永遠の約束Ⅲ
使い魔召喚の授業が終わるとソフィアがコトに詰め寄ってきた。
「コトさん…さっきのはなんですか…」
ーなぜソフィアが敬語…しかもさん付け‼-
その場にいた誰もが思った。それもそのはずだ、昨日編入してきたコトに対し始めから親しく話、呼び捨てまでしていたあのソフィアが…
「…ソフィア。なんでさん付け、なんで敬語なの?」
「だって…そうしないとさっきの龍から咆哮が飛んでくるかと思って…」
「飛ばないよ‼でもよかった~。てっきり私はソフィアが何処かで頭でも打ったのかとお……ちょっとだけ思ってた。」
何故コトが思ってたと言いかけたのを止めてちょっとだけを付けたのか言うまでもないだろう。
「…で、さっきの龍はいったい…」
「私にもまだ何が何だかわかってないんだ。だから帰ったら話をするってさっき約束したんだ。」
「そう……なら私の家に来なさい。私もあの龍と話がしてみたいし。それに、コトをお父様に紹介するって昨日お父様と約束してしまったしね。」
「それじゃ、お言葉に甘えて…」
コトとソフィアは放課後の約束をすると次の授業のある武闘場に向かった。
武闘場で行われる授業は大きく二つ。一つは武器・魔法を使用しての模擬戦。そしてもう一つは、今回行われる防御魔法を使用しての対魔術だ。
防御魔法は自身の周りを球体で囲んだり、壁を作ることができる(壁の有効範囲は使用者の魔力に比例する)。
何人かの生徒が終わると対魔術学担当のユーナ・アラーチに呼ばれてコトとある男子生徒が大理石で作られた舞台に立った。
余談だが、対魔術学担当のユーナ・アラーチは戦闘学担当のカレル・アラーチの妹らしいのだ。
ー閑話休題ー
対魔術学は一人が防御魔法を使用しもう一人が対魔術用の魔法を纏いお互いの魔力を図るものだ。お互いにそう魔力差がない限り簡単に防御魔法が破れる事はないのだ。
今回は、男子生徒が防御側でコトが攻撃側になった。普通ここで攻撃側は魔法を纏うのだが、コトは自身の師匠のせいで無意識に魔力を纏ってしまったのだ。
これは、対魔術用魔法とは違い魔法を外側だけに纏うのではなく、魔力を体の内側と外側に纏うのだ…この技は本来こう呼ばれる『魔闘術』と。
コトはまだ未熟ではあるが魔闘術が使えるのだ。そして、コト自身が魔闘術に気づいた時にはすでに男子生徒の目の前にいた。
-しまった‼-
コトは間一髪のところで地面を蹴り後ろへと身を翻した。だがどうやら近すぎたようで翻したときに片足がかすってしまった様だ。ついでに踏み込んだときに地面も少し粉砕したらしい。
片足がかすった男子生徒の防御魔法は粉砕されていた。
-あぁ、やっちゃった…師匠のバカ!-
コトは心の中で自身の師匠に文句を言ったのだ。
「そ…そこまで‼」
少し遅れて、というか少し戸惑っていて状況が理解できてなく合図が遅れたようだ。
コトの失敗で今日の対魔術学は中止となった。ちなみにコトの事はユーナが全力でフォローしてくれてなんとか他の生徒に追及されるのはまのがれた。