表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/97

44

いつも読んでくださりありがとうございます。

「ごきげんよう、ルーシェ。よく眠れまして?」

「おはようアイヒ。よく眠れ・・・・・・」

朝食を一緒に食べましょうということになったので、私はアイヒの部屋に向かった・・・・・・のだが。

私は固まった。テーブルの上には食べきらないほどの豪華な食事。美味しそうなんて思いは一気に吹っ飛んだ。さらにもう一つ問題があった。私はルカが来なかった理由を理解した。あの子、知っていたわね、絶対に。道理でなんか髪飾りとかが豪華な気がしたのよ。

「国王陛下!?」

「やあ、おはよう。ルーシェ姫」

にこり。

「ご、ごきげんよう」

ちょっと待て、なんだって朝っぱらからいらっしゃるんですか。


***


同じ頃、ルーシェが宿泊している館で、ルカはお茶の用意をしていた。

その時だった、玄関に人の気配がしたのだ。これはメイドではないだろう。もちろんお嬢様でもない。ルカは隠し武器に手をかけて玄関に向かう。

扉を開けた。

「・・・・・・ヨシュア殿」

そこに立っていたのはヨシュアだった。

「おはようございます、ルカ殿」

彼はにこやかに笑う。彼とはなんとなくだが世間話をするくらいには親しくなった。

それでも信用まではしていない。

「どうされました?」

「ルーシェ様、夜中に悲鳴をあげていらしたでしょう?」

「・・・・・・」

なぜ知っている。その不信感が伝わったのか、苦笑された。

「そんな顔をしないでください。妙な夢でも見られたのでしょう?」

「まあ・・・・・・」

目覚めたときの顔色は悪くなかった。

「今朝のご様子では問題なさそうでしたね。最近は私のことでいろいろとご心配をかけているようですし、気になっただけですよ」

「ヨシュア殿、最近、学園でいろいろと起きているようですね」

「ええ。でも、そろそろ収まると思いますよ」

「え?」

それはどういうことなのか、とルカが口を開こうとしたとき。

「この国には、国王陛下と、戦公爵がおりますから」

と、ニコリ、と笑った。


***


「さて、夜の肝試しまで時間があるから、今から鬼ごっこでもしましょう。私とルーシェ、ルカ、ヨシュアでしょ。あと、お兄様でしょ。後は暇そうな騎士を捕まえて・・・・・・」

指を折りつつ人数を計算するアイヒ。騎士達も結局巻き込むのか・・・・・・。一応国王陛下を守る民たちの憧れなんだけどね。

「そんな顔しなくてもいいわ。騎士達にとっても、いい鍛錬になるらしいわよ」

「鍛錬?」

「離宮に侵入者が来たときに、どこを探せばいいのかの鍛錬よ」

「ちょっと待って。騎士達は離宮に入れますの?」

「ええ。だってお母様は妊娠中だから、逆に近くで守ってもらわないとでしょ?」

「そういうものなの・・・・・・?」

「そういうものらしいわ。あ、ルカとヨシュアだわ」

前方に二人が見えた。

「ルカ」

「お帰りなさいませ」

私はルカをじとっとにらんだ。

「どうなさいました」

白々しいわね。

「朝食のこと、知っていましたわね」

「何のことでしょう」

ルカは無表情に言いやがった。私のことをいつも甘やかしてくれるのに、こういう時は知らんぷりするわけね。よかろう。

「ルカなんて嫌い」

私はふん、とばかりに顔をそむけた。

「・・・・・・」

ルカは無言だった。え、もしかして全く効いてない? え、この子もしかして私のこと実は嫌いなの? それはそれでショックなんだけど・・・・・・。ちらっとルカを見た。

え。

私はびっくりした。

文字通り、固まっている。

無表情だが、どこか顔は青ざめ、目から生気が失われていた。

私はルカの前で手を振るが反応がない。

「あら、固まっていますわね」

「固まっていますね」

アイヒとヨシュアは完全に傍観している。

「ショックだったのかしら、ルーシェに嫌いって言われて・・・・・・。ヨシュア、あなたもルカみたいに、わたくしのこと想いなさいよ」

「何をおっしゃいますか。私はいつでもアイヒ様のことを考えています」

「嘘おっしゃい」

「ルカ! 嘘よ! 私あなたのこと大好きだから!! もう、元に戻って頂戴!!」

まさかここまでショックを受けるとは・・・・・・。私はルカを思いっきりゆすった。

「本当ですか・・・・・・?」

目に生気が戻った。

「ええ、大好きよ。嫌いなんて嘘!」

「私もお嬢さまのことが大好きです」

なんとかいつものルカに戻ってくれたようだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ