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コトの年代記  作者: 綿雪 ミル
六幕
29/36

炎龍Ⅱ

 王都から数十キロ離れた草原にコトは転移をしてきた。


 「あれが、先輩の両親を殺した炎龍。」


 コトの朱色の左眼が見据える先には全身を真紅の鱗に覆われ強靭な牙と爪を持ち背中に生える巨大な翼で羽ばたきながら王都に近づいてくる炎龍の姿があった。


 -母さんがくれた知識は膨大でまだ三割程度しか読み解けてないけども……やるしかない!!-


 「今ある大切なものを守るための!」


 コトは全身に身体強化をほどこしてから投影魔法とうえいまほうを使い空中に数十本の剣を造り出した。 コトが頭上に掲げた手を振り下ろすと中に浮いていた剣は炎龍目掛けて飛び出した!


 投影魔法で造り出された数十本の剣はその内の数本が炎龍へと突き刺さり残りは炎龍の攻撃や鱗に弾かれてしまった。 だが、コトは後先を考えずに行動するような子ではない、既に身体強化を施していたコトは風魔法を使用して炎龍の頭上へとやってきてい居た。


 「くらいなさい! やぁぁぁぁ!!」


 コトは風魔法を解き掛け声と共に急降下のかかと落としを喰らわせた。 身体強化+魔闘術の踵落としは見事に炎龍の左肩に命中し致命傷までは行かずとも大きなダメージを与えた。

 だが、炎龍はそんなことでは倒れはしない……まだ空中にいるコト目掛けて巨大な右腕を振りかざした!


 一瞬判断が遅れたコトはその右腕を躱せないと思っていたのだが、コトの目の前で炎龍の右腕は切り裂かれ炎龍は痛みのあまり巨大な咆哮をあげた。


 「コトちゃん!!」


 コトが振り向くとそこには右手に剣を握ったナターシャが焦った顔つきで立っていた。


 「え!? 先輩なんでここに!?」


 「あなたを追いかけて来たんです! まったく一人でこんな危険なことして!」


 「先輩……お願いです、王都に帰ってください……私は大切な人を失いたくないんです!」


 コトにとって助けに来てくれたナターシャの気持ちはとても嬉しいことだった。 だが、コトは一人で戦うと決めたのだ……誰も失いたくはないから一人で戦うと……


 コトが俯いているとナターシャがコトに近づいて少し力の籠もったげんこつをコトの頭に叩き込んだ。


 「いたいッ!」


 コトのどこか抜けたような声が聞こえた……コトが顔を上げるとナターシャは怒っているのか悲しんでいるのか曖昧な表情をしていた。


 「私がなんでここに来たか分かる? それは、あなたが大切だからよ! 同じ両親の居ない孤独を知っていて、周り全てが家族だと同じように思えて、生徒会で一緒で……辛さなんて吹っ飛んでしまうような笑顔をしてくれるあなたが大切だからよ!! 私は、コトちゃんを守るためでも況してや守られにここに来たわけじゃない! 炎龍を一緒に倒して二人とも無事に家に帰るために来たの!!」


 コトはナターシャの言葉を聞いて泣きそうな顔を見せまいと俯いた。


 「先輩はお姉ちゃんみたいです……今も学園でも私が辛い時に何も言わなくてもいつも助けてくれます。 ありがとうございます! おかげで目が覚めました!!」


 「べつにお姉ちゃんって呼んでくれてもいいのよ。」


 「はい! 行きますよお姉ちゃん!」


 「ほんとに呼ばれると少し恥ずかしいわね……」


 コトは万弁の笑みをナターシャに見せるとすぐさま炎龍に向き直り魔力を纏った。 それと同時にナターシャは剣を構えた。


 「私の剣技は腕くらいなら斬り落とせるけど体を真っ二つっていうわけにはいかないわ。 だから、コト……止めはあなたが刺しなさい!!」


 「了解お姉ちゃん!!」


 コトは大地を蹴り炎龍目掛けて飛び出した!


 「〝抗うものをその母なる力で貫け”《大地の剣アース・グラディウス》!!」


 コトが詠唱すると炎龍の足元に茶色の魔方陣が施されそこから巨大な大地の剣が飛び出した! 剣を間一髪で避けた炎龍は咆哮ブレスの体制をとった。 それを下に居たナターシャは見逃さずに自身が右手に握る剣に風魔法を載せ炎龍目掛けて斬り上げた!


 斬撃は炎龍の右翼を斬り裂いた。 炎龍は片方の翼を斬られたことで飛ぶことができなくなり地上に向けて落下した。

 片方の翼を起用に使い着地に成功した炎龍はナターシャを牙で噛み殺そうとした!


 「気高き龍種が怒りに我を忘れてしまうなんて……そのせいで周りが見えていませんよ。」


 ナターシャまであと少しという所で炎龍は横からコトに蹴り飛ばされた!

 炎龍は直ぐに体制を立て直すとブレスの構えをとった。 口元には今までのブレスとは違い真紅の魔方陣が形成されていた。


 「お姉ちゃん……あれはまずいよ!」


 「え?」


 「あれは天災級魔法と同等の力を持ってるからここから王都の半分までは焼け野原になります!」


 天災級魔法と聞いてナターシャの顔は青ざめた。


 「一応聞くけど止める方法は……?」


 「私が雷魔法の天災級をぶち込むことです……ただ、魔力の心配はないんですが、魔法制御コントロールが……怪しいです。」


 「それしかないならそれで行こう! コトが気を失ったら私が起こすから!!」


 「わかりました……一応最大の防御魔法を掛けておいてください!!」


 コトは右眼の眼帯を取り外し目を閉じ集中し始めた。

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