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45.

いつも読んでくださりありがとうございます。


「じゃあ、ルールはいつもと同じね。鬼はお兄様と騎士その一よ」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「お二人とも、お返事は!?」

「ああ、わかった」

「承知いたしました」

ラスミア殿下と騎士その一はどこか遠い目をしていた。もう何を言っても無駄と顔に書かれていた。日ごろの苦労が忍ばれる。

突撃御宅訪問! のように騎士寄宿舎を襲撃したアイヒは寝ていた騎士達をたたき起こし、(とにかく容赦なかった。天下の近衛騎士なのに・・・・・・)さらに訓練中だったラスミア殿下を引っ張り出したのだ。

子ども三人、大人五人の計八人。多いのだか少ないのだかわからないが、とにかく人数は集まった。


***


逃げる範囲は離宮全体。建物の中はだめ。鬼は九十秒間数えてからスタートだ。見つかっても逃げてよい。触られたら負け。リーチの短い私達って不利じゃないのこれ!?

「この辺なら隠れられるかしら・・・・・・。もう、走りたくない」

私は建物と茂みの影に滑り込み、座り込んだ。ルカはついてきたがったが、絶対にダメだと言った。だって、二人だと見つかる可能性が高いし、そもそもせっかくなのだから一人で楽しみたいじゃないか。もうそろそろ九十秒経つだろう。ラスミア殿下はともかく、騎士様が怖い。だって気配を読まれそうだし・・・・・・。

「・・・・・・」

ざわざわと木々の揺らめく音がする。

「・・・・・・」

こうやって一人になるのは前世以来かもしれないと思った。今の屋敷にはたくさんの人がいる。ルカはいつも私のそばにいて、メイド達もたくさん控えている。

その時だった。

ザッザッ。

足音が聞こえた。私ははっと、音がした方向に顔を向けた。

その音は立ち止まりながらどんどん近づいてくる。耳を澄ませると、声が聞こえた。

「ここにもいらっしゃらないか。やれやれ、どこに隠れたのか・・・・・・」

そのまま、通り過ぎて行きそうだ・、と思いほっとした。しかし、ここはすでに危険だと思い、立ち上がろうとした時だった。

バキッ。

バキッ? 私は足元を見る。枝が割れている。やばい・・・・・・、気づかないでくれ・・・・。

「ん? 誰かいるのか~?」

(え?)

隣を見ると。黒い猫がいた。

(猫!?)

どこかで見た気がする猫だ。その猫は私をちら見して、そのまま茂みの中に入っていった。

ガサガサガサ。

「おわっ。猫!?」

騎士の声がきこえた。

「お前が出した音か・・・・・・。いったい誰の猫だ・・・・・・?」

どうやら騎士は勘違いしてくれたようだ。そのまま猫をかかえて去ってくれた。

「はあ・・・・・・」

「危なかったですね。ルーシェ様」

すぐ横から声が聞こえた。

「ヨシュア・・・・・・。もしかして今のあなたが?」

「ええ」

「それはありがとう。助かったわ」

「いえいえ。そういえばアイヒ様は見つかってしまったご様子です」

「早くない!?」

「見つけたのがラスミア殿下ですから。アイヒ様の行動は熟知なさっていますし、あの方、単純ですからね」

自分の主とは思えない辛辣な発言だ。

「なるほど・・・・・・」

そしてさすが兄。妹の行動などわかりきっているってか。

「ヨシュアはアイヒと仲がいいけど、あまり怒らせちゃだめよ」

「そんなつもりはないんですが、つい」

ついって・・・・・・。まったく悪びれてない。

「まあ、仕方ないけれど・・・・・・」

そういえば、ヨシュアに誘拐事件のことについて聞きたかったのだ。 私が誘拐事件を解決できるとは到底思えないけど、あんなに夢に出てこられたら気にせずにはいられない。二人きりならばチャンスだ。

「そういえばヨシュア、最近学園で何かありましたの?」

ヨシュアはピクッと反応した。

「アイヒ様ですか?」

「ヨシュアの様子が少しおかしいって」

「そうですか。あの方に気取られるなんて・・・・・・」

心底心外そうな顔をしている。

「アイヒはよくヨシュアのことを見ていますわ。・・・・・・そういえば最近お父様もピリピリしているの」

「元帥が、ですか?」

「そうよ、この前も、『またいなくなったのか!!』って大声で。・・・・・・どなたかいなくなったのかしら」

「・・・・・・」

ヨシュアは完全に黙った。

うーん。少々強引過ぎただろうか。実は国王陛下から黒髪の子どもたちがいなくなったことをこっそり聞いちゃったんですと正直に告げた方がいいのか・・・・・・?

「ねえ、ヨシュ・・・・・・」

「ルーシェ様は何をお知りになりたいのですか?」

「え?」

その瞬間私は寒気がした。以前、お父様にお母様のパイを届けに、王宮を訪れたときに見た瞳と顔だった。ヨシュアであって、ヨシュアでない・・・・・・。何より、空気が、夢の中の人影と、よく似にているような・・・・・・?

「ルーシェ様。あなたが知りたいことはなんですか?」

空気が戻った。いつもの、ヨシュアだった。

「・・・・・・最近黒髪の子どもたちがいなくなったって聞いたの」

「そのことですか。確かに物騒ではありますね。緘口令が敷かれているので、生徒たちもほぼ知りませんが。ルーシェ様がお気になさることではありませんよ」

「・・・・・・気にしているというより、心配しているのよ。ヨシュアだって危ないかもしれないでしょ?」

そういえばバールトン伯爵はさらわれるのはほとんど平民と言っていた。ヨシュアは貴族だからたぶん大丈夫だろうけど・・・・・・。

「・・・・・・ルーシェ様はリスティル公爵家にしては随分とお優しいですね」

「当たり前のことですわ!!」

まるであざけるように言われたので思わず、声を荒げた。

ヨシュアは私の声に驚いた表情を浮かべたあと、淡々と告げた。

「わかりました。私が知っていることをお教えしましょう」



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