る事は出来ないって、普通なら思うよ」

 

「それじゃあ?」

 

「ルイ達が壊したのは、十中八九入口だけだよ。自分達の安全が確保された後、外から洞窟の入口を壊したんだ。まぁ、実際に見てみないと百パーセントとは言い切れ無いけど」

 

「ルナは! 実際に見ました!」

 

「そうなの⁉︎ どうなってた⁉︎」

 

「確かに、外側から大槌で壊した様な凹み方してました!」

 

「希望が、確信に変わったね!」

 

「でも、中も壊されて無いとは言い切れなく無いですか?」

 

「百パーセントとは言えないけど、中の神殿を壊したのなら、入口を壊す必要は無い」

 

「あっ、確かに。それじゃあアヤトは⁉︎」

 

「生き返れる‼︎」

 

「マ、マキナもですか⁉︎」

 

「マキナさん……? 亡くなったのか?」

 

「そうです。でも! ザリガニ⁉︎」

 

「へっ? そうか! マキナも、生き返れんのか?」

 

 何だこれ⁉︎ 一気に話しが良い方に進み出してる!

 

「こうなったら、ゴロウを探そう! それが一番手っ取り早いだろう!」

 

「んっ? ゴロウ? なんで?」

 

 私も私もー! カイト、何でゴロウ?

 

「彼は、モーニングスターの使い手だ。岩を崩せる武器は、今まで出てきた中で、大槌かモーニングスターくらいしか無い」

 

「あっ、そっか。わざわざ人集めてやんなくても、それで岩どかせますね? そっか、そっか。ルナは、無駄に頭下げてたんですね?」

 

 ちょっと⁉︎ カイト酷すぎるよ‼︎ 今までのルナの頑張り、ワンアイデアで全ロスじゃん⁉︎

 

「そんな事無い‼︎ ルナのおかげで、ぼくは、正気に戻れたんだ。ルナが居なければ、全て上手く行かなかった!」

 

「はぁーそうかそうか。ルナはカイトが正気に戻る為にあんなに土下座したんだー。やったやったー。智将のカイト様復活だやー! ゴロウどこかな? ゴロウどこかな? タララタッタ、タラララ」

 

 うわっ! 壊れた? 最後エアサイコロ振り出してるし。土下座、本当は辛かったんだろうな。

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