第六章情報戦
第六章情報戦
「おい訓練生、ここに残れ。」
「はっ、」
九人が揃う。
「宮本、最初の実戦だ五課と合流し手伝いながら仕事覚えろ。」
「了解!」
あいつが走っていく。
「残りは伝令だ。但し意見があるときはミーティングルームに来て発言を許可する。全員頑張れ!」
「はい。」
全員散っていく。
「三課より、ISILの基本データが届きました。」
「よし、モニターに掲示。」
「はい!」
「三課の手空き組、明後日の資料作りにはいれ。」
近隣諸国に石油確保の動きがある。これは特に途上国の北朝鮮の場合軍備増強か開戦、部隊の移動等を指す場合が多い。
「五課より連絡!ここ二ヶ月の北朝鮮の無線交信の量は確実に増加しています。前年比で1、5倍に達するとのことです。」
荻野が敬語で報告してくる。
「オギ、この件どう思う?」
斬新な意見を期待したがすぐに裏切られる。
「俺はいまいちISILを理解していませんのでなんとも…。」
「俺らも完全に理解はしていない。していたらこんなところで大慌てになってなどいないからな。まぁ、基本知識は重要だ。おい、三課の基本情報のコピーを作れ。オギ、訓練生を集めてこれから学べ。」
「おぅ!」
元気よく部屋を出ていく。地下の部屋は常に暑く冷房の送風音が響いている部屋で頭がオーバーヒートしそうなほど頭をフル回転させる。支那が武器を提供していた場合かなり危険な組織となり鎮圧も一筋縄ではいかない。石油確保を命じた北朝鮮上層部は彼等の軍が動く軍事博物館だという自覚はあるのかという問題がある。第二次大戦時の可潜艦並みの能力の潜水艦が現役で歩兵の携帯火器も旧式ばかりだ。最近はテロ攻撃に学び即席爆弾の研究もしているとかしていないとか。核兵器を除けば第四軍集団のみで完全に全土制圧が可能だと判断できるほどだ。最近は航空機に一部新型も見られてきたが陸上、海上では国防軍に鎧袖一触であろう。兵員数は多いが陸上だけで二五〇万を有する日本国防軍には遠く及ばない。支那から軍事援助があれば奇襲開戦とあわせて一週間余りで韓国は制圧できるだろう。しかし米軍や国防軍が反撃に転じれば一年で半島全土を奪還できると思う。まぁ、北朝鮮より今はISILだ。こちらも支那が武器を提供し火器を整えるのだろう。手元の資料では三万余りの兵力がいて事実外国からの渡航兵も多いらしい。日本ではテロなどはまだ起きていない。
「二課と三課の合同本部から連絡。入国した危険人物はいません。又国内の諜報員も近頃は大規模活動に出ていません。とのことです。」
これで今すぐ日本が被害にあう可能性は激減した。衛星写真も特に変化はないという。これであとは資料をまとめればすむ話だが今回の記録は残しておかねばならない。かつてJSF二課と三課はオウムに手を出して一旦今すぐの犯行はないと見て資料を破棄し後にサリン事件を防げなかった。この教訓から今では捜査データはその組織が壊滅するまで破棄しないことになっている。
「北と支那の動向も調べろ!急げ!」
関連データも出さねば国防会議ではまず通らない。これらもあわせての報告が重要なのだ。俺が入隊してからビンラディン殺害作戦以来の大作業に基地は沸き立った。結局夕方には資料も用意され全員に緊急令を解除、やりきった顔で全員作業を終えた。
短くてすいません