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俺の心霊的な日常  作者: なかむらこむぎ
22/23

迎え

夜中にお袋から連絡が入った。

長いこと入院していた祖父(じい)さんが、いよいよ危ないらしい。

必要最低限のものだけを持って、車をとばす。

病院に着いたときには、空が白み始めていた。


病院の正面玄関は閉まっている。こんな時間に来るのは初めてで、どこから入ればよいか迷う。

しばらくうろうろしたあと、夜間出入口を見つけて中に入ると、正面にある待ち合いのソファーに祖父(じい)さんが腰かけていた。


「おお来たか。ご苦労さん」


俺が駆け寄ると、祖父(じい)さんはのんびり立ち上がった。


「どうしたんだ祖父(じい)さん」

「病室が東棟に変わってな。迷うといかんから待っていたんだ」


そう言って祖父(じい)さんは俺を先導しはじめた。

誰もいない廊下を歩き、エレベーターに乗る。

エレベーターはもともと窓がないから昼も夜も関係ないはずなのに、いつもより暗く感じた。


「たぶんもうすぐ逝くだろう。お前が来るまでもって良かった」


一人言のように祖父(じい)さんが呟く。


「そんなこと言うなよ」


俺が思わずそう言えば、祖父(じい)さんは笑った。


「この年なら大往生だ。よう生きたよ」


病室の扉を開くと、家族に囲まれて祖父(じい)さんが寝ていた。

まるで俺を待っていたように、息をひきとった。




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