表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コトの年代記  作者: 綿雪 ミル
五幕
26/36

母Ⅴ

 -十二年前にこの石板が初めて光輝いた……その日はもしかしたら、私の生まれた日かもしれない……確証は何もないけど、この石板に触れてみたらわかるかもしれない―


 コトは石板に歩み寄った、危険だと止めようとしたナターシャに笑顔を向けてから。 コトが石板に近づくにつれてポケットの中に入れている銀時計が反応を強めていく……コトは違和感を感じていた、自分の中でも何かが脈打っている様に感じられたのだ。


 コトは石板の目の前に立つと刻まれている文字を見つめて……どの時代のどんな言語なのかわからない、けれどコトにはハッキリと読めたのだ。


 「親愛なる娘コトへ-すべてを知りたいのならば私があげた銀時計を手にしてこの石板に触れなさい。」


 短い文章だった……だがコトは迷うことはなく銀時計を左手に持ち右手で石板に触れたのだ。 コトの意識はそこで途絶えた……


 ××××××


 コトが目を覚ますとそこは様々な本がいくつもの巨大な本棚に収められている図書館の様な場所だった。


 「おはようコト……」


 コトが声のした方へと振り向くとそこにはコトと同じ銀髪に赤眼をした女性が立っていた。 女性は「立ち話をするのもあれだからこちらへいらっしゃい」とコトを手招きすると近くにあった椅子に腰かけた。 コトも同じように椅子に腰かけると女性が会話を始めた。


 「貴女とこうして話すのは初めてねコト。 って言っても私が誰かわからないよね……」


 「母さん……貴女は私の母なのですか?」


 コトの発言はその女性にとっては意外だったらしい……


 「どうしてそう思ったの? もしかしたら違う誰かかもしれないわよ……」


 「魔力が同じなんです……石板に刻まれていた文字に、銀時計に(かす)かに残っていたものと……」


 「流石ね、その年でもう魔力感知ができるなんて……さすが私の娘だわ。」


 女性の「私の娘」という言葉を聞いた瞬間コトの瞳から涙が(こぼ)れ落ちた……捨てられたのかもしれない、もしかしたらもうこの世にはいないのかもしれない、もう二度と会えないのかもしれないと思っていた母が目の前にいるのだ……


 「やっぱり辛い思いをさせてしまっていたよね……ごめんねコト。」


 女性は謝りながら泣いているコトを抱きしめた。 そのときコトが感じたものは(まぎ)れもない母の温もりだった。


 「コト! これからすべてを話すわ! 過去のこと現在(いま)のこと……そして私たちが何をするべきなのかを!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ