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傍から見守り導く生活  作者: 藤沢凪
第四章 『ルイ攻略戦』
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37  光

 37  光

 

 

 アヤト君とルナとユキナとリッカが、ヨルシゲに乗って洞窟に向かった。私はまた咥えられて連れてってもらえた。ルイスリーには帰ってもらい、ザリガニには野犬達の護衛を頼んだ。マキナさんもいる上に、可能性は低いけれど、ルイスリーが仲間を引き連れて潰しに来る事も考慮しての配置だった。

 

「あっ! 洞窟の中から、光が!」

 

 珍しく大きな声を出したアヤト君の視線の先に、洞窟の入口があった。アヤト君の言う様に、中から微かな光が漏れ出している。

 

 ルナがヨルシゲの背から降りて、駆け寄り、洞窟の中に姿を消した。アヤト君達も続き、洞窟の中へ入ると、少し奥で、膝をついて、やたらと威厳のある石に両手を合わせてお祈りをするルナが居た。

 

「この力を、使う時が来ました。ルナには、思いもよらない感情です。まさか、この力を使う時、私自身が、その者達の蘇生を強く願っているだなんて……」

 

 ……そっか。ルナは元々、クエストをクリアされた後でも、この洞窟に残る筈だったんだもんね。だからこそ、アヤト君達と外に出て良かったと思うんだ。自分の目で世界を見て、自分が心から助けたい人が出来て、その力を使う時、自分の存在意義が見つかったと思うんだよ。ここにいるみんな、ルナが居てくれて、本当に良かったって感謝しているんだよ?

 

「あのー……この洞窟は、ルナさんが居た所ですよね? 何故リッカ達を連れて来たんですか?」

 

 リッカが恐る恐る聞いて来た。あれ? リッカとユキナには説明して無かったっけ?

 

「ルナの力で、死者を蘇生させる為に来たんだよ」

 

「へっ⁉︎」

 

「はっ⁉︎」

 

 リッカとユキナは、めっちゃ驚いてた。

 

「どういう事ですか? 冗談、止めて下さいよ。ただでさえ、お兄ちゃんが死んで心が、言う事聞かないって時に、そんな冗談……酷いですよ……」

 

 リッカは、泣き出してしまった。

 

「ワタシも、リッカの意見に賛成だ。ハラワタが、煮え繰り返りそうな気分だよ」

 

 ちょ、ちょっと! ここで揉めるのは違うでしょ⁉︎

 

「リッカ、ユキナ、二人共——」

 

「アヤト、大丈夫。ルナ、ちゃんとやれます」

 

 ルナの赤い瞳が、より強く光を放った様に感じた。完全に、覚醒しちゃってるパターンだな。

 

「着いて来なさい」

 

 口調も変わったな! 何か、誰も逆らえないオーラみたいなのが見える気がする。

 

 それから、誰も口を開く事も無く。明かりが灯る洞窟の奥へと進んで行った。

 

「あ、あれは⁉︎」

 

 静寂を裂き、アヤト君が唸った。ここは、洞窟の最深部なのだろう。現世で入った事は無いけれども、フジテレビの丸い球体の中の様な部屋になっている。前回来た時は、この手前の通路で戦っていたのだろう。奥は、こんな厳かな造りになっていたのか?

 

 中央には大きく、赤い光を放つ十字架が堂々と置かれていた。その十字架を神々しく見せる周りの光加減も絶妙で、ここの設備の制作にどれほどの時間を神達が掛けたのかが気になってしまった。

 

「うわっ……めっちゃ綺麗……」

 

 ルナが呟いた。

 

「んっ? あんたここにずっと住んでたんでしょ?」

 

 ユキナが無垢な疑問を吹っ掛けた。

 

「明かりが灯るまで、ここ真っ暗だったんで、手探りで何か石あるなぁとか思ってた程度でした。気味悪いんで、ちょっと手前の通路で生活してました」

 

「通路で⁉︎ 食事は⁉︎」

 

「ルナは、食事をしなくても死なないのです」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「でもたまに、洞窟に迷い込んだサソリとかコウモリ食べてみたりはしましたけど」

 

「えっ……そ、そうですか……」

 

 引いちゃったよ! ちょっと前まで世捨て人だったユキナにまで引かれちゃったよ! そりゃそんな生活、可哀想過ぎるよ……

 

「だから、少しだけ光の届く、入口近くの石碑に毎日手を合わせに来てたんだね」

 

「……洞窟の外に出るのは、いけない事だと思っていましたから」

 

 神の作った縛りか。マキナさんも換金所から自ら離れ様としなかったし、最低な洗脳だよ。ブラック企業みたいなもんだよ。ワ○ミとかステ○キけんとかと、やってる事同じだから。神は私とか下の者からごちゃごちゃ言われても、ちゃんと聞いてくれるだけマシかな? いや、怒ってはいるか? 他の子はあんまり意見言わないみたいだし。

 

「何か、ゴメンね。疑っちゃったりしてさ。本当、何か、ゴメンね……」

 

 ユキナ? ルナの事可哀想って思っちゃってない?

 

「リッカも、泣いたりしてすいませんでした。本当、リッカの苦労に比べたら、ルナさんは……何か、すいませんでした……」

 

 二人ともやたらと素直になるんじゃ無いよ! ドラゴンボールで悟空が悟天とトランクスにフュージョン教える時に、時間稼ぐ為にブウの前に現れてスーパーサイヤ人スリーになった悟空を見た後にその凄さに気付いて、今までの怠慢な態度を改める悟天とトランクスみたいになってるんじゃ無いよ!

 

「何を謝っているんですか? 時間が惜しいんで、始めましょう」

 

 あの時の悟空みたいにその変化の理由に気付いて無いわ! 素質あるよ! ルナは主人公の素質があったんだ!

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