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皆様、ごきげんよう。私はルーシェ・リナ・リスティルですわ。

早いもので、私の体調もだいぶ良くなった。

本当は、もっと早く帰る予定だったけど仕方がない。私もついに王都に帰る日がやってきました。

メイドたちは昨日から大慌てで、荷物を片付けていた。

「皆様、お世話になりましたわ」

私は目の前にいる叔父一家に深々と頭を下げた。

「もう行ってしまうなんて、寂しすぎるよ!! もっと居て!!」

「無理だ」

泣きそうになっている叔父様をお父様が一刀両断した。

「また、おいで。ルーシェ」

「今度は僕たちが遊びに行くね」 

ユアンお兄様やユーリ君は割とあっさりしていた。まあ、男の子なんてこんなもんよね。

「グレンはもっと強くなるんだよ」

「うん」

グレンはユーリ君にかなり鍛えられたようだ。どことなく、しっかりしたような気がする。

「今度はお母様も連れてきなさいな」

エヴァ様は微笑んでそう言った。

「お手紙を書きますわ」

「うん。あ、そんなに頻度多くなくていいよ。書くのが大変だ」

ユアンお兄様は相変わらずマイペースだった。

「はーい。では、また。ごきげんよう」

私は叔父一家に優雅に一礼をして見せた。

リスティル公爵領から出る際は領民総出での見送りとなった。


***


――――数日後。

私達は無事に王都のリスティル公爵邸に帰ってきた。玄関口ではなんと、おばあ様達が出迎えてくれたのだ。

「おばあ様、おじい様も・・・・・・。お出迎えありがとうございます」

私はグレンと共に頭を下げる。次の瞬間にはおじい様に二人そろって抱き上げられた。

「お、おじい様」

「お帰り、ルーシェ、グレン。従兄弟たちとは仲良くできたかな?」

「ええ、とっても。ねえ、グレン?」

「はい、楽しかったです」

なぜだがとっても棒読みである。表情もどことなく頑張っています感が出ている。

「ルーシェ」

私はおばあ様に抱き直された。

「おばあ様」

「ほほほ、アレクの方は相変わらず、おかしな格好をしておったか?」

おばあ様はとても楽しそうな顔をしていた。

「最初だけですよ・・・・・・」

私はあはははと、乾いた笑みを浮かべた。

「色々、大変だったようだな。ケガは良いのか?」

「ええ、まあ。でも、大丈夫でしたわ」

おばあ様が言っているのは、ガルディア帝国とのあれこれや、ゴウエン、ラルムのことだろう。

「そうか」

おばあ様は私の頭を撫でた。

「お前は強いな」

「そうですかね?」

「ああ。だからゴウエンもラルムも許せたのだろう?」

「・・・・・・」

今までの優し気な雰囲気から一変して、恐ろしいほど張り詰めた空気になった。

「どうして許した?」

答えを間違えたら、首が飛ぶ、そんな雰囲気だった。

「・・・・・・だって、使えると思いましたもの」

「使える?」

「ゴウエンはおばあ様の部下だったのでしょう? そして、リスティル公爵領でも高い地位を持っている。それなら、死んでもらうより、この国を守ってもらえる方がずっと役に立つもの。ラルムもそう。使えそうだったの。私のこと主人って言っていましたの。こちら側に付くなら問題ありませんわ」

私がそう言うとおばあ様は今までの恐怖の雰囲気から一変して、とても楽しそうな顔をした。

「ふふふ。ルーシェは本当に面白いな」

「そうですか?」

 面白い要素がどこにあったのか全く分からない。

「そうだとも」

そう言っておばあ様は私の頭を撫でた。










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