母Ⅵ
コトは母と巡り合えた……二度と会えないかもしれないと思っていた母に、そして今その母から全てが告げられようとしている。
「私の名前はアイリス、お腹を痛めてあなたを産んだ正真正銘のあなたの……コトの母よ。すべてを話す前にコト……あなたと私、そしてあなたの父親について話すわね。」
-アイリスの説明によるとこうだそうだ……アイリスは白夜の一族と呼ばれている一族の長の娘であった。 反対にコトの父ルインは極夜の一族の長の息子だったそうだ。-
「白夜と極夜は昔のいざこざで仲が悪かったの、それを元の状態に戻そうとしたのが私とルインだった……初めはどうしていいのか分からずにあれこれと試したわ。 でも、どれも失敗で私たちは友人のマーリンの父に助言を貰いに行ったの、彼女の父は極夜の生まれでありながら白夜と極夜の仲を戻す方法を考えていた……私たちと同じようにね。 でも、彼の作戦もうまくは行かず気づけば二年が過ぎていて私もルインもマーリンも19歳になっていたの……そしてある日あなたがお腹の中にいることがわかったの。 私とルインは咄嗟にあなたが解決の鍵だと気づいたわ……極夜と白夜その両方の血を受け継いだあなたが生まれれば何かが変わると……結果は大成功だったコト……あなたという存在が極夜と白夜の運命を変えたの。」
母の話にコトは驚きを隠せなかった……極夜と白夜の一族が存在したのは百年以上前の話だ。
「今、゛自分はこの時代の人間ではないのか……それほどにまで歳をとっているのか。゛そう考えたでしょ?」
図星だった……たしかにコトはそう考えると同時に恐怖と不安に襲われていたのだ。 自分は本来この時代に生きているはずがなくて過去の出来事がなければ今まで出会ってきた人々とは出会うことがなくて……みんな楽しく笑って生活しているのにそこに自分の姿はない……そう考えると恐怖と不安に一気に呑込まれそうになった。
「半分正解で半分不正解! たしかにコトが生まれたのは今から百年以上前の時代、だけどあなたが生まれてから数か月後にあった事件によって私はあなたの時を止めて封印したの。 ここからが、あなたと私にとって……いえ、この世界に生きるものにとって最も重要なことよ。」
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コトとアイリスが精神世界で会話をしていた頃、キャンデラ王国北部より王都に向かって巨大な魔力の塊が近づいてきていた。 王都到達まであと一時間……魔力の接近にいち早く気づいたマーリンの指示により王都の民は避難を開始し騎士団は防衛線を引き始めていた。
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「この世界に生きるものにとってって……どういうこと母さん!?」
コトはアイリスの言葉に対し驚きを隠せずにいた……
「あなたが生まれてから約三か月が過ぎたころルインはとある遺跡を発見したの、ルインはその遺跡を数人の仲間と共に探索をしたわ……そこで彼は闇に呑込まれた……いえ、闇に飲まれたのかさへ定かではないの……遺跡から帰ってきた彼は突然村を襲ったわ、私は彼を止めようと必死に説得したけど無駄だった、そして数名の魔女の力を借りて彼を封印したの。 そして私は彼にかけた封印が解けるであろう時代を推測し止めることのできる可能性を秘めたコトを封印したの私自身もね……」
「父さんを止めるため……」
「ごめんね、あなたに重荷を背負わせてしまって…」
アイリスはコトに向かって頭を下げた。
「はしゃぎすぎた親を止めるのは子供の仕事です、それに父さんが何をしようとしているのかは知りませんが皆に係わることなら私はやるよ!!」
「コト……ありがとう!」
コトは精神世界から帰る際に母・アイリスから魔眼と自身の所在地について告げられた。
-コトはまだコントロールができないだろうからこの眼帯を慣れるまではつけておきなさい、それと私の所在地だけど……大陸の変化などで正確には私にもわからないわ、一つだけわかるとしたらここから南にある遺跡だってことだけ―
コトは母の言葉にただ一言゛大丈夫私もあって話したい事がいろいろあるから何としても見つけるよ゛と告げて精神世界を後にしたのだった。




