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コトの年代記  作者: 綿雪 ミル
五幕
22/36

母Ⅰ

 波のさざめきが目の前に広がる広大な海から聞こえてくる。上空ではカモメが鳴き元気よく羽ばたいている。

 七月の中旬……学園は一か月半程の長い夏休みに突入した。コトはマーリンとの約束を果たすためキャンデラ王国へと立つためキャンデラ王国行の船に乗り込もうとしていた。


 「コト‼ あのマーリンって人から聞けるだけ聞いてきなさいよ!」


 「うん。わかってるよソフィア。」


 見送りに来ているソフィアがコトにそう言った。コトのことを心から思っているから言えることかもしれない……もしかしたらマーリンの知っている真実はコトの親の事ではないかもしれない、それでも可能性があるからソフィアは笑顔でコトを見送ってくれるのだ。


 見送りに来ているのはソフィアだけではない。ソニア、教会のみんな、国王夫妻までもがコトの見送りに来てくれていたのだ。

 コトは全員の顔をもう一度見てから船に乗り込もうとした……


 「俺を置いていくつもりかコト?」


 「えぇ……師匠も行くんですか……」


 「当たり前だ! キャンデラの石板に俺も興味があるからな!」


 そんなこんなでシャルルもキャンデラに同行することになったのです。

 ここミルフィーユ王国からキャンデラ王国までは北に向かって二日……海を渡った大陸に位置している。


 キャンデラ王国の位置する北のアルバニア大陸には四つの国が存在しその中でもミレーヌ女王陛下が統治するキャンデラ王国が軍事、政治においてトップに躍り出ているのだ。マーリンの話では五年前ミレーヌ女王陛下の即位後、キャンデラ王城の地下でその石板は発見されたそうだ。

 どんな考古学者も読めなかった石板をなぜコトなら読めるかもしれないとマーリンが判断したのか……それは、石板を見ればあるいはマーリンの話を聞けばわかるのかもしれない。

 コトは両親から貰ったかもしれない銀の懐中時計を見つめながらそう考えていたのだった。


 ××××××


 鳥のさえずりが聞こえる深い森の中……そこに一人の男性が左手に本を持ち立っていた―否、立っているというよりはあてもなく彷徨っているようにも見えた。

 男性は黒曜石のような鮮やかな黒髪と瞳をしている。


 「……コト……」


 男性はただ一言ある方角を見つめながら呟いた……その視線は確かに北を見つめていたのだ。

 そう、男性が呟いた名の少女が目指している方角を……


 ××××××

新章キャンデラ王国編「母」に突入しました!

まだまだ文章力がなくて理解しにくい文章があるとおもいますがご容赦ください…

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