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33話 なぜか回って来たバトン(兄)

「俺は、これからどうすればいいと思う? クリス」


何かを悟ったかのような目で、兄さんが僕を見つめて来る。

唐突に、一人の人間の運命を決める権利を与えられてしまった気がする。

こんな時って、いったいどうすれば良いのだろう。

とりあえず、乱れてた襟を整え後ろに振り返り姉さんを見上げる。


「姉さん。 ちょーっと、こちらへ……」

「なあに?」


結界の方まで声が通らない程度に離れた場所に、姉さんを連れて行く。

十分に離れた事を確認し、早速姉さんに質問。


「勇者を連れて帰って来たのは、姉さんですよね」

「勿論!」

「それならなぜ、僕にこれからの事を決めさせようと?」

「だって、生まれ変わる前に酷いことをされていたんでしょ、だったら今が仕返しのチャンスじゃない!」


仕返しって……色々と思うところもあるけど。

だからと言っていきなり、さぁどうぞと言われた所で、こちらにだって心構えと言うものがある。


「いきなり仕返しと言われても……」

「思いつくままにやっちゃえば良いのよ!」


微妙にテンションが上がり始めた姉さんにどう対応して良いものか応えに詰まり、母さんの方へ目を向けると、多分聞こえているのだろうけど我関せずとばかりにこちらに背を向けて日向ぼっこをしている。

今回は、母さんの手助けは期待できなさそうだ。

仕返しをするとしたら、ガルシュのお城の広場にそっと連れて帰ってしまおうか。

先程の二人の話を聞いているとそれが一番の仕返しになりそうな気がする。


「さっ、燃やしても良いし踏みつぶしても良いし、何ならそこの崖から突き落とす?」


論外。

……姉さんの頭の中で、仕返しは殺す事になってしまっているようだ。


「姉さん、確かに僕は生まれ変わる前につらい経験をしました、だからと言って直接的なのはどうかと思うのですが」

「何でよ! 辛かったんでしょ? 苦しかったんでしょ? それに最後は殺されちゃったんだよ! それなのに何でそんな冷静にしていられるのよ!」


まるで自分の事の様に怒ってくれるのは有難い事だけど、このままでは僕が結論を言い出す前に姉さんが先走ってしまいそう。

兎に角、冷静になって貰わなくては。


「戦争の中で勇者の力を使っているのでしたら、僕だって躊躇わないと思います。 でも、あの戦争はもうこれ以上続けられないと思うんですよ」

「うん。 ママとあたしが滅茶苦茶にしちゃったからねっ!!」


尻尾がビッタンッビッタンッしてる。

早く結論を言えと、催促しているんですね。


「それに、先程の話の中で……兄さんは誤った勇者の力の使い方を止める為に自ら命を掛けたと言ってました」

「まぁ、嘘を付いている様には感じられなかったわっ」


姉さんの返答に、頷く。


「でしたら、兄さんの未来は兄さん自身に決めて貰いたいんですよ。 死を望むのでしたらそれでも構いませんし、生きたいと言うならそれでも構いません」

「……本当にそれでいいの? もし生き残ったら力の使い道を誤っちゃうかもしれないわよ?」


一度目を閉じ、深呼吸。

ゆっくりと目を開きながら、自分に言い聞かせる様に姉さんにゆっくりと答える。


「勿論。 もし、生きる事を選んだ先で誤った方向に力を使うようでしたら、その時は僕が絶対に殺します。 どんな手を使ってでも……」

「!!!」


姉さんが驚いたように口をポカンと開けている。

なんか変な事言ったかな、姉さんだって勇者を殺すとか何とか言ってたはずなのに。

よく見ると、こちらに背中を向けて日向ぼっこをしていた母さんまでこちらに首を向けている。


「どうかしました?」

「えっと、その……何て言うか、うん。 流石あたしの妹? みたいな?」

「はい?」

「ううん、何でもない。 じゃ、どっかに捨ててくるわねー」


あああ、姉さんが結局先走ったー

まだ、兄さんの意見を聞いていないのに。


「姉さん、待って。 まだ本人の意見を聞いていません! それに、僕も少し聞きたい事があるので待って!」

「ん? 聞きたい事?」


歩きだした姉さんを制止しつつ、結界まで移動する。

結界の中で待っていてくれた兄さんに向き合う。

コホンと一つ咳払いをして、それらしい素振りをしてから話し始めよう。


「ルインさん、お待たせいたしました。 これからの事なんですが……」

「クリス。 話を遮ってしまってすまないが、ちょっといいか?」

「え? ええ、問題無いですよ」


こっちが意を決して話し始めた途端、いきなり話を遮られた。

何だろう、さっきは話の流れで僕にこれからを聞いたけど、やはり僕らが離れて話し合っている間に心を決めたのだろうか?

それならそれで有難い、と言うよりもそうあって欲しい。


「ここには、君たち以外に誰か居るのか?」

「誰かって? 僕たち三匹だけですよ」

「なら先程のは…… そうか、君も女王の娘と言ってたな。 すまない、話を続けてくれ」


姉さんと言い、さっきから訳の分からない事を。

特に生き死にの要望は無いようなので、結局僕に決めさせるつもりは継続中?

これ以上脱線はしたくないので、さっさと本題を切り出そう。

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