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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第四章 『ルイ攻略戦』
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50  ルイ攻略戦⑤ 亀裂

 50  ルイ攻略戦⑤ 亀裂

 

 

「ルイツー……シールド!」

 

 チャンスかもしれない! まさか、敵のルイツーにシールド掛けるなんて思わないもんね? このシールドは通るかもしれない!

 

「キャンセル」

 

 マジかぁ! 多分シールド警戒されてたもんなぁ。ってか、ルイツーはあなた達の仲間でしょ? 何でわざわざ敵の私が掛けたシールドキャンセルするの⁉︎

 

 まぁ良い。相手は徳無精の精霊なんだ。一筋縄じゃいかない。向こうは二人だし、こっちは人数の有利でシールド三枚張れば、相手はこちらの魔法を崩せなくなる!

 

「あぁ‼︎」

 

 ルイツーの、悲鳴が辺りに響いた。ルイの剣が、ルイツーの心臓を貫いた。

 

 ……はっ? 何で……何で誰も、シールドしてくれなかったの。

 

 ルイツーの瞳からは生気が無くなり。口から大量の血を噴き出し、その場に崩れ落ちた。

 

 森の奥から、ナキが現れ近付いて来た。

 

「メミ? もしかして、ルイツーにシールドしたのって、メミ?」

 

 ちょっと待って、動悸が治らない。

 

「はぁ、はぁ、ってか、見てたんだよね? 何で助けられなかったの⁉︎」

 

「助けられなかった? って誰を?」

 

 あぁ、そういう事か。止めてよ。あなた達の事、嫌いになりたく無い。

 

「ルイツーだよ……」

 

「ルイツーって、敵じゃん?」

 

 嫌だよ。私達……何してるの? 何の為に戦ってるの?

 

「ルイツーは、アヤト君の言葉で、私達の味方をしてくれ様としてたんだよ? なのに、助けてあげられなかった」

 

「そうだったの? てっきりあたしは、アヤトがルイツーを唆して、ルイに始末させる様仕向けたのかと思った」

 

「唆したのは事実だけど、アヤト君が仲間内で始末させ様なんて思う訳無いでしょ‼︎ アヤト君の気持ち考えてよ‼︎ 自分が言ったせいだって、気に病んでるよ……」

 

「はぁっ⁉︎ アヤトの気持ち考えろとか何とか、面倒くせぇ事言ってんじゃねぇよ‼︎ 戦争なんだよ‼︎ あたし達だって殺されるかもしれない。あんたのパートナーの利己主義に付き合ってる暇ねぇんだよ‼︎」

 

「ナキ⁉︎ 利己主義の意味分かって使ってる? アヤト君は自分の利益の為になんか動かない。訂正してよ!」

 

「メミ? 揚げ足取りは止めよう。ここで揉めてたら絶対勝て無いから!」

 

「それなら、まず謝れよ‼︎ アヤト君に謝れ‼︎ アヤト君は自分を犠牲にしてでも、人に尽くせる人なんだ‼︎ それを、利己主義とか言った事謝れよ⁉︎ じゃないと話しにならない!」

 

「話しになんねぇのはお前だろうが⁉︎ こっちはその話し一旦置いといて、これからの事話そうとしてんのに、アヤトの気持ちがどうとかこうとか、何の事言ってんだよ‼︎」

 

「話しをしたいのなら、何で謝らないの⁉︎ 時間無いんでしょ? 謝れば許してやるって言ってんのに、謝んない意味が分かんないんだけど⁉︎ 戦争だからとか、時間無いからとか関係無い! 私は、アヤト君に寄り添って生きている。今、アヤト君はとても傷付いてるから! だから……せめて、傍に居て、寄り添ってあげたい……」

 

「メミあんた……そんなに話し通じ無い奴だとは、思わなかった」

 

 その時、隠れていたミオナさんとミーヤが近寄って来た。私達が揉めているのを感じ取ったのだろう。

 

「何してるの? あなた達」

 

 ミオナさんが聞いて来た。

 

「喧嘩、してました……」

 

「ミオナさん聞いて下さいよ! メミ、あたし達が敵のルイツーにシールド張らなかった事でガチ切れしてるんですよ!」

 

「私はキレて無いし、ナキがおかしいんです」

 

「メミチもナキチも喧嘩なんかしないで下さいよぉ! 分かってるんですか? 今が正念場だって!」

 

「取り敢えず、何で敵にシールドなんかしたの?」

 

 へっ? そういう流れになるの?

 

「……アヤト君は、ルイツーがルイを好きだという事を見抜きました。好きな人が、間違った道を進むのを、何故正してあげないのかと言って責めました。そしてルイツーは、ルイに、間違っていると言う事を選びました。そして、アヤト君の助けを拒否して、ルイに殺されました……守れたんじゃ、無いですか? みんな近くで見てたんでしょ? ルイツーの事、守れたんじゃ無いんですか?」

 

「そこまでの話しをしているのは知らなかった。そこまで聞いてたら、確かに助けた方が良かったかもしれない。でもあたし達はその会話知らない。洞窟は潰されてたって知った後だったから、仲間同士で潰し合ってくれるのは願ったり叶ったりって思うじゃん? 落ち着きなよ。もうあたしも怒って無いからさ?」

 

 ちょっと、ナキ? これ以上私を、怒らせないで。

 

「もぉー! ナキチが折れるなんてなかなか無いですよ? 良かったですね! わがまま言って無いで、ちゃんと練った作戦遂行させましょう!」

 

 わがまま? 黙れよ。何でそんな普通に喋れるの?

 

「チイナ達を探しましょう。戦闘開始よ!」

 

 ミオナさんも……もう、いいよ……

 

「私、抜けます」

 

「メミ? 何言ってんの?」

 

「私、あなた達とはやっていけません。同じ空気吸いたくありません。さよなら」

 

「はっ? メミ? あんたどんだけわがままなの⁉︎ ちょっと自分の意見が通らなかったからって、全部放り投げんだ? 途中で投げ出すんだ?」

 

「違う……」

 

「何が違うのよ⁉︎」

 

「今のみんなは、ルイと同じ」

 

「えっ……」

 

「人の死を、損得で考えてる。ルイツーなら、死んだって得だって、みんな、そう言った」

 

「それは……」

 

「私達は‼︎ 徳無精を更生させる為にこの世界に居るのに! いつの間にか、ただ、ルイを攻略、違う、殺す為に団結してる。ルイツーが死んでも、誰も悼んであげれない。私は、どうしても、そんな人達と一緒に居たく無いから! さよなら」

 

「ルイと、同じ……」

 

 私は、みんなから離れ、アヤト君の傍に付いた。ってか、五メートル程動いただけではあった。みんな近くに居た。でも、これからあなた達の手なんか借りない。作戦ももう知らない! 私は、またアヤト君と二人きりで、この世界を生きて行くんだ。

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