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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第四章 『ルイ攻略戦』
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58  ルイ攻略戦⑬ 呪い

 58  ルイ攻略戦⑬ 呪い

 

 

 ルイはもう、完全に詰んでいた。

 

 ルイの勝ち筋は、竜王が機能している事だったのだが、それは、ザリガニのファインプレーで無くなってしまった。

 

 ルイがアヤト君に襲い掛かった。しかし、第三者により、簡単に倒されてしまった。

 

「はっ⁉︎ 何だよコレ⁉︎ これは、まさか、ヨルシゲか⁉︎」

 

「そうだよ。君は今、ヨルシゲに突き飛ばされた。気付かなかっただろ?」

 

「さ、殺気が、無かった……」

 

 急にトキオが出しゃばって来た。

 

「今までのヨルシゲの攻撃を、お前殺気を感じて防いでたんだろ? 俺に言ったもんな。簡単な事だ。殺気を無くして襲う練習すりゃ良い。ヨルシゲは頭良いから、すぐに気配消せる様になったぜ? もうお前の攻撃は、ヨルシゲには当たらねぇ」

 

 良いとこ取りするな‼︎ その事を、私がプリンからあなたに伝えたから気付いたんでしょ? まぁ、気付いてからのヨルシゲへの特訓は凄かったからあんま言わないけど。

 

「そ、それだけで、勝った気になっているのか⁉︎ 憐れな奴らだ! ほ、ボクは! 強いんだ! はぁっはぁ‼︎ い、今、ヨルシゲの対策も思い付いた‼︎ 剣を、振り回しながら歩けば良い‼︎ どうだぁ⁉︎ これで、お、お、お前達を、全員殺せ、コロセ……」

 

「やっと気付いたか?」

 

「は、はぁあっ⁉︎」

 

「そんな木の棒で、誰を殺せるっていうのかな?」

 

 カイト来たぁぁぁぁぁぁあ‼︎ 目の保養しとこ。

 

「あぁぁぁっ⁉︎ な、なんで⁉︎ ボクは、木の棒を……」

 

 ルイスリーの時のパターンだ。すぐ殺したりするからその情報も聞けなかったんだよ!

 

「ヨルシゲと同じ様に、ぼくにも友達が居るんだ。ポタルっていうんだけど、ヨルシゲの様な攻撃力は無いけど、隠密行動に長けていてね。いつもは警戒心の強い君だけど、今は完全に取り乱していた。その隙に、君の武器と棒をこっそりすり替えさせてもらったんだ。悪いね。みんな、本気だったんだ」

 

 ルイは、何度も何度も、同じ言葉を繰り返した。

 

「ボクは負けて無い。ボクは負けて無い。ボクは負けて無い。ボクは負けて無い……」

 

「ルイ! 俺は仲間の前で、いつかお前をぶん殴ってやるって約束した。今が、その時だ」

 

 トキオ、何かだいぶ前に言ってたね。同じ空気吸いたく無いんだけどってサブタイトル付くくらいの時に言ってたね!

 

「は、ハハッ! 掛かって来いよ」

 

 トキオは、持っていた大剣を放った。

 

「でも、今のお前をただぶん殴っても仕方ねぇ。まずは、話しをしよう」

 

「喧嘩にルールなんか無い‼︎ これでボッコボコにしてやんよ!」

 

 ルイは木の棒でトキオに襲い掛かった。

 

「お前の心を入れ替えてぇんだ。話しを聞けよ‼︎」

 

「ボクに! 跪け‼︎」

 

 トキオはルイから振り下ろされた木の棒を左手で掴み、右手で思い切りルイを殴り飛ばした。

 

「話し聞けって言ってんだろぉが‼︎」

 

 いや殴ってんじゃん⁉︎ 今のルイ殴っても仕方ないとか言って無かった⁉︎

 

「ルイ‼︎ 罪を償え! やり直せるから……」

 

 アヤト君。ルイを更生させるの難しいよ、って、あれ? 私、誰かに、寄りかかられてる?

 

「へっ? ミオナさん⁉︎」

 

 私に寄り掛かっていたのは、ミオナさんだった。後ろから私の肩に顎を乗せ、血反吐を吐いていた。

 

 なに、これ?

 

「メミちゃん無理だったかにゃん? じゃあ、後はコイツ」

 

「アァァァァァァァァァァアッ……」

 

「またねぇ? メミちゃん」

 

 はぁっ? マジで、意味分かん無い。あっ、捕虜の男の精霊が刺されてる。なんで? って事は、嫌だ、嫌だよ。

 

「メミ? わたしね……気を失った振りして、チイナの動き……ずっと……見張ってたんだよ? ……褒めてぇ……何か、死の間際って……甘えんぼさんになっちゃうのかなぁ? メミ……?」

 

 私は、聞きたかった。言いたかった。何で、私を助けたんですかって。私は、私より、あなたに生きていて欲しかった。でも、その応えを聞くよりも、伝えたい事があった。

 

「ミ……ミオナさん‼︎ 他の精霊が殺されない為に、ずっとチイナの傍で見張っててくれたんですよね? その想い、リナ達に、しっかり伝わってますんで! ミオナさんが命張ってやってくれてるのだから、私達も何かしなくちゃっつって読唇術とかモールス信号会得しちゃうんですよ! ヤバ過ぎですあの子達。みんな、ミオナさんに付いて来たんですよ? 聞いてます? ミオナさん?」

 

「……うん。うん」

 

「私だって‼︎ ……ミオナさんに、導かれてたんだ。疎ましく思った事もあったけど、いつだって、私達の事考えてくれてたって分かるもん! だから、大好きだ! ミオナさんの事、大好きだ‼︎」

 

「ありがとうメミ。もう、充分だよ」

 

「ミオナさん‼︎」

 

 ミオナさんは、死んでしまった。呪いの言葉から私はまだ、解放されていない。

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