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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第四章 『ルイ攻略戦』
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45  君の為に出来る事

 45  君の為に出来る事

 

 

「ルナ? 僕だって、少しは戦えるよ……」

 

 つらっ……もうちょっと戦闘能力ゼロって言った所、オブラートに包む事出来なかったかな?

 

「ごめんなさいアヤト。このチームで、勝ちたいから! 気を遣って案を出すより、正直に言って、作戦を立てたかったんです! 例え、アヤトを傷付けてしまっても……」

 

 ルナは、アヤト君に惹かれて外の世界に出た筈だ。アヤト君の事が好きなのも見てれば分かる。でも、そんなアヤト君を傷付けてまでも、自分がアヤト君に嫌われたとしても、仲間の為、トキオやマモルのパーティーの為、ちゃんと自分の意見が言えるルナを、私は素敵だなと、うーん、素敵って言葉で合ってるのかな……? 何とも言い表し難いな……エモいなって、そう! エモいなって感じたんだ!

 

「ルイツーを無力化するって事か? 誘導って言ってたけど、何に誘導すんだよ?」

 

 トキオの疑問も分かる。ルイツーを無力化出来る程の誘導って何?

 

「洞窟です」

 

「洞窟? みんなを生き返らせてくれたあの洞窟か?」

 

「あの洞窟で、死んだ者が生き返るだなんて知らなかったルイ達は、その事実を知った時、どうしようと考えますか?」

 

「どうするって……まぁ驚くよな? そんな狡いって言われてもしょうがねぇ切り札持たれてたら」

 

「そうです。あの洞窟を、ルイツーに破壊させに行かせます」

 

 …………はっ?

 

「はっ?」

 

「はっ?」

 

「はぁっ?」

 

 各々が、各々の、はっ? を放った。

 

「戦闘の最中、アヤトがルイツーを洞窟破壊に動かせれば、みなさんの負担も少しは減るでしょう?」

 

 ルナは笑顔で言った。でもそんなの、違和感しか無かった。だって、今までほぼほぼ無表情だった癖に、こんな時だけ笑ったりして、心が、壊れない様に、気丈に振る舞ってる様にしか見えないんだよ?

 

「いや、ルナよぉ? 生き返れるってのは、俺達側のアドバンテージだろ? 何故それを放棄する? それにあの洞窟は、ルナの故郷みたいなもんだろ?」

 

「ルイツーを足止めするってだけじゃ、割に合って無いのかもしれない。でも、アヤトの迷いを断ち切れるなら、ルナは充分なんです」

 

「えっ?」

 

 アヤト君が反応した。アヤト君の、迷い……

 

「アヤトの迷いを断ち切る? どういう事だ?」

 

「アヤトは、一度死んだトキオやマモル達の事を考え過ぎて、自分がいの一番に犠牲になろうとする。いざ戦闘の場面に立つと、アヤトは必ずそう立ち振る舞う。でもルナは、アヤトさえ最後まで生き残ってくれれば、どうにかなると思っている。だから、みんな同じ条件で、みんなが同じ目標に向かって進む方が、アヤトには合っていると思う! ザリガニもそうだけど、自分は死んでもまた生き返る事が出来るって、思わない方が良いと思うから、だから、一石二鳥の案だと思うのですが?」

 

 これは、ルナにしか言えない言葉だな。

 

「お前⁉︎ ……悪い。ルナが生まれ育った場所なんだろ? 良いのかよ? ルイツーにぶっ壊されちまってよ?」

 

 あのトキオが⁉︎ って言っても最近優しい一面垂れ流してるよね。ルナの気持ちを慮ってくれた。

 

「良いんです! なんなら、ルナを縛り付けてたあの洞窟なんて、消えて無くなれば良いと思うくらいですから! って言っても、蘇生の能力が無くなれば、ルナがみんなの為に出来る事が半減するのだから、パーティーのお荷物になってしまうのかもしれませんけどね……」

 

 ネガティヴ⁉︎ 絶対防御ってだけでチートなんだから! それに、役立たずなんて言って責めたりする仲間、居ないよ?

 

 なんだろ……ルナ、輝いてるな。輝いてるとかって、誇張した表現って思うよね? 違うんだ。本当に、輝いて見える。アヤト君、もとい、ザリガニのパーティーに入って、ルナは日に日に魅力を増しているよ。心からアヤト君の事を考えて行動するし、蓄えて、非の打ち所の無い者へと成長して行く。

 

「アヤト、お前が決めろ」

 

 確かに、トキオに決定権のある案件では無かった。

 

「……分かった。ルナの想いに、精一杯応えるよ! ルイツーは、僕がなんとかする!」

 

 でも、私の中に広がっていく不安はなんなんだろう。もう、私は、いらないんじゃないかな? 傍に居ても、君の為に出来る事なんて、無いんじゃないかな?

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