母Ⅲ
数時間後……コトとシャルルは首都キャンデラに到着した。外壁の四か所に存在する外壁門で身分証明を提示し首都キャンデラへと入った二人はすぐさま町の中心にある王城【キャンデラ城】を目指した。
キャンデラ城の城門にたどり着くとすぐに門番をしていた衛兵がコトに気づき話しかけた。
「珍しい銀の髪……コト様でございますか?」
「はい……」
「女王陛下より伺っております。すぐに謁見の間にご案内致しますね。……そちらのお方は…」
衛兵はシャルルに気づき驚愕した。
「シャ……シャルル・ユース様ですか!? あの雷鳴の!!」
「そうだが……俺も通してもらえるのかな?」
「も……もちろんでございます! 女王陛下よりお付きの方が来られることは伺っておりますので!」
-師匠ってホントに有名なんだね……―
コトが心の中でシャルルが有名であることを今更納得しているともう一人の衛兵が近づいてきて馬は自分が馬舎へ連れていくと言ったのでコトとシャルルはその衛兵に馬を預け、先ほどまで話していた衛兵に謁見の間まで案内をしてもらった。
謁見の間に向かう途中でコトはあり得ない人物に出会ったのだ。
「え? ナターシャ先輩!?」
「え? コトちゃん!?」
金髪の少女ナターシャもコトと同じく驚愕していたのだ。それもそのはずコトの場合ナターシャがキャンデラ王国の出身であることは知っているが王城で出くわすなど思いもしていなかっただろう。一方ナターシャは客人が来ることは知っていてもまさかそれが学園の後輩であり教会育ちのコトだとは思いもしなかっただろう。
二人が唖然としていると案内人の衛兵が「女王陛下!!」と叫んだのだ。その方角を我に返ったコトとナターシャが見ると赤髪の女性がこちらに歩いてきていたのだ。
「なにをしているのだナターシャ? ん? なるほどな客人が自分の後輩で驚いていたのかコトの方も同じだったようだが。」
「ちょ……女王陛下聞いてませんよ!! まさかあの得体のしれない何が起きるかもわからない石板をコトちゃんに読ませようとしてるんですか!?」
「そうだが? ダメなのか?」
「ダメに決まってるじゃないですか! こんなかわいい子を危険にさらすつもりですか!?」
「……ナターシャ、お前は母親には向いてないかもしれんな。」
「なっ! 大きなお世話ですよ母さん!!」
ナターシャの一言でその場は凍り付いたかのように静まり返った。深い溜息と共に言葉を発したのはミレーヌだった。
「ハァ……コトついておいで石板の下へ行くよ! ナターシャもねどうせお前も呼ぶつもりだったから。」
「は……はい!!」
ミレーヌは衛兵を下がらせてから歩き出した。
数分後コト達は【魔導式エレベーター】に乗り最下層へと降りたのだ。そこには見慣れぬ文字の石板がたたずんでいた。
「やぁ、来たねコト。」
最初にコトに話しかけてきたのは紫の髪をしたマーリンだった。マーリンの後ろにはアリア・ペンドラゴンもいてコトとシャルルに柔らかな笑顔で挨拶をしたのだ。
「さてと、ナターシャ。」
ミレーヌとナターシャのいる方をコトが見るとそこには鬼のようなミレーヌがいた。
「あれほど人前では母と呼ばないようにと言っておいたはずなのだが? さっきのあれはどういうことかなナターシャ?」
「うっ……ごめんなさい……」
「あの、二人はどういうご関係なのでしょうか?」
コトは疑問に思っていたことをミレーヌとナターシャに尋ねたのだ。ミレーヌからはナターシャを娘と、ナターシャはミレーヌを母だと言ったのだ。
「と言っても私はただの育ての親……だけどね。」
―女王陛下が育ての親……それじゃナターシャ先輩も……―
「コトちゃん、私の両親はね私が幼い頃に二人とも亡くなってるの。」




