42 想像を絶するだらしなさ
42 想像を絶するだらしなさ
ザリガニ達の元へ戻る道中、トキオがずっと喋っていて煩わしかった。
「いやぁ良かったぜ! コイツそんなに喋った事無ぇなって奴も居たから、まさか全員蘇らせれるとは思って無かったぜ!」
トキオが元パーティーのメンバー達とくっちゃべってた。ってか、自信も無いのにやってたの?
「トキオ? 分かってるんですか? 想いが弱くて呼び戻せ無かったら、もう二度とその人は生き返れ無かったんですよ?」
ルナの言う通りだよ! 重大な事だったんだよ⁉︎ 分かってるの⁉︎
「えっ……? そうだったのかよ……ヤバかったじゃん……」
あっ! 分かって無かったの⁉︎ だからあんなほいほいいけた訳ね⁉︎
「知らなかったんですか⁉︎ あぁ、そういえばそのルール言った時まだトキオ死んでましたね。まぁ……みんな呼び戻せたし良かったですね」
そうだったか! 今回ばかりはこちらに落ち度があるけれども、トキオに謝るのはなんかね……気にして無いっぽいし、良いよね?
「それって、もし失敗してたら……んだよ! 何回もチャレンジ出来ると思ってたじゃねぇかよ! 先言っとけよ‼︎」
やっぱ気にしてたか。落ち着いてね……いっぱい人居たし、誰だって全てを完璧にはこなせないよ……
「結果オーライです。ってか、これからどうするんですか?」
そうそう! 頭切り替えていこう! 結局ルイを倒すってのはどうするの?
「みんな助かったんだ、無理にルイを攻略する必要は無いよ」
えっ? カイトがその言葉を言うの?
「カイト……でも君は、ルイを憎んで……」
そうだよ。そういう話しで揉めたんじゃん。そりゃアヤト君もハテナだよ。
「君にそんな呪いを掛けたかった訳じゃ無いんだ。ただ、もしももう無理なら、君の口から、諦めるって聞きたいんだ」
そういう事か。アヤト君が口籠ると、トキオが続いた。
「そうだよアヤト、これからどうすんだ?」
「そう……か……僕が、決めなきゃいけないのか……」
ってか何でアヤト君が決めなきゃいけない訳? そういうの苦手な子なんだよ。
「君が、どんな結論を選んでも、誰も君を責めたり何かしないよ。まぁ、ただ、奪われた野犬達の命は戻らないけどね」
プレッシャー掛けるんじゃ無いよカイト! 戦う方へ促してるじゃないか!
「俺達は、自分達で色々やってみるぜ。リッカをルイのパーティーから抜けさせないといけねぇしな」
そうか、忘れてたけど、リッカはまだルイのパーティーに所属しているのか。
「ねぇ? そういえば、何でマモル達はトキオのパーティーを抜けられたの?」
んっ? 確かにそうだな! パーティーを抜けるのには条件があるって言ってた! 一つはルイが言っていたからちゃんと覚えてる。パーティー結成の初期メンバーの許可があれば抜けられる。それでユキナとゴロウはルイのパーティーから抜けれたんだ。でも、マモル達にその許可が出たとは思えない。だって、トキオを倒した後は、ずっと近くに居たんだもん。
「お前そんな事も知らねぇのか? パーティーの過半数の奴がパーティーを抜けたいって申請すれば、パーティー離脱が認められんだよ。やたらと人数増やした俺のパーティーは、あっという間に俺一人になってたよ」
そうだったのか! いや、多分ゴッドブックに載ってたんだろうなぁ。みんなちゃんと付いてる精霊から説明受けてるのかな? 完全に私の怠慢だな。
「えっ? 認められるとかなんとか、何の話しをしてるの? 心で願えば神が聞き入れてくれてみたいな?」
そうだねぇ……そういや、パーティー組んだとか何とか、全部口約束だったんだけど?
「はっ? 神? 何言ってんだよ? 初めて仲間が出来た時も、パーティー組みますってなった時も、部屋のパソコンで運営に申請するだろうが?」
なにそれ?
「なにそれ? そんな事した事無いよ?」
「はぁっ? 運営に申請して、正式なパーティー組めましたってメールと規約書みたいなの送られて来ただろ?」
「そんなメール、送られて来た事無いよ?」
「はぁっ⁉︎」
「ぼくもパーティーへの加入の申請は送ったよ? アヤトとザリガニとルナのパーティーに入りましたって」
カイトは送ってたの⁉︎ 何で教えてくれないの?
「その後運営からメール来た?」
「いや、来てない……来ないものだと思ってた……」
「お前ら今、正式にはパーティーでもなんでもねぇぞ?」
「えっ?」
はぁぁぁっ⁉︎ 何それ⁉︎ 私達、正式にパーティー組めて無かったの⁉︎
「メミチ……そんな事もして無かったんですか?」
ミーヤが話し掛けて来た。
「そ、それは……ごめんミーヤ、私、ゴッドブックちゃんと読んで無くて……明日読もうとか、今日時間無いしとか、どんどん先延ばしになって、私の、想像を絶するだらしなさ、ルーズさによって、こんな状況に陥ってしまいました……」
「徳井か⁉︎ まぁそんな深刻な話しじゃ無いですよ?」
「えっ⁉︎ だって、脱税なんて、刑事責任にさえ問われる話しな訳で……」
「それは徳井の話しですから! 可哀想だしイケメンだし面白いんだから、それ以上イジらないで下さい‼︎ メミチは脱税した訳じゃ無いし、刑事責任にも問われません!」
さてはこの子、現世でチュートリアルのファンだったな?
「そうだよね……でも、きっと……これから嫌味ったらしい刑事ばりにミーヤに詰められるんだろうね……」
「何ですかそれ⁉︎ もしこれからみぃがメミチ責めたら、嫌味ったらしい刑事ばり扱いされるやつじゃないですか⁉︎」
「私が……悪いんだもん……」
「何ですかその潤んだ瞳で許しを乞うヤツ⁉︎ 世論味方に付けて、みぃが悪い人みたいになる戦法じゃないですか⁉︎」
「世論? 何の事?」
「あっ、大丈夫です。ってか、みぃ達は正式なパーティーになってますよ?」
「へっ? でもメール送って無い……」
「何故正式にパーティーを組めているのか理屈ははっきりとは分かりませんし、プレイヤー同士に変化は無いのですが、みぃ達には、はっきりと見えているじゃないですか?」
「あっ、そっか……」
「やっと、気が付きましたか?」
「正式にパーティーとかじゃ無くても、心が繋がっていれば! 絆があれば! 私達は仲間なんだって事だよね⁉︎」
「全然違うし‼︎ リンクしなくても姿見えてるでしょ⁉︎ それが仲間って証です‼︎」
あっ、何かナキに説明してもらってたな。パーティーのメンバーはリンクしなくても姿が見えるって。
「正式にパーティー組んでる事になってるの? なんで?」
「知りません。もうどうでも良くなりました」
諦められたし⁉︎ ミーヤに理解力皆無扱い、トキオの様な扱いをされてしまった。