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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第五章  『壊れた世界』
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3  魔王降臨

 3  魔王降臨

 

 

 私達は群れの最後尾に居たのだが、前を走っていたプレイヤー達が立ち止まってしまった。その者達を掻き分け、先頭に追い付くと、案の定竜王が待ち構えていた。

 

「メミチとナキチ! 何処居たんですか⁉︎ 気付いたら居ないし、竜王居るけど何も喋ん無いしで頭抱えてたんですからぁ‼︎」

 

「ご、ごめんミーヤ」

 

 何かミーヤ最近、ぶりっ子サボってない?

 

「ヨウヤクソロッタカ?」

 

 竜王が喋った! その言葉は、プレイヤーに向けてなのか、精霊に向けてなのかは分からなかった。

 

「何で、喋れるんだよ? 何で主人のルイを殺した⁉︎」

 

 代表してトキオが語り掛けた。

 

「シュジン? ルイガ? ワラワセルナ! オマエタチニセンタクシヲヤル、ワタシタチトトモニコノセカイヲコワスカ? ソレトモ、ワタシタチニコロサレルカ?」

 

「ワタシタチ? それに、この世界を壊すだと⁉︎ 納得はしかねるなぁ!」

 

「オマエタチハドウスル? ツイテクルナラコチラヘコイ」

 

 今のは、精霊に言った事だよね? みんな分かっていた筈だった。でも、誰もイーグルに近付く者は居なかった。

 

「誰もお前とは組みたくねぇってよ!」

 

 ザリガニがイーグルに挑発した。ちょっ、止めてよあいつ怖いんだから‼︎

 

「ソレナラ、ゼンインシネ」

 

 ほらぁぁぁぁぁあ! 何か大きく空気吸い込んでるし! 大火炎攻撃だよ‼︎ み、みんなルナと手をって、こんな一瞬でみんなが手を繋げる筈無い。もっと早くこの場に着いて、予期できる攻撃の対策を立てるべきだったんだ。

 

 その瞬間、空から舞い降りた巨人が竜王の頭を踏み付けた。

 

「はぁっ?」

 

 ファンタジーなんだけど⁉︎ 竜王の頭は地面に埋まり、巨人が私達の方を向いた。

 

 ……ってか、この巨人、悪魔っぽいというかなんというか。絶対悪の根源でしょって感じなのに、何で味方してくれるの? そもそも、味方じゃないのかもしれない。じゃあ何で助けてくれたの?

 

「な、なんだ⁉︎」

 

 そりゃトキオもびっくりするわ。

 

「ありがとう‼︎ 君の名は?」

 

 ってかフォルム見て分からない? めちゃ悪魔っぽいじゃん‼︎ 黒いし荘厳な衣装だし角生えてるし、味方な訳無いんだから取り敢えず逃げてよ!

 

「ほぉ? ワシを見て臆さないとはな。ワシに名前は無い」

 

「名前が、無い? という事は、傍に誰も居なかったんだね。ずっと独りだったから、名前の無い不便さも感じ無かったのかな? 僕らが、名前を付けるよ!」

 

 はっ? そんな悲しい過去ある感じなのかな?

 

「そういう事では無い。ワシは魔王。名前は持っておらぬ」

 

 そういう事じゃ無いんだってよ? 早とちりなんだからアヤト君は……はっ? 今なんて言った?

 

「き、君が……?」

 

「そう、ワシが魔王じゃ!」

 

 いやいやいやいや……まぁ、確かに魔王っぽいっちゃ魔王っぽいけど、何故そんな突然現れた⁉︎

 

「何で……魔王が僕達を助けてくれたの?」

 

 そう、それだよ! 魔王って悪の権化でしょ? 人助けなんてして良い訳? 何か神が魔王創るって聞いてた時から不安あったけど、アヤト君にほだされて仲間になっちゃったりするんじゃない?

 

「おぬし達はワシの玩具じゃ。こやつに壊されては敵わんからのぉ」

 

 そんな理由か! 自分のオモチャを他人に取られたく無いって、ガキじゃん。

 

「……そうやって、そうやって町の人達を、分岐点に居るおじさんを、呪いを掛けて傀儡にしたのか⁉︎」

 

 そうそう……じゃ無いわ‼︎ それ私とナキが勝手に創った設定だったわ‼︎ 魔王が話し合わせてくれる訳無いしどうしよ⁉︎

 

「フッフッフッ……」

 

 あれっ? 笑ってる……まさか似た様な事してて心当たりがあったとか?

 

「……はて?」

 

 無かったぁぁあ! 結構記憶辿ってたけどそんな事して無かったかぁ。

 

「……忘れたって、言いたいのか? そのせいでみんなが、家にも帰れず苦しんでいるというのに⁉︎」

 

 あっ、大丈夫だったわ。アヤト君があらぬ方に捉えてくれて助かったわ。

 

「ぬぅっ? ま、まぁ、あんまり覚えておらんが、そういう事した様な気がせんでも無いわい!」

 

 一応乗っかってくれた。ってか、何か、喋り方がさ……

 

「ちゃんと思い出せ! 自分の罪を悔い改め、みんなを元に戻して謝るんだ!」

 

 本当に臆さないねぇアヤト君。でも、その理由が、何となく分かってしまう。

 

「まぁとにかくそういう事じゃから! 今はおぬし達は逃げい! 時間稼ぎもそんなに出来んじゃろうしなぁ!」

 

 ただ今は、取り敢えずみんなを無事に逃がす事に集中しなきゃ。この……まぁ今は魔王って呼んでおくか。魔王の手助けを借りて。

 

「精霊達よ聞け! この声は精霊にしか聞こえておらぬ‼︎」

 

 そんな事も出来るのか? まぁ、か、じゃ無くて魔王だしね。

 

「へっ? あたし達に話し掛けてるよ? メミ? あれどういう事?」

 

「メミチ⁉︎ 魔王が話し聞けって! これは罠でしょうか? みぃだけでも耳を塞いでおきましょうか⁉︎」

 

 あっ、めっちゃ混乱してる。もうネタバラシした方が良いよね?

 

「神⁉︎ これどうなってんの?」

 

「はっ? 神様⁉︎」

 

「メミチ? あれは神様じゃ無くて魔王ですよ?」

 

 まだ気付かないか? まぁ二人はあんまり神と喋った事無いからな。神の反応は?

 

「……ぬぅっ」

 

 ぬぅっ、じゃ無いよ‼︎ 口癖なのそれ? はい。魔王は神っていう茶番劇でした。

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