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番外編1

少し休憩です。

私の名前はルカ。今日は私の主について話したいと思う。


私の主の名前はルーシェ・リナ・リスティル。もうじき6歳になられる美しいお嬢様だ。アステリア王国建国当時から王家に仕える王の剣、戦公爵リスティル家長子という生まれながらに重たい肩書を持つ少女でもある。

私がなぜお嬢様に仕えることになったのか・・・・。それは今回は割愛する。



お嬢様を一言でいうなら、素晴らしいの一言に尽きる。

まず、わがままを一切言わない。


金なら有り余るほどあり、贅沢を尽くそうと思えばいくらでも尽くせる財力を持つのがリスティル公爵家である。蝶よ花よと育てられ、新しいドレスがほしい、髪飾りが、靴が・・・と望めばいくらだって手に入る。お嬢様の年頃ならばおしゃれに興味が出て、わがままになってもおかしくない。しかしお嬢様は自分から何かがほしいと言ったことがない。ドレスの採寸にしても、仕立て屋がこれが流行りだ、なんだと言っても特に目を輝かせることもない。髪飾りを見せても同じだ。

「ルカ。これは私に必要なもの?」

そう言って私に尋ねてくる。そのたびに私は質はよいものです。お嬢様がお買いになりますと、他の貴族たちからの評判が上がります。と答える。




そしてお嬢様は時々庶民的なことをおっしゃる。

「これ、一着いくらするのかしら」

と言われたとき私には激震が走った。そんなことを気にするとは・・・・・・。はっきり言ってリスティル公爵家の財力はとんでもない。リスティルの領土は肥沃な場所にあり穀物生産量はこの国で一番高い。その上、品種改良によって害虫がつきにくい作物を作り、その特許権だけでも一生遊んでいけるに違いない。また、大きな港町も持っているため貿易の利益もあるのだ。


余談だが、ここまでくると反感を買いそうなものだが、そのお金を使い、領土内のすべての町で、町の区画整理、下水整理、診療所、平民学校、孤児院などの公共設備が整えられているので文句を言われないし、誰も言えない。犯罪率は一番低い領地で、今も人口は増え続けている。


「むしろお嬢様の背が伸びたので必要ですよ・・」

だから気にする必要はない。むしろ持っている服や、髪飾りも少なすぎるくらいだと思う。あなたの父君も祖父もモノを与えたくていつもうずうずしていますよ。

「そう・・・・」

「お嬢様がかわいらしくなれば旦那様も喜ばれます。」

それでもお嬢様の顔は晴れない。



そんなお嬢様が唯一の贅沢をするのがお菓子だ。


今も作っている。


ケーキがお好きらしく、とにかくよく食べる。かわいらしいのだが、あまり食べ過ぎてもよろしくないので止めに入るのだが、その時の顔が何とも悲しそうで見ているこちらが申し訳なくなってくる。特に私が作ったケーキは喜んでくれる。私は料理長に基本を学び、町の高級ケーキ店に弟子入りして、ケーキつくりを学んだ。お嬢様の為ならばこれくらいへっちゃらである。


そして大変おやさしい。

貴族の令嬢ともなれば蝶よ、花よと育てられてわがままで高慢になることが多い。リスティル家の方々の育て方がよいと言えばよいのだろうが、それでもそれ以上に大変お優しいと思う。


こんなことがあった。このリスティル邸には2種類のメイドがいる。普通メイドと戦闘メイドだ。おそらく新入りのまだメイドになって長くない普通メイドの少女がお嬢様にお茶を持ってきたのだ。その時、緊張していたのか、つまずいて紅茶を落としたのだ。しかもそれはお嬢様のドレスにかかるのだ。私はちょうど離れたところでケーキを用意していたのでかばえなかった。

メイドは自分のやったことに顔を真っ青にして泣き出した。するとお嬢様はドレスが汚れたことなど全く気にすることもなく、メイドの前にやってきて

「大丈夫よ。そんなに泣かないで」

と、メイドの頭を撫でたのだ。

「で、でも・・・」

「少し汚れただけ。洗ったらいいのよ。気にしないで。あなたにけがはない?」

普通の貴族の家ならお嬢様が癇癪を起して、折檻されて家から追い出されるだろう。しかしお嬢様はそんなことはなさらなかった。むしろ相手を心配しているのだ。後で執事長にも、あの子初めてでドキドキしてたのよ、おこらないでね、と言っていたくらいだ。

そのメイドは一生ついていきますと泣いていた。


ちなみに戦闘派メイド達からもお嬢様は人気だ。理由としては鍛えがいがありそう、と言うことだが、あなた方がお嬢様を鍛えることはありません。そもそもお嬢様は戦闘メイドがいることを知りません。



そして私は今日もケーキを作る。










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