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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第四章 『ルイ攻略戦』
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53  ルイ攻略戦⑧ 竜王

53  ルイ攻略戦⑧ 竜王

 

 

「メミ?」

 

 うわっ! ナキ喋り掛けて来たし! うぅぅぅ、気不味い……

 

「なに……?」

 

 なに……? って良く無かったかな? どうしたの? の方が良かったかな? どげんしたと? だったかな? それとも……

 

「聞こえ無いけど、アヤトにも……」

 

 へっ? アヤト君にも……? ナキは、深々と頭を下げた。

 

「ごめん‼︎ あたしが間違ってた。アヤトが、不殺で事を済ませ様として来た事、本当は、他人事の様に思ってたんだ。また甘い事言ってるって、ユウヤ君とカイトが、多分ルナも、その考えだからこそ、アヤトと一緒に居たいって思ってる事を、もしかしたら疎ましく思っていたのかもしれない。その信念は、この世界を生きていく時に、みんなの足枷になるんじゃないかと思ってた。ルイツーの事も、アヤトがどうにかするって、あたし達に言伝は来てたんだ。でも、メミの強がりだと思った。あたしは、心の底からアヤトの事を、信じきれていなかった! でも、メミの言った通り、アヤトは、人の心を動かす何かを持っていて、奇跡を起こす可能性を秘めてるって気付いた。今までの事、これからの事、メミが、アヤトが居なかったらって考えたんだ!」

 

 ヒィィィィッ‼︎ めっちゃ喋って来たし! いやほんと……一言謝ってくれるだけで良かったんだよ?

 

「わ、私の方こそごめん! 大事な時だったのに、時間取らせる様な事しちゃって」

 

「時間が無いとか関係無い! って、メミは言ったよね。今ならその意味が分かる。どれだけ時間が無くても、嫌だったんだよね? あたし達が間違った道に行く事。あたし、この世界では結構あんたの傍に居るから、今、思うんだよ。メミが傍に居てくれて、本当に良かったって。気付けば、あんたに導かれてた。あんたが、正しい道を教えてくれるんだ。ルイツーの事、本当に悪かった」

 

 めっちゃ喋るじゃんナキ……私が時間無いのは関係無いって言った手前、止められ無いんだけど?

 

「みぃも、すいませんでした。物事の本質に気付かず、適当に喋ってました」

 

 適当に喋ってたのこの子⁉︎ カイト蘇ってから腑抜け過ぎなんじゃない⁉︎

 

「も、もう良いから! ってか、ナキ? 今私が司令塔になってるんだけど、やっぱり、司令塔はリーダーに付いてる精霊がならなきゃ格好つかないよね? 仲直りのしるしに、司令塔の役目、譲り受けてくれるよね?」

 

 やっとプレッシャーから解放される! みんなと仲直りも出来たし一石二鳥だな。

 

「いや、メミがやるべきだよ‼︎ あたしが間違ってたんだ。リーダーはアヤトがやるべきだったし、司令塔もメミが相応しいんだ‼︎」

 

 うわぁ……この人多分本気で言ってるよなぁ……嫌だから司令塔の立場押し付けるとかいう性格じゃ無いもんなぁ。ナキは基本真面目だし。

 

「みぃも、メミチが司令塔、大賛成ですよ‼︎」

 

 プレッシャーなのよ‼︎ これからが本番な訳じゃん! 伸び伸びやりたいし!

 

「竜王……」

 

 うわぁぁ来た‼︎ 暫く黙ってたと思ったら、ルイが急に覚醒しやがった!

 

 私は、これ以上のタイミングは無いと思い、草笛を鳴らした。

 

「ギャオオオオオオオオオオッ‼︎」

 

 竜王の雄叫びが鳴り響く。アヤト君は覚束ない足取りでルナ達の所まで歩いた。

 

 ドスン、ドスンと鳴り響く足音は、カウントダウンの様にさえ聞こえた。みんなの心臓の鼓動が聴こえて来る気がした。「みんな、ここで死ぬかもしれない」それでも、諦める気など、誰にも無かった。

 

 森の奥から、巨大な竜王のシルエットが浮かんできた。

 

「ね、ねぇリナ? さっきの草笛、伝わってるかな?」

 

 私は、不安になって聞いてしまった。

 

「大丈夫です! 保険でわたしもナナにメッセージ伝えたので!」

 

 えっ⁉︎ こっから? あぁ、確かにほんのり崖の上のナナ見えてるわ。いつの間に読唇術やってたの? 助かるわぁ。

 

「ってかあんな崖の上から、どうやってこっちに参戦する訳?」

 

「へっ? メミさん見てましたよね? うちのパーティーの連中が野犬の背に乗る練習してるの?」

 

「見てたけど? 何か関係あるの?」

 

「知らなかったんですかメミさん? あの野犬達は、崖さえ走って降りられますよ!」

 

「へっ?」

 

 崖を、黒い点々が物凄い速さで移動した。

 

 野犬達めちゃくちゃ優秀じゃん‼︎ きっと私達だけでその力を独占したとしても、扱いきれない案件だったよ!

 

「生き返り組はバレない様に潜んでいないといけませんでしたから、あの大所帯だと、森の中に隠れても見つかるんじゃ無いかって事で崖の上になったんですよ」

 

「そうだったのか。ってかリナ私の知らない作戦まで知ってんだね?」

 

「わたしとナナはずっとプレイヤー側の作戦聞いてたので! 後にみんなで共有しましたけど?」

 

「聞いて無いんだけど……ハブられてた私?」

 

「へっ? そんな……ま、まぁでも、わたしが逐一作戦の詳細伝えますから!」

 

「でも、私には誰も教えてくれなかった……」

 

「そ、それは……そうだ! アヤトさんがちょっと一人になると言った後、メミさん付いてったじゃないですか! あの時みんなに伝えたんです!」

 

「あーあの時か——」

 

 プレイヤー側と精霊側の作戦が決まった後、アヤト君は一人になりたいと言って輪から外れた。私は気になって後を付いて行った。アヤト君が向かった先はルナが住んでいた洞窟で、その行動に、アヤト君らしいなと思ったんだ。でも……

 

「だとしても、帰って来てから教えてくれても良く無かった⁉︎」

 

「メミは、あんまり詰め込み過ぎないで、思った様にやった方が良いと思ったんだよ」

 

 ナキが横から割って入り言った。確かに作戦全部覚えらんなかったかもしれないんだけどさ……あっ! これを理由に!

 

「確かに、そうかもしれない。でもね? 作戦の全容を知らない司令塔なんて、機能しないと思うんだ。本当はやりたかったけど、やっぱり、ナキに譲った方が良いかな……」

 

 よし! これならいける!

 

「ちゃんとわたしが傍で伝えます! どっちにしても、メミさんが作戦の全容を知らない事は、このチームにとってマイナスになります! お願いします‼︎ わたしに、その大切な役目、やらせてはもらえないでしょうか⁉︎」

 

 リナ? そんな、気負わなくて良いんだよぉ……?

 

「確かに作戦の全容を知らないメミに、司令塔は務まらないんじゃ無いかと思った。でも、レイナ? あんたのその心意気に託したい! 任せたよ!」

 

「ありがとうございます‼︎ ただわたしリナです!」

 

 どんだけ遠くに放り投げても、司令塔が跳ね返って戻って来る。

 

「そ、そうなの? リナごめん……メミは、もしかしたら司令塔やりたく無いのかな? なんて思ってたんだ。あんたは、自由にやらせた方が活きるし、本気で嫌がってたらあたしが引き受けないとと思ってた。でも、さっき言ったもんね? 本当はやりたかったんだけど、って、言ったもんね? 意欲的になってる時のメミは、負け知らずだもん! 司令塔、任せたからね‼︎」

 

 素直に嫌だって言ってれば、代わってくれてたのか……本当、打つ手打つ手打つ手全部上手くいかんし‼︎ 逆にこんなに思惑外れてたら、司令塔としてみんなを良い未来に導ける自信皆無だし。

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