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9話 どちらでも良いと言うのは、思いの他決めにくい

後は建物を建てれば完成らしい巣作りが現在、中断4日目。

理由は僕が優柔不断だから。


建物も魔力の物質化で作れるらしいのだけど、建物という大きさの為、触媒を使う事になった。

そして使う触媒によって外観がまるっと変わってしまうらしい。

選択肢は石と木。

回りにある岩を使うと、地面も建物も同じように見えて見栄えがしないらしい。

使った触媒を元にした建物が建つとの事なので、母さんと同じ石の家にしようと思ったけど、木の家に住んだ事が無かったので木の家も良いなと思ったのがいけなかった。

結局どっちが良いのか決められなくなり、今に至る。


どちらでも問題無いはずなのに、一度決めるタイミングを逃して以来、決められない。

僕は、何でこんな事でいつまでも悩んでいるのだろう。

いつまでも悩んでいても仕方ない、やはり母さんと同じ石の方が良いのかな。


「思いつめすぎじゃない? 急いで決める必要なんてないのよ」

「姉さん、姉さんの巣の建物は何で出来ているんですか?」

「あたしのところは、木よ」


あああ……聞かなきゃよかったー。

折角、石にしようと決めかけてたのにどうして聞いちゃったのー、僕のばかー。

もう、どうすればいいのさー。


「ちょと、大丈夫? 急にぐったりしちゃったけど」

「お願いがあります。 姉さんの巣を一度見せて頂けませんか?」


木で建てている姉さんの巣を見て参考にしよう。

そうすれば石の良さと木の良さの両方を比べられるはず。


「へっ? あたしのとこ? あのー、そうだ! この前ママと街に行って、ケーキが美味しかったって言ってたじゃない。 あたしの巣よりも、街に行ってケーキでも食べて気分転換しましょ! それが良いわ!」

「ケーキも魅力的ですけど、姉さんの巣が見たいです」

「うっ……ちょっと散らかってて、来るなら片付けなきゃいけないの」


別に散らかってても問題ないのに。

やっぱり、僕の前だと格好良い姉として振舞いたいのかな。


「別にちょっとくらい散らかってても、僕は気にしませんよ。 逆に生活感があった方が参考になりますし」

「なら、一週間時間を頂戴……」

「その……ケーキにしましょうか?」

「……ありがと」



ケーキを食べにリュミルの街へ。

お店へ続く石畳の通路を歩き、綺麗な石造りの街並みを観察。

ここに来たのは正解だったかもしれない、この街並みを見ていたら建物は石造りにしたくなってきた。


美味しいケーキを堪能し、食後のお茶を飲んで一息付いて街並みを観察してると、ふと違和感に気が付く。

街を歩く兵士が多い気がする。


「何か少し物々しい感じがしませんか? そこら中に兵士が居ます」

「あー、ガルシュ王国で勇者の力を覚醒した女の子が居てね」

「勇者ですか!」


ガルシュ王国、人間の僕が死んで竜として生まれ変わった竜の胃袋がある国。

人間だった頃の僕の家族が、多分まだ住んでいる国。

あの国で勇者の力を覚醒した女の子と言ったら、僕の妹のミリーの事だろうか。


「まぁ、まだ噂の枠から出てないんだけど、その力を使って周りの国を併合しようと考えているとかなんとか」

「勇者の力を使って、戦争をすると?」

「そのせいでピリピリしちゃってるから、何か変な事が起きない様にって見回ってるのよ」


どうか噂は噂のまま消え去って欲しい。

勇者の力を人に向けるなんてあってはならない。


「さっ、変な話はここまで。 もうちょっと街を回ってから帰りましょ。」

「そう……ですね。」

「折角だしマーケットの方へ行って、布団と建物の中に飾り付ける物を買っちゃお! あと、ママへのお土産も買わなきゃ」


心に湧き上がったももやもやした感情も、姉さんと一緒に買い物をしている内にどこかへ消えて行った。

忘れちゃいけなかったはずだったのに。



街から帰って暫くの間は、触媒になる石集め。

オリハルコンを混ぜてみたい言ったら、母さんと姉さんから解体がめんどくさくなる、と言われて却下されてしまった。

やはり、あの金属は取扱注意と考えよう。


「さて、このくらいで問題ない。 最後に確認だが、場所はここで良いな?」

「はい、問題無いです」

「なら始めるぞ」


母さんの躰から魔力が放出されると、集めて来た石がグネグネ溶けたかと思うと凄い勢いで建物の形に変わっていく。

凄い、僕が服や靴を作るのと全く次元が違う。

これを木でやったらどうなるのかも見たいな、いつか僕も力を付けた時に挑戦しよう。

あっという間に建物が出来て、中を覗いてみると僕一人で住むには十分な広さがある。


「さて、後は家具だな」

「待ってください、家具は僕が独り立ちした時に自分で作ってみようと思います。 全てを母さんに頼ってしまったら、いざと言う時に何も出来なくなってしまいそうなので」

「そうか」


母さんに見つめられた姉さんが非常に気まずそうな顔をしているが、見なかった事にしよう。

実際は大分前に姉さんに言ってた何もやる事が無いと地獄らしいので、その対策で家具を作ってみようと思ってただけなんだけど、そこは秘密という事で。

これで暫くの間は日向ぼっこと水浴びだけの生活は回避できるはず。


母さんの巣と比べるとまだまだ殺風景だけど、これで巣に必要な物が揃った。

そろそろ、独り立ちかな?

寂しくなったら母さんの巣は近いのでいつでも会いに行けるけど、竜人族として人の中で生活している姉さんとは会いにくくなっちゃいそう。

兎にも角にも、姉さんの生活している場所を今度聞いてみよう。

まさかこんな沢山の方に読んで頂いたり、ブックマークは勿論、評価や感想を頂けるなんて思ってもいませんでした。

有難うございます。


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