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84,85が重複していました。

お知らせくださった皆様、本当にありがとうございます。

「どうやら間に合ったようだね。ルーシェ」

そんな言葉が、どこかから聞こえたと思ったら――――。

ドンッ。

私の目の前に“火の壁”が現れた。その壁は、私とラルムをガルディア皇帝の氷の刃から守るように間に立ちふさがっている。氷を溶かしているのに全く熱くない。

「うそ・・・・・・」

さすがに来るとは思っていなかった。

「お父様・・・・・・」

ぎゅっと背後から抱きしめられた。

「よく頑張ったね、ルーシェ。もう、大丈夫だ」

「・・・・・・うん。でもどうして?」

私はその温かさに、涙がこぼれそうになった。

「ルカに感謝しなさい。ルカがお前の様子がおかしいことに気が付いたからだ」

「ルカ・・・・・・」

私が見上げた先にはルカが立っていた。

「お嬢様・・・・・・」

「ルーシェ、無事か?」

「ラスミア殿下!?」

いつもとは違う、静かな声だった。「どうしてここに、何をしているの」そんな言葉が口から出かかって、霧散した。

その表情のあまりの静かさに・・・・・・。

「あれが、ガルディア皇帝か・・・・・・」

アステリア王国次代国王とガルディア帝国皇帝が初めて相まみえた瞬間だった。

「ああ、君が第一王子か・・・・・・」

「そうだ、アステリア王国第一王子ラスミア・ギル・アステリアだ」

「忌々しいくらいにあの国王に似ているね。私がガルディア帝国皇帝だよ」

「・・・・・・俺の戦公爵を随分と虐めてくれたな。」

ラスミア殿下は、今まででは考えられないくらい、淡々と話していく。しかしながら、先ほどまでの状況とは違う意味で、緊張感にあふれていく。

「虐めてはないよ。ただお姫様にとって、一番すべきことを言っただけ」

「それがガルディア皇帝との婚姻だと? ふざけるなよ」

「ラスミア殿下!?」

(まさかもう知られているなんて)

「別にお姫様は君のものじゃないだろう? 大体、彼女はガルディア帝国皇族の血を引く皇女だよ。こちらがもらいに来ても問題ない」

「ちょっ・・・・・・」

私はとんでもない秘密を暴露されてかなり慌てた。いくら国王陛下がご存知とはいえ、ラスミア殿下が知っているとは限らない。裏切者と言われたらどうしようかと思ったのだ。

しかし、ラスミア殿下からは意外な言葉が出た。

「ルーシェの母君マリアンナ皇女はリスティル公爵家の籍に入った。ルーシェはこの国の人だ」

それをラスミア殿下から聞いたガルディア皇帝はつまらなさそうな顔をした。

「なんだ、知っていたんだ」

「当たり前だ。ルーシェがどこにいたいのか、それはルーシェが決めることだ。ルーシェはお前の手を振り払ったんだ。素直に引け! それにお前、一年前もルーシェにちょっかいを出して、拒絶されているだろうが。それに、妹とその従者をひどい目に合わせたことは忘れないぞ・・・・・・」

そう言うと、ガルディア皇帝はわずかに考えるそぶりを見せた。

「・・・・・・ああ。アイヒ王女のことだね・・・・・・。彼女は使えたよ。おかげでお姫様がどんな力を持つ人なのか理解できたし・・・・・・。よかったねえ、死ななくて。・・・・・・ああ、そうだ。僕が乗っ取った黒い髪の従者君、ヨシュアだっけ? 彼、どうなった? もう殺したかい?」

あまりの言い様に、私はキレそうになった。

(わかっていたけど、反省ゼロだわ。アイヒは何も言わないけど、ずっと悲しそうだし、ずっと従者を選んでない。こいつが二人を引き裂いたのに!!)

「従者君、操られている最中、ずっと頭の中でうるさくてね・・・・・・。本当につぶしてやろうかと思ったよ・・・・・。『アイヒ様、アイヒ様」ってね・・・・・・。特にアイヒ王女を刺した時なんかもう、うるさくて、うるさくて・・・・・・」

「ちょっと!!」

不意にルカとの会話を思い出す。彼は正気じゃなかったとルカは言っていた。今の言葉、自分が乗っ取られていても、意識があるのだとしたら・・・・・・。

(ヨシュアはどんなひどいものを見てしまったの・・・・・・)

正気でいられるわけがない。

「もういい」

「・・・・・・ラスミア殿下」

ラスミア殿下の表情は変わらない。だけど、握りこまれた拳が震えていた。

「お前にまともな返答を求めようとしたのが間違いだった。もう黙れ。早く国に帰れ、くそ野郎」

「悪いけどさあ・・・・・・。振り払われたからと言って、素直に帰れないんだよ、僕は・・・・・・」

ガルディア皇帝はそう言うと、「パチン!」と指を鳴らした。

その瞬間ガルディア皇帝の背後に現れたのは無数の人形たちだった。あの姿、王宮の地下でのことが嫌でも思い出される。

「なんて数なの・・・・・・」

あの人形の性能が高いことは十分知っている。

「どうしたら・・・・・・」

すると。ぽんっと頭を撫でられた。

「お父様?」

「心配するな、ルーシェ」

お父様が不敵に笑った。

「お父様たちは負けないから」

戦いが始まる。


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