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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第四章 『ルイ攻略戦』
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56  ルイ攻略戦⑪ 決意

 56  ルイ攻略戦⑪ 決意

 

 

 ダンクしやがった‼︎

 

「えっ……ユウヤ君……」

 

 そ、そこまでしろとは言って無い‼︎ やる事が極端過ぎないかな⁉︎

 

「ザリガニー⁉︎」

 

「アイツ! マジかよ⁉︎」

 

 吹き飛ばされていたアヤト君達も集まって来た。

 

「何だアイツ? 自ら死にに行ったのか?」

 

 ルイもさすがに引いていた。でもまだ目が真っ赤だから、正気に戻った訳では無いと思う。だからさぁ、その白目が赤くなるやつなんなの⁉︎

 

 皆んなの視線が、ザリガニを取り込んだ竜王に注がれた。

 

 何か、エヴァ破の、第十使徒がレイを取り込んで、初号機のシンジ君がレイを探している場面みたいだな……そんな大層なもんじゃ無いか。

 

「ギ、ブエッ! ギャゴゴゴ……ブエェェェェエッ‼︎」

 

 竜王は吐き出そうとしてる! あっ! チラッとザリガニの足見えた‼︎ でも、ザリガニのその動きから、私はその決意を感じ取ってしまった。

 

「ザリガニィーー⁉︎ 戻って来ーい!」

 

「良くやったから、もう戻って来てー!」

 

 アヤト君達がザリガニに呼び掛けた。

 

「止めなさいユウヤ君! こっちに戻れ無くなる!」

 

 ナキ……それは、そうなんだけど……

 

「行きなさいユウヤ君‼︎」

 

「メミ⁉︎」

 

「誰かの為じゃ無い! あなた自身の願いの為に‼︎」

 

「あっ! それミサトさんのやつですね?」

 

「あっ、リナ知ってるの⁉︎ 私達現世で同じくらいの年代だったのかなぁ?」

 

「かもですねぇ。わたしもあの場面思い出してましたぁ」

 

 って悠長な事言ってる場合じゃ無い! ザリガニは死の瀬戸際に立たされているのだから! あちらをごらんよ! ナキが阿修羅の様な顔でこちらを睨んで来ている! そ、そんな怒らんでも! 確かに、死の確率はゼロじゃ無い。でも、今までの挙動で、竜王は、拒絶反応なのだろうか? よく分からない物を飲み込まない事に徹底している。しかも噛まない様にしている様に見える。

 

 人間だってそうじゃないか。私の話しではあるのだが、現世でチャリに乗ってて、周りに人が居ないからって歌を唄いながら優雅に坂を下っている時、突然口の中に謎の虫が入り込んだ事があった。その時めっちゃ焦って、チャリから降りて、噛まない様に飲み込まない様にアガアガ唸りながら口から異物を出した。すると、口内でバタバタしてたカナブンは口の中から解放され、無傷で空の彼方へ飛んで行った。

 

 竜王にとって、人間はカナブンの様な物なんだ! 噛み潰したりしたら気持ち悪いし、飲み込みたい訳が無い! だからザリガニは竜王の口内で生きながらえ、多分だけど、アカミナボールを喉の奥に押入れようとしている。またとないチャンスだし、しばらくスポットの当たらなかったザリガニに、この戦いの英雄になって欲しい! そう思ったんだ! 後でナキにはこうやってちゃんと説明しよう。

 

「メミさん! 今、竜王が何か飲み込みました!」

 

「マジか⁉︎」

 

「いつまで戯れている? 竜王、わざわざ集まって来たコイツらを叩き潰せ!」

 

 ちょっと! もうちょっと待っててよ……竜王は、右手を大きく広げ、アヤト君を上から叩き潰そうとした。

 

「ハハッ! やれ竜王!」

 

「アヤト‼︎」

 

 間一髪の所でルナが現れ、アヤト君の手を握った。そのまま竜王の右手は振り下ろされて、二人はその大きな掌に包まれた。ってか、アカミナボール効いて無いの⁉︎

 

「邪魔しやがって。竜王、そのまま握り潰す事は出来無いだろうが、もしかしたら掴んだり出来るんじゃないのか?」

 

 竜王は地面の土ごとアヤト君とルナを握り締め、大きく振りかぶった。

 

「ハハハッ‼︎ そのまま地面に叩きつけろ‼︎」

 

 えっ⁉︎ いきなり激ヤバになってんだけど‼︎ ルナの防御って、地面に叩きつけられたりするのは防げないんだよね? 竜王の手に覆われてるから、アヤト君達にシールドも掛けられない!

 

「アヤトー⁉︎」

 

「アヤトさーん⁉︎」

 

 トキオ達が呼び掛けてくれてるけど、これ以上何も出来ないよ。策なんて、もう……

 

 …………

 

 んっ?

 

「おい? 竜王? 何をしている?」

 

 ルイが竜王に問い掛けた。竜王は動かない。

 

「竜王?」

 

 竜王の鼻から、大きな鼻ちょうちんが膨らんだ。

 

「はっ? 竜王⁉︎」

 

 竜王は大きく振り上げた右手をゆっくり地面に戻し、その場に崩れ落ち、グピーグピーといびきをかいて深い眠りについた。

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