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21.

いつも読んでくださりありがとうございます。

黒い髪の少年はヨシュアと名乗った。目鼻立ちの整ったどこか品のある顔立ちの美少年だ。

ただ、顔に反してかなり口が悪そうだが。

「先ほどは我が主人が失礼いたしました」

直角で謝られた。美しい・・・・・・、ではなくて

「え!? あ、いや。顔を上げてくださいな」

いや、あなたが謝ることではないよ。そこまで失礼されてないから。頼むから顔を上げてくれ。

「ちょっとヨシュア、失礼って何ですの」

アイヒはかわいらしく口をとがらせた。

「リスティル家長子様に本来とは異なる姿で会いに行くなど失礼に決まっています。あれほど言ったのに」

「いいじゃない!」

2人の口喧嘩が始まった。私は周りのメイドたちを見たが平然としている、というかやれやれという顔だ。つまりはいつもこんな感じなのだろう。アイヒとヨシュアは口げんかをするほど仲がいいようだ。

ルカは私のやることに基本的に口は出してこないので、新鮮な光景である。しかし・・・・・・。

「ふふふ・・・・・・」

思わず笑ってしまった。すると二人も

「「あなたのせいで笑われたわ(笑われましたよ)」」

と見事に重なった。

「仲がよいのですね。お二方とも」

するとこちらを向いたアイヒが

「どこがですの。生意気なのですわ。私のことを主人とは思っていませんもの。」

と言うと、

「思っていますよ」

完全なる棒読みだ。

でもその目はアイヒを大事に思っていることがわかる温かい目をしている。

「ただ、もう少しおしとやかでいてくれればと思います」

「なんですって!?」

お姫様と従者がケンカする姿は結構かわいらしい。

なんにせよ微笑ましい限りだ。

「しかし、アイヒ様の変装を見破ったことには本当に驚きました」

ヨシュアがこちらを向いてほほ笑んだ。

「・・・・・・ちょこっとだけ違和感がありましたの」

どうやってと言われると困る。私もなんとなくだったし。でも、あの時、自分の体は何かが変だった。まるで大切なものを取られたように、私は切れたのだ。

わけがわからん・・・・・・。

「あの剣捌きもお見事でした。私も護身術を習っているのですがあのような剣捌きはできそうもありません」

いや、そんなこと言わないで。まだまだ、強くはないから。調子に乗っちゃうよ。

「ちょっと、ヨシュア。自分のお話ばっかりしないでちょうだい」

「しておりません。ルーシェ様をほめているだけです」

アイヒがむくれている。

「まあまあ、落ち着かれてください。アイヒ」

そして彼女が喜びそうなことを言った。

「アイヒの変装はお見事でしたわ。私も最初は本当に気づきませんでした」

確かにあれは見事だ。顔はそっくりとはいえ、雰囲気まで合わせてきたのだから。するとかなりきらきらした目をされた。

「でしょう!! 今までばれたことはないのよ。お父様だって少し怪しむくらいだもの」

それって父としてどうなのだろう。とは言わないでおく。いや、陛下のことだから気づかないふりをしているのでは・・・・・・?でも、ほんわかしているしな。

その後アイヒ王女とはさまざまなお話をした。話す限り、ドレスや衣装の話やら、お菓子の話など、カツラと変装の話を抜いたら子供らしい? 話だ。

「そうだ、せっかくだからお母様に会ってみない?」

「お母様・・・・・・、王妃様!!!?」

あまりにもあっさり言うものだから最初は誰のことを言っているのかわからなかった。

「い、いや・・・・・・。そんなに気軽に会える人ではないでしょう」

だって王妃様でしょう? そんなすぐ会えるような立場ではないは・・・・・・ず。と言うか、偉い人には会いたくない。緊張するもの。

「大丈夫よ。今は部屋にいらっしゃるはずよ。ねえ、ヨシュア」

「そうですね。今なら問題ないと思います」

「それにお母様もルーシェにはお会いしたがっていたのよ」

いや、私そんなに目立つことしたかしら。すると顔に出ていたのか。

「だって、あのお兄様に説教した強者でしょう。メイドたちも一目置いているのよ?」

おい、なんであのときのことがそんなに広まってんだよ。陛下しかいなかったじゃんか・・・・・・。

「な、なんだってそんなに・・・・・・」

広まっていますの・・・・・・?

「ふふふ・・・・・・。王宮にはいろいろなところに目があるのよ。ご婦人たちのネットワークは侮れないわよ」

と、アイヒは笑った。何それ怖い。魔窟かよ。

アイヒ王女はかわいらしく立ち上がり、行きますわよと手を引っ張ってきた。

「う、うん」

王妃様に関して私はほとんど知らない。ただ現王の唯一のお妃様で、王妃。現時点で子供たくさん。確か侯爵の家柄だったはず。

「ほんとにいいの? 何も持ってないわ」

お菓子はさっきアイヒにあげたのだ。訪問の知らせもせずにいいのだろうか。こんなところで 無礼者! とか言って切り捨てられるのはいやだ。

「いいのよ。そんなことを気にする人ではないわ・・・・・・。あ、隠れてルーシェ!」

突然アイヒに引っ張られて近くの部屋に連れ込まれた。敵襲か? と思ったが何も感じない。

「ど、どうし・・・・・・」

「静かに!」

アイヒ王女の顔は今まで見たことないほど険しいものだった。




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