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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第四章 『ルイ攻略戦』
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43  仲間を失う怖さ

 43  仲間を失う怖さ

 

 

「で、結局どうすんだよ?」

 

 トキオがずっと考え込んでるアヤト君に言った。

 

「……ザリガニの意思に賛同する! 色々考えたけど、それが一番良いと思ったんだ」

 

 それって、みんなからまた他人任せにって責められるんじゃない? 大丈夫かな?

 

「そっか、分かったよ、アヤト」

 

 カイトは分かってくれた! トキオは……?

 

「責任転嫁かよ?」

 

 本当そういう嫌味な事言うよね⁉︎ そうかもしれないけど、その事でさっきカイトと揉めてたんだから、可哀想だから言わんどこってならない訳⁉︎ あっ! カイトと揉めてた時、トキオ死んでたわ。

 

「そう思われてもしょうがないけど、それが一番良いと思ったんだ。ザリガニの意見は、僕の意見として受け取ってくれ! 僕もザリガニの意向に、責任を持つ」

 

「何でザリガニにそこまで拘るんだよ? 良いじゃねぇか? 実質お前がリーダーみたいなもんだろ?」

 

 なんだかんだ、アヤト君が一番目立ってるのか? 戦闘では全然役に立って無いけど、こないだなんかパンツ一丁になってたけど。そりゃパン一になる様な戦い方してたら、嫌でも目立つか?

 

「リーダーは、ザリガニだ! そして、自分の知らない所で話しが決まってたとしたら、嫌だと思うから。だから、ザリガニの意思に賛同するって形を取りたい」

 

「形を取りたいって、なんだよ?」

 

「ザリガニの言う事は、分かってるから!」

 

 ザリガニ達の所まで辿り着いた。代表して、トキオが質問をした。

 

「みんな、ルナのおかげで生き返る事が出来た。ザリガニ! これからどうすんのか、お前が決めろ!」

 

 何でトキオが代表なの? まぁ良いけど。ザリガニは、その切れ長の鋭い瞳から、涙を抑える事など出来ず、鼻水まで垂らして言った。

 

「トキオ……ありがとなぁ。マモル達も、本当ありがとなぁ……カイト……なぁ? 良かったなぁ。生き返らせてもらって、良かったなぁ。ルナ……仲間にはさ、特別な時にしかこの言葉を言っちゃいけねぇんだ。ありがとう。カイトを生き返らせてくれて、ありがとなぁ⁉︎」

 

 もらい泣きしてしまうわ! もうザリガニも絶対改心してるから、こんな世界終わらせてあげてよ! ハッキングとかルイとか、何でそんな事に気を遣わないといけないの⁉︎ おかしいよ!

 

「お礼とか、無くて良いですよ。元々、それがルナの役割なのですから……」

 

 ルナ、絶対喜んでるでしょ? ほっぺた赤くなってるんだけど? 良かったね。仲間になったからこそ、その言葉の重みに気付けるでしょ?

 

「感動の再会してる最中に悪ぃけどよ、みんな疲れてんだ。今日一日で厄介な事があり過ぎた。話す事もまだまだあるし、ザリガニ、お前の意見をまず聞かせてくれ」

 

 何を偉そうに‼︎ トキオ、あんたが部屋勝手に抜け出さなきゃ、パーティーが分断される事は無かったし、こんなにトラブルが立て続けに起こる事なんて無かったんだからね! みんな疲れてんのは分かるけど、あなたが言う事じゃ無いんだから! ……まぁ、そのおかげか分かん無いけど、アヤト君を味方してくれる人が鬼の様に増えた事は認めるけどね。

 

「そんなもん決まってらぁ! ルイを倒しに行くぞ!」

 

 おっ、ザリガニそう来るんだ。なんだかんだビビリだったりするから、みんな生き返ったし止めとくかってなるかなぁと思ってたけど。こりゃアヤト君当てが外れたんじゃないかな?

 

「ザリガニなら、そう言うと思ったよ」

 

 そうなのアヤト君? 私は逆張りしてたんだけど?

 

「ルイは、オイラ達を全滅させる事に執着してる。みんな生き返ったけど、これからオイラ達、身を潜めながら、隠れながら生きてくのか? そんなの、クソ喰らえってんだよ! じゃあルイを懲らしめるにはどうしたら良い? オイラ達全員で、アイツを叩くしかねぇだろ‼︎」

 

 もっともな意見じゃないか⁉︎ どうしたザリガニ? 出会った時と人が変わり過ぎてて恐ろしい程だよ⁉︎ しかも、ルイを殺すじゃ無く、懲らしめるって……人の成長がこんなにも嬉しい事だなんて初めて知ったよ。

 

「お前、ちゃんとリーダーしてんだな? 説得力あったぜ! 勿論俺達のパーティーは力貸すぜ! マモル! お前達はどうすんだよ?」

 

「付いて行きやす‼︎ オゥレ達も狙われてて、何もしねぇまま旦那と兄貴がルイ倒しちまったら、また借りが増えちまう。旦那のパーティーに戻らねぇからには、オゥレ達も、借り全部返して、旦那と兄貴と肩並べて歩きてぇんです!」

 

 キャァァ! 肩並べて歩きたいんだって! マモルまで格好良い事言うじゃん! それもこれもアヤト君のおかげ……って、さすがに買い被り過ぎだよね。みんなが、様々な思想で動いた結果、こうなったんだよね。

 

「この数で負けたら、笑いもんだな」

 

 そう言いながらも、ザリガニは笑った。

 

「だなぁ。ただ厄介な事に、相手は激ツヨチートなドラゴンまで味方に付けやがった。何か、策を考えないとなぁ」

 

 策かぁ、あのドラゴンに殺されまくった苦い記憶があるからなぁ……

 

「作戦って程でも無いが、一つ考えがある」

 

 おっ、ザリガニが作戦? そんなの考えられる知能あったんだ? って、失礼過ぎたな。ナキ横に居るし、めっちゃ真剣にザリガニの話し聞いてるし声に出さなくて良かった……

 

「考え?」

 

「あぁ、ルイに殺された奴らがキーマンになる」

 

「どういう事だよ?」

 

「ルイは、ルナが死者を生き返らせれる事を知らねぇ。だから、お前達が生き返った事も知らねぇ。そこに付け入る隙がある。ルイは、オイラ達みたいな敵勢力は、生き残った五、六人しか居ないと思ってる。でも実際は、ルナが生き返らせてくれたおかげで、三十人近い大所帯だ! 一方敵はルイとドラゴンとルイツーだけだ。一斉に掛かれば、どうにか出来るかもしれない!」

 

「ザリガニ! それは駄目だ‼︎」

 

「はっ? どうしたアヤト?」

 

 そっか、ザリガニは知らないもんね。

 

「その作戦は、リスクが大き過ぎる……生き返った者達に、前線で戦わせたく無いんだ」

 

「何でだよ? ルイを攻略するにはそれしか——」

 

「生き返れないんだよ。一度生き返った者は、また死んでしまったら、生き返る事が出来ないんだ。蘇生出来るのは一回だけ。だから、生き残った僕達だけでやろう」

 

 そうなんだよ。でもそれじゃあ、正直ルイに勝てる気がしないよ。

 

「そうなのか⁉︎ ……分かった。違う作戦を考えよう……」

 

 ザリガニも、もう仲間を失う怖さを知ってしまったんだね。

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