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脱出

書き溜め分をあっという間に消化しきってしまった…

これ以降は3~4日に1回ペースになります。リアル次第では遅くなったりするかもしれません…


追記:1話分飛ばして投稿してるやんけ!!!!申し訳ない…こっちが本当の話です次回から3~4日に1回ペースになります。ルイくんやファロンちゃんどうなったか完全に飛ばしてるし…

 男達からの魔法を無傷で耐え切ることができた俺はすぐさま【ホーリーレイⅡ】で攻撃した結果、上半身を骨だけを残して消失してしまっていた。

 

 あ、焦った…【ヴァルキュリアの聖鎧(せいがい)】がしっかりと働いてくれたおかげで無傷だったけど、これでもし装備していなかったらどうなっていたことか…


 そう、男達渾身の魔法を無傷で耐えられたのは、俺が一番愛用している防具の効果のおかげだった。

 戦乙女シリーズ一つで、レア度も最高等級の幻想級(ファンタズム)防具の一つだ。ちなみにこの巨大なランスも【ヴァルキュリアの聖槍】と呼ばれる同じく幻想級(ファンタズム)武器だ。これを手に入れるのは本当に苦労したな…

 ともかく、大学生ゆえの膨大な余暇時間を費やしたのは無駄ではなかったんだな!!


「しかし…ウッ…み、みない方がいいな。さ、さて……」


 男達の予想以上の強さに俺は思わず中位級魔法【ホーリーレイ】の強化版であり、上位級魔法に分類される【ホーリーレイⅡ】を使用した結果、男達を殺してしまった事実に逃げるように思考を無理矢理切り替えて、なにやらガタガタと震えている豚に目を向ける。

 

「そ、そなた…何者でおじゃる…()()()の上級戦士2人をこ、殺すなんて…!」

「……」

「ヒ、ヒィッ!!こっちにくるでない!そ、そうだ!そなた!麻呂の正室に迎えてやろう!麻呂はジャコモ家の当主!先程は奴隷にするつもりだったが、正室ならば何不自由なく暮らせるでおじゃる!更に麻呂のような男に最も愛され、抱かれ…カッ…」


 恐怖に失禁しながらも、その気色悪い視線と気色悪い思考をし続けるという、ある意味強靭な精神を持つ豚の声をそれ以上聞きたくなかった俺は【ハイ・パラライズ】で黙らせてから、目を閉じて大きく深呼吸する。

 

「すぅ…はぁ…ふぅッ!今は考えてる場合じゃない。とにかくルイ君を探さなきゃ…

 そう、呟きつつ俺は舞台裏と思わしき、奥に向かうと複数の扉が現れた。そして、驚いたことにその扉内部全てから気配を感じる。

 

「まさか…ッ!」


 俺は慌てて最初に目に入った扉を蹴破るとそこには…

 

「ヒッ!?ゆ、許して!もう…やめて…これ以上は…!」

「……」

「お願い…家に返して…」


 はいった先に見えた光景。それは、複数の女性が固まってガタガタと震えながら、様々な反応を返す姿で、女性全員には何か首輪のような物がついていた。

 

 これは、酷いな…ここに閉じ込められていたのだろうか?中には全く反応を返さない女性もいる…

 

「あ、安心してください、ここの家主はもう無力化しました。…貴女達は、ジャコモに誘拐された人達ですよね?まもなく衛兵が駆けつけてくるので、安全はその衛兵が確保してくれると思います。」

「あ…あぁ…」

「誰…?」

「私は…とある人が同じく誘拐されたので、取り戻しに来ました。…貴女達を衛兵に渡す間の安全は保証しますが、この地下室からは出ないでくださいね」

「わ、私達は…助かったの?」

「そうですね。ですが、屋敷内には残党がいるかもしれないので、まだ安心はしないでください」


 なんていう胸糞空間だ…でも今は衛兵がこの地下室に突撃してくる前にルイ君の無事を確かめなきゃな…。


 今見ているミニMAPは目標を数m単位での位置までは、表示されてくれないので、次々に扉を開けて、内部に居た女性達に同じ説明をしていく。中には耳がとがった女性も居たが、間違いなく妖精族(エルフ)の子達だろう。

 エルフの国がどこにあるかは知らないが、人通りが非常に多い帝都でも見たことがないので、相当遠いのかもしれないな。

 

 そんな事を考えながら、最後の扉に手をかけ、あけるとようやく、探していた人物を見つけることができた。

 

「ル、ルイには手を出さないで!…えっ、あれ…?」

「居た!ファロンちゃんですね?無事ですか!?」

「な、なんでお姉さんが…?」

「説明は後です!どこか怪我はしていませんか?」

「は、はい…怪我はどこも…ルイもそこで寝ています。」

「よかった!ルイ君は…泣き疲れですか?」

「すごく怯えていて…ずっと泣いていたから大変…でッ…うっ、うぅ…、でも私がしっかりしないとルイはもっと怯えるから…うぅ…」

「よく頑張りましたね…こんなに小さいにもかかわらず…ファロンちゃんは本当に強い子です!だから…もう泣いてもいいんですよ?」

「でも、私は…お姉ちゃんだから……ぐすっ…う、うわああああん!!」


 それでも我慢をしつづけるファロンちゃんを抱きしめて声を優しくかけると、そこまでが限界だったのだろう。堰を切ったように涙が流れ出し、彼女の嗚咽が地下室内に響き渡る。

 その端整な顔を、ぐしゃぐしゃに歪ませて泣くこと数分。ようやく落ち着いてきたのか、顔を真っ赤に染めて今度は謝り始めた。

 

「ご、ごめんなさい!お姉さんの服を汚しちゃって…」

「気にしなくていいんですよ。…もう落ち着きましたね?」

「は、はい…」

「ルイ君は…まだ起きそうにありませんね。」

「あっ!す、すぐに起こします!」

「いえ、そのまま寝かせておいてください。それが一番不安を感じさせないでしょうし、もうじき衛兵も来ますからね。…さて、それじゃ私はこれで退散するとします!」

「えっ?ど、どうして?」

「どうしても何も、屋敷を襲撃した張本人ですから、衛兵が来るとかなり厄介なんですよ。」

「衛兵さんと一緒に来たんじゃないんですか!?」

「違いますよ、シスターさんにお願いされてルイ君とファロンちゃんを探しに着たんです。まさか、こんなところに居るとは思いませんでしたが…無事見つかったので結果オーライでしょう!」

「そ、そうだったんだ…あっ!お姉さんの名前は!」

「そういえばまだ言ってませんでしたね。イーリスと言います。」

「イーリス…さん。ぜ、絶対に忘れない!イーリスさんのこと絶対忘れないから!また…会えるかな?」

「えぇ、生きている限り必ずどこかでまた会う機会がありますよ!……上の屋敷がうるさくなってきましたね、ようやくお出ましのようです。私はもう逃げますが、見つけやすいように地下室への道もあけたままですし、時間もかからずに来ると思います。それでは!」

「つ、次あったときに!」

「はい?」


 地下室内部に入ってきて封鎖される前に逃げようと踵を返したところで、ファロンちゃんから呼び止められたので、その場で振り返る。


「…次あったときに、イーリスお姉ちゃんって呼んでもいい…ですか?」

「ふふふっ、勿論です!」

 

 そう約束を交わして、地下室を駆け上がり、地上に脱出、そのまま目の前の窓を割って逃げようとした瞬間…衛兵が出入り口からなだれ込んできた。

 

「…!ヤベッ!」


 俺は慌てて、ローブとフードを深く羽織り、顔を隠したが、バッチリ目と目が合って顔を見られた後だったので、あまり意味はないかもしれない…

 

「ッ…!貴様も()()組織の一員か!?」

「………」


 なにやら、衛兵さんは勘違いをしているようだが、フードで慌てて顔を隠すような人間が隠し部屋らしきとこから現れたんだから、無理もないか。

 それよりも、流石に衛兵さんに攻撃をするのはマズいな…かといって、やすやすとこの包囲網を突破できるとも思えないし…どうするか…?

 

「答えろ!その地下室は…奴隷のオークション会場だな!?」


 奴隷…?そうか、あの地下室はそういうことか!そしてあの女性は商品という訳か。…まぁ奴隷は今は置いといて、とにかく現状の打破だ。

 

「答える気がないのなら…捕縛させてもらう!」


 さて、どうしたものか…ジリジリとこちらの間合いをつめてくる衛兵達。別に地下室を守る気もないし、そもそも俺はルイくんとファロンちゃんを助けに来ただけで、一応正当防衛という主張をしてもいいのだが、信じてもらえるとは到底思えないな。

 どうにしかして、抜ける方法は……そうか、これだ!

 

「かかれぇ!」


 その怒声と共に飛び掛ってくるのと、俺がすぐ横の壁に向かって突進したのは同時だった。

 

「なッ!?…ッ!しまった!!」


 まだ仕舞っていなかったランスを構えて壁に突撃すると、何の抵抗もなく壁は崩れ去り、隣の部屋に突撃する。

 思ったとおりその隣の部屋は誰も居なかったが、念のため更に隣の部屋に突撃してから、部屋を出て廊下に出る。当然衛兵達は総出でこちらに向かってきていたが、廊下に出てしまえばもうこちらの勝ちだ。

 

「待てッ!!!」


 そんな言葉に従うわけもなく、窓をぶち破ってからランスを仕舞い、ジャコモ邸の庭に出ると、そこにも多くの衛兵が居た。

 突如窓をぶち破って出てきた存在に驚愕の表情を向けてくるが、その奥の門扉付近の男性が何やら掛け声をかけると、一斉にこちらにむかってきた。

 

 俺は包囲の薄い隣の屋敷を隔てる塀に逃げるべく、掴みかかってくる衛兵をかわしてから塀を飛び越えて、屋敷の屋根に飛び上がり、屋根から屋根伝いに貴族街を離れて、衛兵の包囲網から逃れるのだった。

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