天才Ⅱ
次の日、コトは白を基調とした制服と赤のチェック柄のスカート、スカートの下にスパッツを穿いて学園指定の鞄を片手に教会をでた。
ミルフィーユ魔法学園は中央区東部に位置し大魔導戦争時代には軍の軍事基地兼防衛要塞として使われていたため敷地内部はとてつもなく広い。
学園では男子生徒、女子生徒共にリボンと決められていて初等部生は黄色、中等部生は青色、高等部生は赤色と定められている。
それぞれの国の学園では一年に一度学年の初めに魔力測定があるのだ。この結果を利用してクラス分けを行う。そのためコトは中等部一年生の列に並んだ。
「ねぇねぇ、あなた編入生よね?」
一人の女子生徒の一言で周りがざわつきだした。そこに一人の女子生徒がやってきた。
「コト、お久しぶりね…」
女子生徒はミルフィーユ人特有の茶髪に茶眼をしていた。親しく話しかけられたコトだがその子に全く見覚えがなかったのだ。
「えっと…」
「その顔は、私のこと覚えてないのね。」
「ごめんなさい…」
少女は呆れた顔をした。
「まぁ覚えてないのは無理ないかもね…では改めて、私はソフィア・ソーントン…よろしくね。」
ソフィアは名乗りながら手を差し伸べてきた、コトは差し出された手を握り返して「よろしく」と言った。
×××××
ソフィアとコトが出会ったのは王立図書館、コト、ソフィア当時六歳。
ソフィアもコトと同じく読書家でこの日一般最終階層と呼ばれる四階にやってきた。特に人気の少ない朝早く、ソフィアは奥のテーブルで座っている人影を見て最初「出た‼」と思ったのだ。
そんなこんなで色々とあり二人は仲好くなったのだが次第にソフィアは王立図書館に来なくなりコトはそのあたりの記憶が曖昧になっていたのだ…
詳しいことは後々語るとして…
-閑話休題―
コトがソフィアのことを思い出そうとしていると、ミルフィーユ魔法学園教師の一人リリー・ラドクリフに呼ばれた。
リリーは鮮やかな金髪を肩の位置で切りそろえており澄んだ蒼眼をしている。彼女は魔法学担当で性格は厳しくも優しい一面を持っている女性である。
コトがリリーに指示された扉に入ると奥には黒髪に黒眼の男性が座っていた。
「やぁやぁ、来ましたね天才くん」
この穏やかな男性はミルフィーユ魔法学園養護教諭のラザール・ケクランである。彼は治癒魔法に特化しており八年前にこのミルフィーユ魔法学園医学科を首席で卒業している。
彼の言葉に対しコトは「おはようございます」と返した。
「さて、そこに座ってくださいね。コトさんは魔力測定をするのは初めてですよね。」
コトは指さされた椅子に腰かけながら「はい」と答えた。
「それは、結果が楽しみですね。早速測定してみましょうか。」