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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第五章  『壊れた世界』
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20  小川の流れる穏やかな道

 20  小川の流れる穏やかな道

 

 

 マイにそこの精霊達のリーダーを任せて、リナはレイナと共に自分のパートナーの元へと一旦戻って行った。

 

 みんなと別れて、ナキと二人で洞窟へ向かった。

 

「もぉー‼︎ マイに変な誤解されちゃったじゃん⁉︎」

 

 その誤解を解く時間も惜しかったので、そのままにして別れてしまった。

 

「ってかさ、マジックミラー号って何?」

 

「そんな事知らなくて良いから!」

 

 ナキさぁ? さっき私との関係疑われてた事話してもダメージゼロなんだけど? メンタルが強いのか変態ってだけなのか分かんないんだけど? 最近その変態キャラ鳴りを潜めてたのに、大事な場面で復活させるんじゃ無いよ。

 

「まぁいいけど。取り敢えず、ユウヤ君かルナをリナ達の誰かが見つけたら、メミに連絡が来る様になってるんだよね?」

 

「うん。みんな無事だと良いけど……あっ、洞窟が見えて来たよ」

 

「あれは……そっか、やっぱり壊されてるね」

 

 その近くにルナの姿は見当たらなかった。

 

「あれっ? あの石って……」

 

 ナキの指差す方を見た。

 

「そう。あれは、ルナが毎日手を合わせていた石だよ。ルイとの決戦の前に、アヤト君が洞窟の中から避難させてたの」

 

「ほんと優男だなアヤトは。んっ? 何か寄りかかってない?」

 

「あれは……」

 

 ナキと二人で近寄って見てみると、その石にアヤト君の亡骸が寄りかかっていた。

 

「えっ⁉︎ ちょ、ちょっと! 何でアヤトの死体がここにある訳⁉︎」

 

「ルナが背負ってここまで運んだんだよ」

 

「マジかよ……凄ぇけど、ちょっと怖いな」

 

 そんな事言うな。

 

「ルナ……一人で何処行っちゃったんだろ……」

 

「心配だね……でも、ルナには絶対防御もあるし、安全っちゃ安全だけど」

 

「メンタルはどうかな? もしかしたら、この世界に絶望して……なんて事、無いよね?」

 

「そんな事、考えたく無いね。あたし達も、みんなを探そう」

 

「うん。誰か、見つけてくれないかなぁ……」

 

 携帯を見てみると、三件の着信履歴が残っていた。

 

「あれっ、誰からだろう? ミーヤじゃん! 二時間前に電話来てたし!」

 

「はっ? あたしには来て無いんだけど⁉︎」

 

「まぁまぁ、丁度チイナとの争いの中でバタバタしてた時だったから気付かなかった」

 

「あ、あたしずっと携帯チェックしてたんだけど? なんで、こんな定期的に携帯開かない女には電話して、あたしには電話してくれないの?」

 

「まぁまぁ、ちょっと掛け直すから」

 

「ミ、ミーヤちゃんに、嫌われたのかなあたし⁉︎」 

 

「まぁまぁ、もう電話掛けちゃってるから」

 

「嘘だ、嘘ダァ‼︎」

 

「さっきからうるさいんだけど⁉︎ 電話掛け直すんだから黙ってろよって事だったんだけど⁉︎ 雛見沢症候群かなんか発症してんなら邪魔だからあっち行っててよ‼︎」

 

「あぁ、ご、ごめん。静かにするから、スピーカーにして会話聞かせて下さい……」

 

「邪魔しないでよ⁉︎」

 

「うん……」

 

 ミーヤが電話に出た。しょうがないので、スピーカーにしてやった。

 

「もしもし? メミチ、ですか?」

 

「うん。どうしたミーヤ? カイトには、会えた?」

 

「会えました……でも……」

 

 ミーヤの声が、沈んでる様に思えた。

 

「でも……?」

 

「あの……なんていうか、その……」

 

「ミーヤ? 今何処に居るの?」

 

「へっ? 河原です」

 

「河原? 何処それ?」

 

「あの、なんか、分岐点の所に道案内してくれる村人居たの分かります?」

 

「分かるよ!」

 

「その村人が、左に行けば、小川の流れる穏やかな道って言ってたの覚えてますか? そっちの道の河原に居ます」

 

「あっちか‼︎ 分かった! すぐ行くから待ってて‼︎」

 

「えっ、でも……あの、大丈夫……?」

 

「大丈夫とかじゃ無いから‼︎ すぐ行くから、必ず待ってなよ‼︎」

 

「……うん」

 

 通話を切った。携帯を持つ手が震えていた。

 

「ナキ⁉︎ 走るよ‼︎」

 

「うん」

 

 ナキと全速力で森を下った。

 

「ねぇ? 今のって、まさか……」

 

「あの声のトーンのミーヤは覚えがある。それは、カイトが死んでしまった時だよ」

 

「嘘でしょ⁉︎」

 

「分からない‼︎ 死んで無いかもしれない。もしかしたら、カイトが隠に引き込まれてしまって、暴走してるのかもしれない」

 

「そんな……」

 

「どちらにしても、早く傍に行ってあげなくちゃ! さっきまでの私みたいに、変な気を起こす前に」

 

「ミーヤ……」

 

 もう、誰も居たいと思わない様な壊れた世界でも、大切な人だけはもう、これ以上失いたく無いんだよ。

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