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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第五章  『壊れた世界』
142/200

19  マジックミラー号

 19  マジックミラー号

 

 

「……私が伝えた想いって?」

 

「ちゃんと自分で思い出しなよ! ほら、ヨルシゲにさ、なっ?」

 

「……………………」

 

「思い出したか⁉︎」

 

「……………………」

 

 思い出して言葉を失ってる訳じゃ無いの。ただ全然思い出せ無いし、すっごい沈黙になってるなぁとか、ナキ私の次の言葉待ってるよねぇとか、いらん事考えてしまって、ちゃんと本筋に戻らなきゃって思えば思う程、頭真っ白になってるだけなんだよ。

 

「えっ、なんなの……?」

 

 引くなし。

 

「……ごめん。今なんも考えて無かった」

 

「……なんで?」

 

 なんでと言われても……私、何でなんも考えて無かったんだろ……

 

「……………………」

 

「……どして?」

 

 どして、なんだろう……

 

「……………………」

 

 なんか、何も浮かばないし、取り敢えずナキを見つめておこう。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 えっ? これ私が喋る番なの⁉︎ ってか何の話ししてたんだっけ?

 

「あぁーもういい、分かった言うよ! カイトが殺された時にさ、アヤトが落ち込んで、僕はもう何もしたく無いって言ってた時、あんたがヨルシゲを通じて、色々な可能性があるんだって事を伝えたじゃん! それで諦めんのかってさ?」

 

「へっ?」

 

「自分で言った事だよ⁉︎」

 

「あーごめん。今まだ頭オフモードだったから、思考完全に停止してるの」

 

「まだ頭オフモードって、オフモードになってた事知らんし、そんなモードすら初耳やし」

 

「チイナとの戦いを終えた直後というのも、もしかしたら原因かもしれない。言い訳になるかな?」

 

「えっ? あぁ、まぁそうだよね。お疲れさん……頑張ったね」

 

「うん。それで、どゆこと?」

 

「どゆこと? じゃ無いよ! 諦めるなって言いたいの‼︎」

 

「なにを?」

 

「あぁーもう‼︎ これだからオフモードは‼︎ アヤトが生き返る術を、精一杯考えろって事よ‼︎」

 

「あっ……」

 

 今なんか、スイッチを切り替えてもらった気がする。

 

「大丈夫か?」

 

「私、簡単に諦めてしまってたのかもしれない。そうだ、そうだよ! こんな無茶苦茶な世界だもん! アヤト君を救える方法は、他にもあるかもしれない‼︎」

 

「そう! それそれ‼︎ アヤトもあの時同じ事言ってたぞ!」

 

「だいぶ回りくどかったけど、ありがとう。ナキ」

 

「回りくど、って、そんな事言うの? でも、あんたが正気に戻って良かったよ」

 

 ごめんねナキ。そんな憎まれ口でも叩かないと、ありがとうって、照れ臭くて言えなかったんだよ。

 

「よし、また新たな仲間も出来る訳だし、頭フル回転させないと!」

 

「新しい仲間って?」

 

「何言ってんのナキ? この精霊達だよ! 見てなさい? あっという間に仲間に引き入れてやるんだから!」

 

「もういいの? 休まなくて平気?」

 

「あはっ、ミーヤにメミチの立場になってあげられないんですかって怒られた事、結構効いてるね?」

 

「そ、その時の事は思い出させるな! 辛いわ……」

 

「私は、もう大丈夫! オフモードでしっかり休めたよ!」

 

「横にならなくて平気? 別に、少しくらい休んだって……」

 

「精霊は寝なくても平気だし、さっきまでルナと一緒に居たんだけど、あの子だって寝ずに歩き続けてたんだ! もう、休息はいらない」

 

「マジか、そりゃ負けてらんないもんね?」

 

「どういう意味?」

 

「だってさっき、あんたアヤトの事ばっか考えてたって言ってたじゃん?」

 

「あっ……」

 

 オフってる時、余計な事言ってた事に今更気付いた。

 

「ルナは恋敵だもんねぇ?」

 

「そんなんじゃ無いもん。別に、私だってルナ凄い良い子だなって思うし」

 

「へぇぇー?」

 

 うざっ、さっきの仕返しして来やがった。

 

「もういいから! カーテン解いて!」

 

「はいはい、カーテンオフ!」

 

 さて、取り敢えずリナに、いやマイに話し掛けてみるか。その方が仲間に引き入れるのにスムーズな気がする。

 

「マイ? ちょっといい?」

 

「あっ! メミっち何処行ってたの? って、あっ……」

 

 んっ? どうした?

 

「まぁなんていうか、相談が、あるんだけど……?」

 

 ヤバッ、何か変に緊張して来ちゃった!

 

「ちょっとメミ? 何モジモジしてんのよ? あっという間に仲間に、とか言ってなかったっけ?」

 

「そ、そんなモジモジなんてして無いし! 見てなさいよ? 一瞬よ! 瞬きすら許されないんだから!」

 

「えっ? へっ? ごめん今瞬きしちゃった! もう終わっちゃった? みんな仲間になっちゃった?」

 

 こいつ、からかって来やがる。

 

「言葉の揶揄すら分からないんだ? ナキにはがっかりしたよ」

 

「それを言うなら揶揄じゃ無くて比喩ですぅー! メミには失望したよーん。本もっと読もーねー」

 

 くそっ! 揚げ足取られた。

 

「あ、あのー?」

 

 ヤベッ! マイ放ったらかしにしてた!

 

「ご、ごめん! あのね……?」

 

「そ、そういう事、だよね? ユズキも居るし、言い辛い事、だもんね?」

 

「んっ? なんの事?」

 

「アタシ、二人の事、とってもお似合いだと思うよ?」

 

「ちょっ? なんの事言って……って、あっ……」

 

 ナキと、手繋いだままだった。

 

「ち、違っ! これは違うくて⁉︎」

 

「誤魔化さなくていいのに……」

 

「総司令ー!」

 

 リナが近付いて来た! 気付かれる前に手離さないと! ってか、ナキなんの事か気付いて無い⁉︎ 手離せよ⁉︎

 

「リ、リナ?」

 

 繋いでいる手をチラッと見た後、リナが満面の笑みで言った。

 

「あら? 二人とも仲良しですねぇ!」

 

 ちがぁぁぁあらぁぁぁあ!

 

「ち、違うくて……そうじゃ無くて……」

 

「その前に、ご報告があって! チイナのパーティーだった精霊及び、そのプレイヤー全員、わたし達の味方になってくれる事が決まりましたぁー!」

 

「……へっ?」

 

 あっ、やってくれてたの? 本当、優秀だよリナは。

 

「そういえばさっきまでお二人、姿見えませんでしたけど、何処か行かれてました?」

 

「ちょっ、ばか! 分かるだろ?」

 

 マイ? 何を言っている?

 

「んっ? なに?」

 

「あんだけの死闘の後だったんだ。そりゃ、燃えるだろ?」

 

 燃えてねぇーー‼︎ ま、マジで! マジで違うの‼︎ 私達そういうんじゃ無いの‼︎ で、でもっ! なんか、言えば言う程誤解されてドツボにハマって行きそうな気がするんだけど? ってかいい加減手離せよナキ‼︎

 

「燃える? 何の事ですか? お二人は、何処に居たんですか?」

 

 リナが聞いて来た! な、なんて答えれば良いの……?

 

「ここに居たよ! カーテン張ってたんだよ。あっ、魔法のやつね?」

 

 ナキ? それは本当に最適解なのかい?

 

「あっ! お二人で話し合いされてたんですねぇ!」

 

 リナ⁉︎ そうそう‼︎ それそれ‼︎

 

「マジックミラー号のシステムですね?」

 

 違ぇーーよ‼︎ そんな一段階上のプレイ楽しむ仲じゃ無いから‼︎ これあれなんじゃないか? ただ単にマイがエロいだけなんじゃないのか?

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