52 ルイ攻略戦⑦ 骨
52 ルイ攻略戦⑦ 骨
「リナ! そっちはもういいから、ミオナさんの手当てを!」
「はい!」
男の精霊の口をつまんでいた指を離し、リナがミオナさんに駆け寄った。
「ケッ!」
何がケッ! だよこの精霊! アァァアァァ言ったり、マジガキじゃん!
「あんた達が持ってる武器って……なんなの?」
言うのも憚れる。
「なぁーんだろ? 教えるかバーカ!」
「いや、もうほぼほぼ分かってるんだ……」
「かま掛けたってなんも喋らねぇぜ」
「骨でしょ?」
「なっ⁉︎」
分かりやすっ⁉︎ 完全に図星つかれたリアクションじゃん!
「あなた達に殺された精霊の亡骸から、骨が抜き取られている事を知った。その骨を加工して、その凶器を作ったんでしょ?」
「ハハッ、まぁバレたとしても、お前達に同じ事が出来るとは思えないがな」
「そんな事する訳無いでしょ⁉︎ 頭おかしいんだよ‼︎ そんなの……考えただけでもゾッとするよ……」
「それなら、知らない方が良かったなぁ⁉︎ 最悪だろ⁉︎ 自分が、他の精霊の骨で作られた武器で殺されるなんてよぉ⁉︎」
「本当、最悪だよあんた達。救い様が無い。でも、知れて良かった。そのおかげで、こっちも色々と対策が出来たから」
「強がっちゃって、可愛い奴だなぁ?」
「その発想を利用して、その縄も作れたんだ。それに、弱点も分かってる」
「はぁ? 弱点だと?」
「精霊同士は、リンクしないと触れ合え無い。だから、リンクをしていないとその武器は当たらない。あなた達、リンクする時必ずその武器を私達に接触させてリンクしてた。その武器も精霊の一人として、パーティー外の人間だと、リンクしなければ触れられ無かったんだ」
「それの何が弱点なんだよ?」
「あなた達、ステーションですぐに諦めて逃げたでしょ? 疑問に思っていたの。武器もあるあなた達が、こちらが数で優位だとしても、逃げる必要あったのかって。結論は、警戒されていたら、あなた達は圧倒的に不利になる。しかもこの数の精霊相手に、キャンセルの数も足りないまま、突っ込んで来れないもんね。そして逆に、こちら側から一方的にリンクされたら、あなた達の武器は触れられ無い上、囲まれて捕らえられる可能性がある。それがあなた達の弱点」
「さぁ、どうかな……」
コイツ、誤魔化すの下手だなぁ。喋ってたら色々ボロ出すんじゃ無いかな?
「ナキ! ……じゃ無くてミーヤ! 今コイツとリンクしてるよね? コイツの持ってたレイピアここにあるけど見える?」
あぶね、ナキとは決別中だったんだ。いつもの癖でナキに振ろうとしちゃったよ。
「みぃですか? 見えません! 作戦立ててた時メミチ、ステーションの時の事言ってましたけど、予想的中って事ですね」
そう、ステーションでナキ達がコイツにリンクした時は、鏡を見ながらリンクした。その時見えてたレイピアは、裸眼で見るとあら不思議、見え無くなっていたのだろう。ナキのその後の言葉を後々考えてみると、その違和感の正体に行き着いた。
「自分達の仲間の精霊を殺したのも、リンクし続けないと武器が見え無くなるから、仲間の精霊だったらいつまでもリンク状態になるから、だから仲間の精霊を殺したんでしょ?」
「へへっ、なかなかの名探偵ぶりだなぁ?」
その時、リナが声を荒げた!
「メミさん‼︎」
「うわっ! びっくりしたぁ。どうしたリナ?」
「ミオナさん、脈あります! 出血も止まりましたし、安静にしていれば、もしかしたら助かるかもしれません!」
「マジか⁉︎ ……うぅぅぅ、良かったよぉ。チイナも警戒されてちゃなかなか手出し出来ないだろうし、取り敢えずルイを凌いで、チイナは機会を伺おう」
「甘ぇな?」
寂しいのこの人? ずっと話しに入って来んだけど?
「何か用?」
「お前、チイナにリンクされてる事忘れたのか?」
「あっ、そういやされた」
「確かに、警戒されてたらこっちは動き辛い。でもなぁ、今チイナとリンクしてんのはお前とミオナだけだ。リンクして刺すならステイされる危険性も高まるが、お前の隙だけ狙って刺すくらいは余裕で出来る」
「確かに……他の精霊は鏡越しにしか見れないから、気付いたとしても、的を外したり、キャンセルを掛けられる事を考慮するなら、二枚はステイを掛けないと止められない! でも……」
何でそんな事教えてくれるの? それ教える事って、あなた達の利になる気が全くしないのだけど?
「怯えろ‼︎ 震えろ‼︎ 泣き喚けぇ‼︎ へへへへへへへへっ」
……それが理由⁉︎ 私の怯える姿を見る為だけに助言くれたの⁉︎ 良い奴では勿論無いのだけれど、利用価値のある捕虜だなと思った。